今、無謀な少年というかガキっぽさを求めてる、だからガリレオをやりたいーー時を得たGalileo Galilei始動インタビュー

インタビュー
音楽
2022.11.5
Galileo Galilei

Galileo Galilei

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Galileo Galileiの6年ぶりの始動はファンの歓喜に止まらず、このバンドの果敢なチャレンジと苦悩を感じてきた音楽リスナーなら、驚きや彼らの覚悟を感じたはずだ。常にワクワクする方へ音楽性をアップデートし、バンド自身がさらにその先に広がる世界の音楽への窓でもあった稀有なバンドは日本の音楽シーンではいささか窮屈な思いもしてきた。しかし、始動に至った歳月や尾崎雄貴がwarbearやBBHFへとアウトプットを増やすことで、むしろGalileo Galileiでしか形にできないものも見えてきたようなのだ。すでにスタートした新生GGメンバー全員でのインタビューで、経緯と現在を確認してみた。

――Galileo Galileiの始動を発表したときのフロアの反応がビビッドで。雄貴さんが「6(年)……」って言った時にはもうザワッとして。

尾崎雄貴:はい(笑)。もう(フロアの景色が)それを待ってましたもんね?

――なぜ、今始動なのかという経緯をお伺いできればと思います。

雄貴:まず、ことの発端としては僕が招集をかけたんです。1月の福岡のイベント(『Zepp Fukuoka×BEA presents NEW ABNORMAL -ZERO EN START-』)の夜、泊まってるホテルで「僕、ガリレオやりたいな」と思って。

――その時ふと思ったんですか?

雄貴:そうですね。warbearの取材でもちょっとお話ししたように、割と自分の自尊心が傷ついていた時期でもあり、その自尊心を復活させようと思っていた時期でもあり。あと、今が一番みんなの雰囲気がいいなあって思うタイミングがあったので、今やるっていうことを決めなかったらもう一生なさそうだと思ったんですね。で、そんなことを考えながらみんなにメッセージを書こうと思った瞬間に大きめの地震が起こって。ホテルの上階だったのでめちゃくちゃ揺れて、心臓バクバクで寝れなくなったんですけど、それを僕は神様からの啓示だと勝手に捉え、「これ、やるってことだな」と思ったっていうのが、みんなに話そうと思った一番最初のきっかけですね。それで僕の中では岩井くんがやるって言ってくれなかった(始動は)ないな、岩井くんがいなかったらGalileo Galileiをやりたいとはならないなと思って、まず岩井くんに話しました。

岩井郁人:ホテルの部屋が同じ階だったと思うけど、雄貴からLINEがきて「話したい」と。

雄貴:遅くまで話したよね。

――夜に地震があって、LINEで「話がある」って、何ごとかと思いますよね。

岩井:ほんとにただならぬ雰囲気を感じて。でも俺はそれを聞いたとき、素直にめちゃくちゃ嬉しかったんですよね。だからこそ考えたい、と伝えて。

雄貴:だから即答じゃなかったんです。

岩井:俺はちょうど10年前にバンドを脱退していて、俺がいない後もガリレオは続いてたわけで、その年月もあるし、自分で別のバンドを立ち上げたり、ソロもやったりとかして。だけどその間にも実はずっとみんなと一緒にいたし、BBHFでもwarbearでも一緒に音楽を作ってそばにいたんですよね。だからすごく必然的だなって思いましたね。

雄貴:やってくれるだろうっていう思いはぶっちゃけ半々で。断られる方もちゃんと考えていました。断られたらやらないと思ってたので。でも、僕が一番嬉しかったのは話をした時に戸惑うより先に、嬉しそうだったのは僕も感じたので、その日はすごくいい話がいっぱいできた。今まで実はあんまり話してこなかったことや、触れてこなかった核心に迫る心の話とかもしたし。

尾崎雄貴

尾崎雄貴

――具体的にはどんな話を?

