『新テニミュ』、やっぱり大人も青春しています!~ミュージカル『新テニスの王子様』Revolution Live 2022 村上幸平、和泉宗兵、進藤 学、岸 祐二インタビュー
ーー三船の「革命だ!!」という雄叫びは、「これを聴くためにこの公演を観に来たのかもしれない」と思うほど作品を貫く全てが篭っていましたし、そこで躍動するテニス少年たちも一層熱く輝いていました。
岸:上島さんの考えというか、僕とやりたいと思ってくれたことがステージ上でしっかり形になったというか。それぐらいあの流れは良かったなと思いますし、それこそ(当時のネルケ会長)松田(誠)さんが終演後に興奮してらっしゃったんで、それも嬉しかったな(笑)。
お客さんに関してはやっぱり他のミュージカル作品とは違う新しいものを目にするっていう出会いと、あとこれも『テニミュ』シリーズの独特な文化だと思うんですけど、上手さは関係なく、一生懸命やっている役者の子たちを純粋に応援する気持ち、そういう支え合うエネルギーみたいなものに溢れてますよね。そこにいるみんなで『テニミュ』という世界を大切に共有し合う時間みたいなものが感じられて、僕も「いい空間だな」と思いました。
村上:The First Stageで特に思ったんですけど、『新テニミュ』ってやっぱり岸さんという絶対的存在があって、みんなが岸さんの背中を追いかけてて、岸さんに一歩でも近づこうとするエネルギーそのものがこの『新テニミュ』という作品のパワーなんじゃないかなっていうのを僕はずっと感じていて。さっきの袖のエピソードもホントにみんながちょっとでも岸さんのテクニックを盗みたいと思って観ていた光景ですしね。その絶対的存在感がこの作品のクオリティーをもう一個高いものに上げてくださっているんですよね。
村上幸平
ーー表現者の先輩としても、絶対的なコーチ・三船としても、でっかい壁としてここにいてくれている岸さんは、2つの意味で若者を鼓舞する存在。
村上:そうそう。だから岸さんThe Second Stageは出演されていなかったですけど、そのマインドっていうのは僕らの中に強烈に残っていて、特にThe First Stageを経験した人は常に岸さんの存在感を感じながら「もっと上にいくぞ」と挑んでいた。
僕自身はThe First Stageでは作中ですでに中学選抜メンバー、U-17(アンダーセブンティーン)選抜メンバー、コーチ陣という縦のラインがしっかりあったので、なるべくその原作に忠実であろうと思いましたし、黒部のクールビューティーをしっかり表現できればいいなと思ってやっていたんですけど……The Second Stageに関しては上島さんから「ちょっと箸休め的な存在でいてくれ」というオーダーをいただいて。
ーー中高生が必死で戦い続ける中、その上に立つ大人の余裕を見せてもらいました。
村上:The First Stageできっちり軸を作ったというのもあるのでちょっとふざけても大丈夫っていう信頼のもと、狂言回しというか、コメディタッチな面もたくさん見せるようになった。僕としてはそうすることでより黒部というキャラクターに深みが出せたようにも思います。
(左から)岸 祐二、和泉宗兵、進藤 学、村上幸平
ーー稽古場での様子もぜひお聞きしたいです。
和泉:The First Stageのときはコロナのこともあって、広い稽古場で人も時間もしっかり区切られてという感じだったから、雑談もなかなかできず。マスクもしているし名前を覚えるのにも一苦労でしたよ。
岸:僕は途中から歌の先生のフォローができるところは指導しようかってことになって。彼らはまずこれからどうやって自分のスキルを磨いていけばいいかってところを自覚すること、その上で自分のスイッチを入れていくこと自体が最初はちょっと大変だったかな、とは思いました。もちろん楽しく一生懸命やってるのはわかるけど、……あくまでも与えられているものではなく掴むものというか。やはりもう一個自覚があってこそ初めて練習にも身が入るので、それには上手かろうが下手だろうが何が足りてて何が足りてないかっていうのを一つひとつ全部自分でわかっていくことを伝えてあげなきゃいけないなっていうのはあって。
ーーシビアな言葉で現実を伝えることも必要だった、と。
岸:厳しく言うのではなくできるだけ優しくは伝えたつもりなんですけど、それでも「こうすれば良くなる」っていうことだけは強くしっかりと伝えて。そこはみんな一生懸命受け止めてくれてましたね。結局、一番怒ったのがこの2人(村上、和泉)なので。
進藤:おお。
進藤 学
和泉:うん。本当に岸さんがいなかったらやばかったんです! もう自分の中でも歌への自信が崩壊しちゃってて。
村上:岸さんは絶対音感をお持ちなので、楽屋で鼻歌歌っても「いや、それ違う」って言われちゃいますしね。
岸:そのうち楽屋で鼻歌も聞こえなくなった。
村上・和泉・進藤:(笑)。