半世紀前のこけら落とし作品が現代によみがえる─名古屋小劇場演劇のメッカ「七ツ寺共同スタジオ」の50周年記念公演『夢の肉弾三勇士』
『不思議不可思議不死劇場 夢の肉弾三勇士』出演者一同
名古屋・大須の賑やかなアーケード街を抜けた路地の一角に、どこか異彩を放ちながらも静かに佇む「七ツ寺共同スタジオ」。1972年に創設され、約90名を収容可能なこの劇場は、今年2022年で50周年を迎えた。“共同スタジオ”の名の下に、開かれた表現の場として創成期から演劇、舞踏、音楽、美術、映画など雑多なジャンルのアーティストたちが入り乱れながら、いつしか名古屋小劇場演劇の殿堂に。’80年代から現在に至るまで全国区で活躍する北村想、天野天街(少年王者舘)、はせひろいち(劇団ジャブジャブサーキット)ら数多の才能を輩出してきた一方で、東西の人気劇団なども来訪し公演を行うなど、東海エリアを代表する小劇場として、さまざまな伝説や逸話も生み出しながら、半世紀という長きに渡って歴史を刻んできた。
そんな「七ツ寺共同スタジオ」の創立50周年を記念して企画された公演『不思議不可思議不死劇場 夢の肉弾三勇士』が、2022年11月18日(金)に開幕。27日(日)まで同劇場で連日上演されている(22日(火)のみ休演)。
『不思議不可思議不死劇場 夢の肉弾三勇士』チラシ表
本作『夢の肉弾三勇士』は、「七ツ寺共同スタジオ」のこけら落とし公演作品であり、23歳でこれを執筆した流山児祥が当時率いていた〈演劇団〉の初期代表作だ。上海事変や関東大震災などをモチーフに展開する青年たちのアジテーション革命劇を、今回の上演では、現代の要素を取り入れた“令和版”として、鹿目由紀(劇団あおきりみかん)が大胆に脚色。演出は、アングラ演劇の継承者を自負する渡部剛己(体現帝国)が手掛けている。
また、キャストは東海地区で活躍する俳優たちと、オーディションに合格した11名の総勢20名が出演。中高生を含む10代、20代の若手からベテラン俳優まで、バラエティ豊かな顔ぶれが揃った。そして音楽は、舞台をはじめテレビやアニメ、CMでも活躍する、やとみまたはち(劇団アルクシアター)が担当。美術は、異種交配を鍵に美術作家として東京を拠点に活躍する大野洋平が参加するなど、スタッフ陣の充実ぶりも注目の公演となっている。
50年前とは社会情勢も人々の意識も大きく様変わりした現代日本で、新たな息を吹き込まれよみがえる『夢の肉弾三勇士』とはどのような作品で、周年記念としてどのような公演を目指したのか。本作を企画・主催する〈七ツ寺企画〉の代表・柴田頼克と、脚色を手掛けた鹿目由紀、そして演出を担当した渡部剛己の三者へのインタビューを通して、『不思議不可思議不死劇場 夢の肉弾三勇士』の全貌に迫った。
■これまでの50年と、これからの50年。過去と未来の双方向を見据えた企画に
── 今回の50周年企画の総合プロデューサーは加藤智宏さんということですが、立案は柴田さんがされたということですか?
柴田 そうですね。発起人が僕であって、立案した企画が全部採用されているというわけではないんですが、「50周年を記念する公演がやりたい」と声を上げて、加藤さんや渡部さん、今井あや子さん(制作担当)に集まってもらって〈七ツ寺企画〉という組織を作りました。そこで僕の想いなどを組み込んでいただいて、じゃあこういう企画を立ち上げようか、というのを4人で進めていきました。
── 演出の渡部剛己さんは、もともと企画進行メンバーとして参加されていたんですね。
柴田 そうです。立ち上げメンバーの一人ですね。
── キャスト、スタッフの人選について重視された点などはあったのでしょうか?
柴田 幅広い世代の方に参加していただきたいと思っていたので、まだ見たことのない若手や新しい出会いを求めてオーディション枠を設けましたし、七ツ寺をよく使ってくださっている方々に積極的に声を掛けさせていただきました。あと、40周年記念公演『東京アパッチ族』(2012年上演)に出ていただいた方にも声を掛けて。今回も参加していただいている久川德明さん、山口純さん、田口佳名子さん、名前は変わりましたが、おにぎりばくばく丸さんがそうですね。結果的に、こちらからキャスティングした方が9名、オーディションで合格した方が11名になりました。
『不思議不可思議不死劇場 夢の肉弾三勇士』通し稽古より
── 『夢の肉弾三勇士』を上演作に選ばれた経緯というのは?