雄貴:「一生やっていく」という感じで僕が振ったら、「いや一生かどうかわかんない」っていう話をしました。二人ともお互い自分の家族だったり生活だったり人生っていうのを持っていて、Galileo Galileiを岩井くんとやってた頃の、自分だけ大事にしてればOKな状態ではなくて。それも含めて確認し合った上で、やれるところまでやろうという話が僕はできたと思ってて。それに対して即答ではなく、一回考えさせてほしいって、話して考えて話して。だから岩井くんを落とす、落とさなきゃっていう感じでした(笑)。

岩井:その話は逆説的だけど、一生やっていくために一生やっていくと言わないっていうか。刹那的なことの連続で、その時々どういう形が最適なのかを大事にして一緒に音楽を作っていたし、これからも一緒にやっていきたい中で、「一生一緒にいよう」っていう言葉じゃなくて、一番最適な形を模索した上で結成したい。それで言うと俺は再始動とか再結成とかじゃない、新しいバンドをみんなと一緒に組んでるっていうイメージがあったりしますね。

――和樹さんは雄貴さんに最も近い存在であるわけですけど、話はあったんですか?

尾崎和樹:強制的に、ですね(笑)。運命共同体みたいなものだと思っているので。兄弟だし、生まれた頃から一緒にいるのに音楽でもずっと一緒にいて。もはやだから自分も「Galileo Galileiやろうと思ってるんだよね。和樹どうする?」っていう風に聞かれないだろうと思ったし。

雄貴:(笑)。

和樹:聞かれたら逆に戸惑うよね(笑)。どっちかというと逆に俺にその選択を求めるという行為に恐らく戸惑うと思うから。だからやるやらないの選択肢は俺の中にはないです。

――そして岡崎さんはBBHF、warbearのサポートもしていらっしゃるわけですけども。

雄貴:あの、僕は……僕が話しちゃってますけど(笑)、バンドをやっていく上での悩みとか、レーベルや会社のいろんな問題とかをなぜか岡崎くんに酒を飲みながらずっとしゃべっていて、それをしっかり聞いてくれて(笑)。「すごいわかります、わかります」って聞いてくれるし、理解して静かに寄り添ってくれるから、僕が壊れそうになったときにすごく救われた部分があって。それに僕はミュージシャンの知り合いとかとコミュニティを作れるようなタイプじゃないんだけど、僕らにスッと溶け込める岡崎くんはもう運命というか、同じ星のもとに生まれているなって感じがして。もし僕らが稚内にいた頃に学校で岡崎くんに出会っていたら、多分友達になってたんだろうなって考えるくらい。ガリレオってそれが大事な気がしていて、「音楽をやるんだ!」っていうところだけじゃなくて、同じ匂いを感じる者同士が集まっているのが僕はいいと思っていて。

岡崎真輝:Galileo Galileiの話を雄貴さんからいただく前からBBHFやwarbearのサポートもやらせてもらったりしていたんですけど、BBHFのリハの次の日に話があるからって言われて。最初僕の中では悪いことをして学校の先生に呼び出されるような感覚があって。

雄貴:めっちゃビクビクしてたもんね(笑)。プレイとか何か問題あるのかな?って思った?

岡崎:はい。物申されることを覚悟しながら次の日に行ったら、自分の想像をはるかに超える内容で。で、お話をいただいて戸惑いも不安もありつつ、でもそれを超えるぐらいのワクワクというか、これからもっと素敵なこと、楽しみなことがあるんじゃないかなと思って。その場では「やります」とはお答えしなかったんですけど、お話をいただいたときから自分の中で覚悟は決まっていました。

――岡崎さんは一番客観視できる立場なのかなと思うんですけど、1リスナーとしてGalileo Galileiってどういうバンドですか。

岡崎:親戚が稚内にいて、学生時代に行き来することがありまして、その時代からバンドもやってたんですよ。で、親戚にバンドやってるんだってことも伝わってたんですけど、親戚のおじさんから「稚内にGalileo Galileiっていうバンドがいて、すげえんだよ」って言われて(笑)。

一同:(笑)。

岡崎:誇らしそうに言ってるのを聞いて、僕も存じていて好きだったので誇らしくなったのを覚えてるんですけど、そういう思い出があって。なのでGalileo Galileiに正式に加入することになったのも、自分の中では単なる偶然ではない何かを感じるなって思いましたね。

