『TRIANGLE'22 Acoustic Resort』Day.1 全国屈指のリゾート福岡糸島で初開催された珠玉のアコースティックフェスをレポート
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Survive Said The Prophet
Survive Said The Prophet 撮影=サトウアイコ
Survive Said The Prophet 撮影=サトウアイコ
「“雨バンド”なんてTweetしちゃったけど、雨やみましたね!」とYosh(Vo&Gt)が笑顔を見せ、どっしりした演奏と伸びやかな歌声で聴かせた「Win / Lose」で始まったSurvive Said The Prophet。憂いあるギターイントロで「Right and Left」が始まると、フィールドから思わず漏れた歓喜の声と共に観客の手が上がる。軽やかにステージを跳ねながらアグレッシブに歌うYosh、サビメロに合わせて手を振る観客。「今日、雨の中でも台風の中でも音楽を応援する、日本一カッコいいオーディエンスが集まってるって聞いてるけど、どうですか!?」と聞くYoshに大きな拍手が起きると、「こういったパワーやエナジーがカルチャーと呼ばれて、そのカルチャーを握りしめたお前たちが未来の音楽を作ってるんです。一言一言、音楽に対してはポジティブでいて下さい!」と願いを込めたメッセージを送り、「HI l LO」を投下。
Survive Said The Prophet 撮影=サトウアイコ
Survive Said The Prophet 撮影=サトウアイコ
アコースティックながら鋭くキレのある演奏と、力強く主張するボーカルに呼応するように、晴れ間が見えてきた空を見て、「晴れたね!」と嬉しそうに呟いたYosh。楽曲に込めた想いを熱く語り、温かいアコギの音色に悲痛な叫びがダイレクトに伝わった「MUKANJYO」から現在、延期公演の真っ最中であるアコースティックツアーでリアレンジしたというジャジーな「SPINE」と続いた後半戦。ラスト「When I」に全員が手を振り合わせてピースマークを掲げると、会場は大きな多幸感に包まれた。
九州DJ大作戦 : 片平里菜
九州DJ大作戦 : 片平里菜 撮影=松尾凌太
九州DJ大作戦 : 片平里菜 撮影=松尾凌太
2017年、TOKYO TANAKA(MAN WITH A MISSION)が、九州北部豪雨被災地支援を目的に発足。『TRIANGLE』とタッグを組んで、グッズの販売や募金活動を行い、これまでも様々な支援活動を行って来た九州DJ大作戦。そんな九州DJ大作戦とのコラボステージに登場したのは、片平里菜。
福島市出身、18歳で東日本大震災を経験した彼女。「ライブハウスに送られる物資がすごく心強かったし、音楽が私と震災後の街に力をくれた」と自身の経験や考えを語り、代表曲といえる「女の子は泣かない」、デビュー曲「夏の夜」といった楽曲を温かい弾き語りで届ける。「最後は命の歌を歌って帰ります」と、願うように祈るように歌った新曲「予兆」の歌声が深く深く胸に響いた。
九州DJ大作戦 : 片平里菜 撮影=松尾凌太
九州DJ大作戦 : 片平里菜 撮影=松尾凌太
『TRIANGLE』スペシャルトークセッション
続いて、メンバーの負傷により、急遽出演キャンセルとなったハルカミライに代わってステージに立ったのは、KBC九州朝日放送アナウンサーの長岡大雅とXmasEileenのDJ。さらに北島康雄(四星球)、あやぺた(Dizzy Sunfist)、横山優也(KOTORI)がステージに呼び込まれ、始まった緊急企画は「『TRIANGLE』スペシャルトークセッション」。『TRIANGLE』の思い出から全く関係ない話まで、ワイワイと愉快なトークで盛り上がった後は、横山がアコギを背負って弾き語りを披露。「みんなで歌える曲を」と始まった、ゆず「夏色」のカバー。さらに出演出来なかったハルカミライの想いを背負って、「ファイト!!」、「アストロビスタ」の2曲を熱唱。ハルカミライのキャンセルは残念だったが、他では絶対に見れないスペシャルなトークと弾き語りライブは大満足の内容だった。
SUPER BEAVER
SUPER BEAVER 撮影=タカギユウスケ
SUPER BEAVER 撮影=タカギユウスケ
雨も上がってすっかり陽が落ちた頃、電飾で明るく飾られたステージに堂々登場したのは、初日のトリを務めるSUPER BEAVER。盛大な拍手に迎えられてメンバーが登場すると、渋谷龍太(Vo)が「締めくくらせていただこうかな」と告げ、シンバルカウントから「名前を呼ぶよ」でライブが始まる。渋谷が歌い始めた瞬間、ヒリついた緊張感が走り、会場の空気が一変。アコースティックの優しいサウンドに乗せたメロディや歌の力は、バンドサウンド以上に強くダイレクトに心に響き、高ぶる感情を抑えられない観客から力強く拳が上がり、曲中にも拍手が起きる。色気と力強さと圧倒的求心力をまとった、渋谷のその姿はまさにロックスター!
SUPER BEAVER 撮影=タカギユウスケ
SUPER BEAVER 撮影=タカギユウスケ
続いて、観客の軽快な手拍子で始まった「赤を塗って」で一体感を生むと、『TRIANGLE』がいつもの形で開催出来なかった3年について、「我々もオンステージして、面と向かって音楽を鳴らせるってことがどれだけ尊いかってことが、しっかりと分かれたと思います」と真摯に語り、披露した曲は「人として」。星空の下、騒がしい虫の声と共に響く演奏とエモーショナルな歌声にすっかりやられてると、グルーヴィーな「mob」で踊らせ、ラストは「東京」を披露。ライブ終演後、贅沢で幸せな時間があっという間に過ぎ去り、観客が充実感と余韻に浸っていると、空に大きな花火が上がる。この日見た貴重なアコースティックライブの数々は、大雨や夕焼け空、雨上がりの夜空に上がった大きな花火といった風景と共に、いつまでもみんなの記憶に残ることだろう。
取材・文=フジジュン