「バンドを続けていくために」産休からの復帰、大阪城ホールへの意気込みを語るーーHump Back結成17周年『打上誕生日』開催直前インタビュー

2026.5.15
インタビュー
音楽

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Hump Backが結成17周年を迎える2026年5月16日(土)、大阪城ホールでワンマンライブ『打上誕生日』を開催する。開催直前の林萌々子(Vo.Gt)に、読売テレビが番組『テッパン朝ライブ  じゅーっと!』、『キューン!!』でインタビューを敢行。今回SPICEでは、番組のOAでは伝えきれなかった話を、インタビュアーをつとめた読売テレビのイベントプロデューサー・門上由佳氏が記事化してお届けする。


開催前にどうしてもインタビューがしたく、読売テレビの番組で取材を依頼した。昨年6月から行われたHump Back『産休サンキューツアー2025』は、メンバー3人全員が1年半の産休から揃って復帰。その背景には、バンドとしての確かな信頼関係と、家族との時間と音楽活動のどちらも手放さないという意志を感じた。ステージ上を全力で駆け抜ける彼女たちの姿は「自分たちの人生を、自分たちなりに選んでいい」というメッセージのようにも感じ、とてつもない勇気をもらった。

母になり家族が増えること、自分たちの仕事であり生業であるバンドを全力で届けること、プライベートも仕事もすべて自分たちの人生であり、両方を全力で楽しむ姿にエンパワーメントされるライブだった。3人は母になってからわずか2年で大阪城ホールでのワンマンライブのステージに立つ。Hump Backはどのようにして産休から復帰への道を歩み、この大きなステージに臨もうとしているのか。林萌々子に話を訊いた。

子育てをしながらの『産休サンキューツアー2025』
家族やスタッフのサポートを受けながらの活動と意識の変化

 ――まずは復帰後の『産休サンキューツアー2025』が、本当に素晴らしいライブでした。振り返ってみて、改めてどんなツアーでしたか?

タイトルの通り、「産休、サンキュー、ありがとうございました」という気持ちと、産休の期間を取り戻すつもりのツアーでした。音楽の循環ってめっちゃ速くて、16年バンドをやってたら、その速さというのはもう十二分に分かっていながらの1年半のお休み。なるべくライブハウスに行き、音楽を肌で感じようと思っていましたが、休んでいた期間を取り戻すつもりで「めっちゃ頑張ろう」という気持ちで組んだツアーでしたね。 

――全国いろんな都市を回られましたが、お客さんや関係者はどんな反応でしたか? 

みんな「おかえり」って空気感でめちゃくちゃ温かかったです。私は正直すごいビビリなんですよね。だから、復活してもみんなも違うところへ行ってるだろう……みたいな気持ちだったんですけど、思っていた以上に待ってくれてた人たちがいた。あとは「子どもを産みました」と大々的に言ったことで、お父さんお母さん世代の方まで注目してくれるようになり、ファン層が広がったような印象もありました。

――子ども連れのお客さんも多かったですよね。

多かったです。やっぱりバンドを16年やってると、当時20代だった子たちが子どもを産んでライブハウスに帰ってきたりと、子連れのママパパ世代が増えましたね。

――子育てをしながらのツアーは、どういった家族のサポートや、バンドやチームとの連携がありましたか?

もう頭が上がらないぐらい、夫の存在が大きかったです。他のメンバーみんなもそうだと思うんですけど、夫の協力なしでは成り立たなかったツアーでした。子どもを産むまでは、1日24時間、自分の時間がある感覚でしたが、子どもが産まれてからは「24時間を二人でシェアしてる」みたいな感覚。「私が15時間もらうから、9時間はよろしく」みたいな、自分が外に出ることによって自ずと彼の時間は子どもの時間になるので、人の時間を借りてバンドをしてるという気持ちが強くありました。Hump Back​チームも理解が深くて、片付けやっとくからもう帰ってねとか、細かい気遣いをいっぱいしてくれました。ステージに立ってるのは3人ですが、3人だけでは到底バンドなんてできない状況でしたね。

ーー出産を経て、ステージに対して変化した部分はありますか?

やはり誰かの時間を借りてやってるという意識が強くなったのと、バンドというものをいい意味で仕事として捉えられるようになりました。子どもを産む前は、やっぱり甘えてたり、無責任だったりしたところがあって。一生懸命やってたつもりだったんですけど、「バンドがダメになったらダメになったで、どうにかバイトでもしながら生きていったらいいや」みたいな気持ちがあった。でも、子どもを産んでからは、これでご飯を食べていく、これで家族を支えていくというモードに切り替わった感覚があります。自ずとライブもシャキッとするというか。家族の時間を借りてまでライブをしてるから、もう下手なライブはできない、みたいなプレッシャーが生まれていますね。

ーーそもそも産休を取られる時に、メンバー3人で妊活をされたと思います。誰がどのタイミングで妊娠して、産むことができるのか………様々なリスクがあったと思います。その中で、3人でどのように話し合われたのですか?

思い返してみると、あんまりしっかり話し合わないようにしていたかもしれないですね。そこはもうみんななんとなくわかっていたというか。誰かだけが妊娠したり、誰かだけが妊娠しなかったり、誰かだけが妊娠を継続できなかったり……ということも起こり得るから。あまり未来の話をしすぎると、持たなくていいプレッシャーまで出てきてしまうと思うので。その先の話のことは、当時はあんまりしていませんでしたね。

ーー産休を経て、どういう未来だったとしても、受け入れて進む覚悟のようなものがあったのでしょうか?