岩井郁人

岩井郁人

――Galileo Galileiってどんどん音楽的に変化して行ったじゃないですか。同じバンド名で続けていくことがデメリットなんじゃないか?と思ったことも正直あったんです。ここまで歳月が経って、やっぱりこの名前で始動する意味はなんなんでしょうか。

雄貴:そもそも、“Galileo Galilei”って人の名前やんけってずっと思ってましたし。

一同:(笑)。

雄貴:中学生の頃にティッシュ箱に適当な名前書いたバンド名から選んだ名前がGalileo Galileiだっただけだったので。他にも“Red Poisoner”っていう名前とかもあって……それじゃなくてよかったなと思うけど(笑)。なので、Galileo Galileiっていう名前に対して今、全くネガティブな感情というのは僕はないし、例えば「始動します」ってなった時に「あの「青い栞」の」とか、「「あの花」の」ってなってましたけど、それも普通に嬉しく受け取れていて。それに対して、「そこだけじゃないのにな」って寂しがってるファンに対しても、「全然、大丈夫大丈夫」と思ってるというか。だってこれからもっともっと面白くて素敵で、おそらく自分たちでも驚けるような音楽を作っていくので、なんでもいいよって(笑)。だから僕はプレッシャーとか、Galileo Galileiっていう名前を掲げることの重みみたいなのは一番感じていないかもしれないです。

岩井:雄貴もMCで言ってましたけど、Galileo Galileiって常に冒険し続けてきた集団だったので、これからも多分変わり続けるし、冒険の旅をするっていう風に考えたら、全く「大丈夫大丈夫」ってファンの皆さんにも言える。

雄貴:「でえじょうぶだ」って。

――MCで雄貴さんがおっしゃってましたけど、10代の時から同じ人間ではあるんだけど、人間だからいろんな側面が出てくると。でも無謀だった頃の自分は歳を重ねても存在し続けるとも言っていて。

雄貴:だからその無謀部分をガリレオでやりたくて。そこはBBHFでもwarbearでも消化してきていなかった自分がいて、無謀な少年を求めるというか、ガキっぽさというか。それで今、僕はガリレオがやりたいんです。

――明快ですね。

雄貴:そうですね。あと、なかなかない環境だなと思うのは、みんなめちゃくちゃ僕の歌詞とか歌を研究してくれるんですよ。和樹なんていつもデモとかの歌詞ができたら、スタジオから家に帰る途中でめっちゃ長文の解釈みたいなやつを送ってきて。僕はいつも返答しないんですけど(笑)。岩井くんも歌詞を一字一句見てくれてて、「これってこういうことなのかな」って聞いてくることとか、インタビューをしてくる時があったり。僕も岩井くんに対して気になる部分があってインタビューみたいになったりすることがあって。お互いがお互いに未知数な部分とか、自分が知らない面っていうことを知ることにちゃんと喜べているし、みんなお互いに興味があるんですよ。返答しないとか言ってるけど、僕も和樹には謎なところがいっぱいあるから、「和樹、面白いな」って日々思うし。そういうのはすごくバンドという集まりとして面白いと思うんですよね。

――バンドであっても、意外とソングライターの思いは他のメンバーはよく分からないままやってたりしますし。

岩井:そうですね。

岡崎真輝

岡崎真輝

――Galileo Galileiの場合、幼いと言ってもいいぐらいの年齢の時から続いてきて、今は今の年齢で聞きたいことがあると?

雄貴:たくさんありますね。やっぱり僕もバンドが好きなので、日本のバンドのメンバー関係とか、ラジオを聴いちゃうぐらい好きだったりするバンドもいるけど、お互いへの興味を失ってくるとバンドって多分終了すると思うんです。やっぱガリレオの終了っていうのも、当時のインタビューでもちょっと近いことを言っていたんですけど、お互いにワクワクしなくなってくると終わりなんですよね。今は和樹ってもっと面白いことできるんだろうな、岡崎くん絶対もっと上手なプレーできるし、バンジョーも弾いてたじゃないですか(笑)。サンプラーとかもそうだし、なんか無限の可能性を秘めてるなと思って。岩井くんは岩井くんで、やっぱ未知な人間なのでワクワクするんですね。じゃあみんなでどんどんワクワクしていったら、全く誰も予想できないものが作れて、それが音楽をやっている上で一番の喜びになるので、楽しくやれるだろうなっていう。だから仲良いとか、お互い依存しあってますとかじゃ全くなく、純粋にお互い興味があるんですっていう感じですね。

――そういう周期が巡ってきたのかもしれないですね。

雄貴:これはメンバーもそうなんですけど、ファンにもすごい興味を持っていて。サイン会をやってみんなの顔を見て、本当に自分たちのやってることに対しての鏡みたいだし。ガリレオはちゃんと愛情として、ファンとお互い伝え合って共有できるバンドになっていくと思います。だからファンにも興味あるし、ファンも僕らに興味を持ってくれるっていう関係、ここ(バンド内)と同じ関係になるんだろうと思いますね。

――Galileo Galileiから音楽好きになって海外のアーティストも聴くようになったり、他のアートに繋がっていったりして、本当に珍しいバンドだし、だからこそファンからかえってくるものもあるんだと思います。

雄貴:綺麗事みたいな感じではなくナチュラルにみんな素晴らしいので、その真心的なところは飾らずファンに伝えていきたいし、頑張ってファンを大事にしてるわけではなくて、「そういう感じなんだよ」って伝えていきたいですね。だから安心して欲しいし、裏切るとか傷つけるとか寂しがらせるとは全く望んでいないし、できることなら取り除いてあげたいと思っちゃうぐらいなので、僕たちとしてはやっぱり、「でえじょうぶだ」っていうスタンスでやっていきたいなと。

――雄貴さんは直感的かつ必然的にガリレオをやろうと思ったと。その後に独立などいろんなことを決めていきましたよね。

雄貴:そうですね。本意でやりたいと思っていない人たちを巻き込んでいくのはもうやめようと思っていて。一番大事なことってこれだよねっていうのが分かる人たちが集まっていれば、僕も言い訳をしないし。だから今の状態っていうのはそういう状態だなと思います。みんなやりたいからやる、いたいからいるっていうのが実はなかなか作れない状況でもあったりするんですけど、今奇跡的にそれができているなと思います。

――自由と責任は表裏一体だし、不安も表裏一体だと思うんですけど。不安はないんですかね?

雄貴:不安は……ない。

岩井:ないね。

雄貴:不安とか恐怖とかを歌詞で手掛けてるのは、今の自分の状態に対してではなくて、みんなが感じてる一つのテーマとして客観的に取り組めるようになったんですよ。だから、Galileo Galileiに関しては「でえじょうぶだ」って言葉がぴったりなんです。

岩井:(笑)。

雄貴:しかも「大丈夫だよ」じゃなくて「でえじょうぶだ」っていう、「もっと気楽に構えてくれ」というところがあって。ワクワクって緊張に似てるし、不安に近いところもあったりすると思う。未知に対してのワクワクはそれはあるけど、「これ大丈夫かな」とか「本当にやっていけるのかな」「ファンがついてきてくれるのかな」っていう不安はないです。

尾崎和樹

尾崎和樹

――確かにライブで新曲を演奏した時の雰囲気を見るにつけ、これからいろんなことが起こりそうっていうワクワクがありました。

雄貴:今もあの曲だけじゃなくて、何曲か作っているんですけど、結構曲が生まれるスピードが早くて。で、今のところ全部バラバラなんですよ。それにすごいワクワクしてて。「4匹のくじら」を作っている時はアコギを持ち寄って、岡崎くんはバンジョーを持ってという感じで面白かったよね。だからベースをやるつもりだったのにバンジョーを渡されて(笑)。

岡崎:チューニングはギターとも似てるんですけど、違ったりするんです。なので、チューニングの仕方をインターネットで検索することから始めて(笑)。

――でもライブに間に合わせたかった?