覚悟と言われれば、覚悟やったんかなというぐらいの感じです。どちらかというと、みんなにとってナチュラルな選択やったと思います。偶然にもみんな子どもが欲しいと思っているタイプやって、でも絶対にバンドを続けたいという意志があった。だから、選択肢としてそれが一番しっくりくるものだっただけなんです。みんなでタイミングを合わせてすごい覚悟だねとか、すごい信頼関係だねと言ってもらえることもあるんですけど、自分たちはそこまですごいことやという自覚はなくって。だから通院していた先生に状況を伝えたときも、「すごい絆ですね」と言われて。その時に初めて、すごいことなんだと気づきました。

 Hump Backでバンドを続けて行きたい
結成17周年の記念日から新たなフェーズへ

ーー結成17周年を迎える2026年5月16日(土)に、いよいよ大阪城ホールでワンマンライブ『打上誕生日』が開催されます。どういう思いから開催に至ったのでしょうか?

5月16日がバンド結成日なので、毎年その日は何かしたいなというのが常々あって。バンドが復活してから大きいこともしっかりやりたい思いがあり、大阪城ホールはその(結成日の)タイミングでやろうという思いが、みんなの中にありました。「打ち上げ」シリーズは自分たちのイベントとして持っていて、せっかく17周年なんで、みんなにちやほやお祝いしてもらおうかなという気持ちでこのタイトルを付けました。

ーー復活から2年ちょっとでの開催ですね。

そうですね。子どもの成長って早いじゃないですか。うちの子も最近誕生日だったんですけど、「もう2歳か、早いな」ってみんなに言われて、私もつられて「いや本当に早いわぁ」とか言ってたんですけど、思い返してみたらまだ出産してから2年しか経ってないんやって。子どもが産まれたことを遥か昔に感じるんですよね。人生を共にしてまだ2年しか経ってないんやって。

ーーちなみに、産休中もライブハウスに行かれてたんですよね?

私はつわりとかも平気だったんで、めちゃくちゃ観に行ってました。でも当時はメンバーの誰が妊娠したかは公開してなかったんですよね。生まれるまで何があるかわかんないから、メンバーが妊娠しましたとだけ発表してて。お腹が大きいのを見られると気づかれるので、必死で隠しながら私たちのホームの心斎橋BRONZEには行き続けていて。ホームだからスタッフのみんなわかってくれていて、特等席を用意してくれてたり。そういう目線もあって、お母さんお父さんにも、ちっちゃい子にも見てほしいっていう思いがあり、今回の大阪城ホールにも子どもと一緒でも落ち着いて観てもらえる親子席を用意させてもらってます。

ーー出産を経て開催する大阪城ホール公演は、Hump Backの「第2フェーズ」とも言えるのではないでしょうか。

確かに第2フェーズかもしれないですね。思い返せば「あれがキッカケでHump Backが変わったな」というタイミングがいくつかあるんですけど。まさに今も、みんな子どもができて、ありがたいことに3人の考えや、こうしていきたいという思いも、大きく違うことはなくみんなが同じ方向を見てバンドをやれているので。17周年というタイトルの中で、何より嬉しいのが、1年半休んで、すごい速さで流行り廃りも流れていく中で、裏方チームがほとんど変わらずやって来られてることなんです。私たちが「妊娠しました。ちょっと休みます」という時に、スタッフみんなが口を揃えて「じゃあこっちもレベルアップして待ってるから、ファイト!」みたいな感じで送り出してくれて。結果は1年半でしたけど、2年、3年休まないといけないのかわかんない状態でも、スタッフは待っていてくれた。結果、1年半で戻った時に、みんな同じメンバーで再開できてツアーも回れたので。やっぱり裏方チームとの17周年でもあると思うんで、そこも大事にできたらなって思ってますね。

ーーいろんな経験をしてみて、今後どういう活動をしていきたいですか? 

これはずっと変わらないんですけど、Hump Backでバンドを続けたいの一択。バンドを続けるためには、大きいところでライブをしたっていう実績や、いろんな人が知ってくれてるっていうことが必要になってくる。だから活動の全部がHump Backを続けるためのものっていう感じですね。

ーー何かに挑戦したい人、子どもが欲しい人、一人で生きていきたい人、いろんな選択肢があると思いますが、音楽を通じてどういうことを伝えたいですか?

今は若い女性のバンドがすごい増えていますが、女性は体も変わっていくし、やっぱり男性とは違う人生の進み方が必然的にあると思うんですね。バンドを選んだ女性にとって、私は結婚や子どもを持つことが幸せとは限らないと思うし、一人で生きることも幸せだと思います。その中で、私たちは3人とも結婚と出産をして、子育てをしながらバンドをするということを選んだ、一つの前例がつくれたのかなと。私たちと同じようにこの道を選びたいと思う人がいた時に、参考になったり、強くなれたり、頑張ろうと思えたりしてもらえる存在になれたらいいなと思ってます。

取材・文=門上由佳
編集・補助=SPICE編集部(大西健斗、岡島彩乃) 

イベント情報

『Hump Back pre. “打上誕生日”』
日程:2026年5月16日(土)
会場:大阪城ホール
時間:開場16:00/開演17:00
 
(全席指定)
一般 ¥8,800-
公式サイト
https://humpback.jp/
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