雄貴:「作ろう」となりましたね。ライブで新曲を聴かせたいっていうのと、今の自分たちが見ている未知のワクワクの景色とGalileo Galileiで書いてきた歌詞の中にある世界っていうのを散りばめてちゃんと伝えたかった。ダイジェストみたいなものじゃないですけど、「そういうのをやりたいんだよ」っていう。また和樹が歌詞に対しての考察をめちゃくちゃ長文で送ってくれたんですけど。

和樹:「これとこれ、繋がってるんじゃん」って(笑)。

雄貴:全部は読んでないんですけど(笑)。ライナーノーツとか和樹が書いてくれた方がいいのかも。

――その場合、歌詞に関しては「かもしれない」という注釈が必要そうですが(笑)。「4匹のくじら」はチェンバーポップ的でもありカントリーとも言えるような曲で。でもダイジェスト的な内容という意味で割と軽快な内容なんですか?

雄貴:そうですね。あと、鯨っていうのが今の自分たちを表してるというか。普段から動物や生き物に興味があるし、ファンタジーが好きだし、置き換えることで人に伝わるっていうのが好きだから。鯨って、陸に上がってもう一回海に戻ったっていう進化を辿ってるっていうのがあって、僕らも同じような人生歩んでるなって思っていて(笑)。それに鯨って大きいし、未知数な感じがあるじゃないですか。メンバーに対して思うイメージは鯨がすごい近いなと感じて、「僕ら4匹の鯨です」みたいな(笑)。それをちゃんと絵的にお客さんに見てほしかったっていうのもあって、歌詞がそういうふうになってるんです。俯瞰で自分の楽曲に登場してきた人物だったり世界っていうのを4匹の鯨が囃し立てて見てるっていう、ちょっとカントリーの歌詞のエッセンスを入れた状態で書いて。

――なるほど。

雄貴:ああいうのを書くときって結構難しいというか、ちょっと洒落っ気の方に寄りすぎてるかな?って考えると、BBHFやwarbearでやる時は自分の中でストップが掛かるんですけど、ガリレオでは今、不思議だし面白いんですけどストップがかかんなくて、普段だったら恥ずかしいことをやれちゃう場だなって思ってて。あの曲はまさにその感じがあるなと思います。

Galileo Galilei

Galileo Galilei

――それは初期衝動に近いものですか?

雄貴:初期衝動よりもミュージシャンとして、岩井くんも楽曲提供とかをしてて、自分でもやっていて、それぞれ仕事になったりして、聴き手の方にスタイルを見せなきゃいけないプロセスがずっと続いていると、どっか自分の中で「これダサいな」とか、勝手に自分を値踏みしちゃうというか。「ここでやめとこう」ってストップがかかって、それが洗練とかに繋がってきたりもするんだけど、ガリレオは洗練させるための壁がない感じはします。でもなんでもいいってことじゃなくて、自分の中にある未知数を知りたいっていうところに進めるのかなっていう。自分ができる精一杯の限界値で終わりじゃなくて、「もっと先に行けるかも」って進んでいって、仮にそこで転んじゃってもそれが形になるバンドになっていくと思うし、正直、アルバムを出したいんですけど、それはそういうものになるかなぁっていう気はしてます。

岩井:ガリレオで今たくさん曲を作ってて思いますし、昔も確かにそうだと思ったのは、曲ができた時のカタルシスというか、まだ見たことなかったけど聴きたかった曲みたいなものができたときの喜びってこうだったよなって、今一緒に曲を作っていて思っていて。感じたことのない領域を感じたときの喜びを知ってる人たちが集まってるから、ストッパーがなくてもその快感を知りたがってるっていうところがあるなって、みんなと曲を作っていて思いました。

雄貴:岩井くんからまだやろうって返事がない時に、「ガリレオってこういうバンドだったよね」っていう話をしてくれた中に、僕がブログで自分の好きな音楽のことを書いてたことも話してくれて。その時は誰にも見られてないのかなって勝手に思ってたけど、対バンした人が「あのブログ見てましたよ」とか、ファンの中でも自分で音楽を掘り進めている人たちがいて。僕の自己満足で種蒔きしていたことが、今花が咲いているような状態になってるっていうのがあって。Galileo Galileiっていうバンドで一つ野望があるとしたら、それを再びやりたいなっていう風に思ってますね。僕らを通してその人の音楽人生や音楽経験がもっと豊かなものになる手伝いというか、入り口に少しでもなれたら嬉しいなって思いがガリレオをやってた時が一番強かったんですね。むしろちょっと攻撃的な正義感に近いぐらい、僕は思ってたんで。今でもそれは無駄じゃなかったんだなって思っているからこそ、Galileo Galileiはそういうバンドでありたいと、これは僕の個人的な思いなんですけど。でも岩井くんから教えてもらったことで、いろいろ気がついた部分はあります。

――音楽を掘って聴いている人の中には音楽をやる人も出てくるでしょうから、それは楽しいですね。

雄貴:ガリレオを通して、ボン・イヴェールやザ・ナショナルのにライブ行っちゃうとか、そういう流れはなかなか作れてないものだと思うし、僕らのファンベース自体が普段生活してたらザ・ナショナルには絶対出会ってない人たちだと思うけど、繋げてあげれたらそれって本当にすごいことだなと思うので、そういう情熱は今再び盛り上がってます。ぶっちゃけへし折れてたんですけど、また、たくさん音楽を自分の中にぶち込んでやろうと思ってるし、お客さんにもぶん投げていこうと思います。

岩井:それをやってきたからお客さんも新しいものへの寛容さみたいなものがすごいあるなあと思うので。だから俺たちが作ったり、雄貴たちが作ってきたものってすごく変化も激しかったし、アルバムごとにそもそも音が全然違ったりするものに対しての許容はそういう種蒔きがあったからこそだし。

――いろんな音楽への興味の広がりももちろんそうですし、文学とか詩とか、他の表現への興味も広がると思いますよ。

岩井:単純に豊かになりますよね。

雄貴:みんなよく映画の話とかをするし、一緒に見たりとかするし。岩井くんともいつもお勧めし合っていて。岡崎くんも僕が言ったらすぐに飛行機で見てくれて。その中に結構お互いのヒントがあったりするし。

――リスペクトしている人が言ってることには興味があるし、感想を言い合うことで考察が深まったりするという関係はバンドももちろんですけど、人生で最強のつながりですね。

雄貴:確かに(笑)。

岩井:ずっと続けていけるというようなことを最初に話したけど、こういうことかもなあってすごい思います。

――そして来年の初夏にはZeppツアーも開催されます。

雄貴:もう頭の中にはライブのアイディアがいっぱいで。照明もそうだし、セットっていうか舞台美術とかもずっと自分たち主導で考えてやってきたので、すごく楽しみだし、やっぱりちゃんとBBHFやwarbearとはまた違うものを見せれるんじゃないかなって思っています。

――初めてGalileo Galileiを見る人もいるでしょうし。

雄貴:そういう人が多いみたいで。今回、warbearでサイン会をやった時に、中学生の頃に聴いてたとか、親から聴かされて「僕が自分で音楽を聴けるようになった時には解散しちゃってたんですよね」って人がどんどん増えていて、「そんな感じだったんだ」って思って。Zeppもそういう人たちがいっぱい来てくれるんじゃないかなって思っています。だからこそ、そこを超えてちゃんとライブ体験として、音楽的に喜びを感じてもらえるようなものを絶対やりたいなと思って。始動をしたっていう、そのイメージと喜びだけで終わらせるのは絶対嫌なので、そこはファンに対してちゃんとやっていきたい。音楽的に素晴らしいものを見せたいと思っています。

Galileo Galilei

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取材・文=石角友香 撮影=菊池貴裕

ツアー情報

Galileo Galilei “Bee and The Whales” Tour 2023
2023年5月31日(水)ZEPP SAPPORO
2023年6月8日(木)ZEPP NAGOYA
2023年6月9日(金)ZEPP NAMBA
2023年6月21日(水)ZEPP FUKUOKA
2023年6月24日(土)ZEPP HANEDA
 

オフィシャル1次先行
11/5(土)12:00〜11/23(水祝)23:59
※一般発売などは後日詳細発表
詳細:www.galileogalilei.jp
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