柴田 最初は何をやろうか、めちゃくちゃ困ったんです。「劇作家の誰かに新作を書いてもらおうか」と話し合っていた時に、たまたまこけら落とし公演の話を聞いて。その作品をいま上演したら、アニバーサリーという点に関してはこれ以上のものはないだろう、と。でも、僕の中では50年前の戯曲が手に入るとは思っていなくて。ダメ元で流山児さんに連絡を取ったら、数ヶ月後に台本の原本が送られてきて、嘘だろう!って。ちょっとした運命的なものを感じて、もうこれは『夢の肉弾三勇士』で行くしかない、と思いましたね。
── 原作を読まれてみて、どんなご感想でしたか。
柴田 すごく難しくて、読んでる途中で何度も心が折れました。内容が全く入ってこなかったですね。何が行われているんだろう?みたいな。明確なストーリーがあるわけではないので、時代背景がわからないと理解できないみたいなことも含めて、僕にとってはとても難解でした。だからまずは時代背景を勉強するところから始まって、という感じでしたね。
なので、さすがにこれをこのまま上演するのはちょっと厳しいだろうという話をして、現代風にリライトしなければいけないなということで、鹿目さんに脚色をお願いしました。登場人物も意外と少なかったので、人数も増やしていただいて。流山児さんに脚色のことをお伝えすると、難色を示すことなく承諾をいただいたので有り難かったですね。
── 鹿目さんに脚色をお願いするというのは、柴田さんがご指名を?
柴田 僕というより、4人での会議中に自然と名前が挙がった感じです。現代版としてエンターテイメント性やわかりやすさを加えて、キャストの数を増やしていただく、というオーダーに応えられそうな作家さんは誰だろう? と話し合う中で自然に。
── 50周年企画全体として、ポイントにされた点があれば教えてください。
柴田 今回のテーマとして、「これまでの50年、そしてこれからの50年、過去と未来の両方を見ていきたい」という企画になれば、とずっと思ってきたので、そういうところは意識しましたね。キャスティングから何から全部。それで2022年4月~5月に、関連企画として「高校生が創る『夢の肉弾三勇士』」も実施しました。この関連企画でも本公演でも、若い世代の方に七ツ寺と関わっていただくことで、10年後、20年後にまた何か起こるかもしれない。そういうこれからの50年も意識した企画として考えていきましたね。
■「原作の破天荒な爆発的コラージュを活かしつつ、今とリンクするところを探して書きました」
── 最初に脚色依頼を受けた時のご感想はいかがでしたか?
鹿目 七ツは、名古屋に移り住んだ大学の頃に初めて立った舞台ですので、思い出深い、大事な場所です。だからお話をいただいてとても嬉しかったのですが、なぜわたしに!? と思ったりもしました。これまでの記念公演を考えると意外な気がしました。
── 流山児さんの原作を読まれた時の印象や、率直なご感想をお願いします。
鹿目 流山児さんの話を読んでみてまた、「なぜわたしに!?」という気持ちが上がりました。読んだ最初の印象は、「もりだくさん。想いと言葉とその時代の匂いがあふれている」という感じでした。そして「なんじゃこりゃ」とつぶやきました。でも流山児さんとは一緒に仕事もしてましたので、わたしなりに台本の核みたいなものは感じ取れました。こけら落としの舞台、観てみたかったなあ…と思いを馳せました。
── 〈七ツ寺企画〉が執筆を依頼した際、「現代の要素を加え、原作よりも登場人物を増やしてほしい」とオーダーしたとのことですが、脚色をするにあたって重視されたことや、苦労された点、脚色作業を通して何か感じたことなどありましたら教えてください。
鹿目 脚色、さてどうしたものか…と考えましたが、流山児さんと東京でお会いした時に「好きにやっちゃってくれ」と言われたのもあり、あまり縛られず直そうと思いました。もともとの破天荒な爆発的コラージュを活かしつつ、いまとリンクするところを探しました。また、いまの時代でなにが起こっているのか、いや、昔とそんなに変わってないところもあるのか、などを考えたりしました。
書き出す前に、海上宏美さん(名古屋在住の批評家で元演出家)に昔の演劇のお話を伺ったりして、当時の匂いを想像しました。演出の渡部さんともいろいろ話して、少しストーリー的な部分が香るように立ち上げたりもしました。また、頼まれた理由として、「女性の観点が欲しい」というリクエストもありましたので、新たな視点として入れ込みました。ここ15年くらいで起こってきた世の出来事も意識しました。
脚色をやってみて感じたのは、この作品と向き合うことは、タイトルにある「夢の」という部分に「やっちゃっていいよ」とくるまれつつも、現実を強く意識しながら書く作業だなということです。「夢の」は「現の」と同義だなと感じました。
■演出テーマの「受け継ぐ」を全員で共有し、生のエネルギーがあふれる舞台に
大学時代に2年間、「七ツ寺共同スタジオ」でスタッフを務めていた渡部剛己は、2008年に〈体現帝国〉を旗揚げし、演出家として活動を始める。〈演劇実験室◉天井桟敷〉を主宰した寺山修司(1935-1983)の影響を色濃く受け、寺山の死後、音楽と共同演出を担当していたJ・A・シーザーと天井桟敷の劇団員で結成された劇団〈演劇実験室◉万有引力〉に2016年まで4年間に渡って所属していた経歴も持つ。2017年に名古屋で〈体現帝国〉を再開して以降は、年1回以上の本公演と、それに伴う実験公演を実施。集団の力に重点を置き、観客の想像力を鍵に舞台芸術でしか創造できない世界を生み出すべく活動を続けている演出家だ。
『不思議不可思議不死劇場 夢の肉弾三勇士』演出の渡部剛己
── 渡部さんは、50周年企画のスタッフとして立ち上げから関わられていて、自ら演出も志望されたとか。
渡部 戯曲が先に決まって、脚色も決まって、演出家が難航していたんですよね、誰にしようかと。スタッフが1人減ると運営が弱くなるので僕は候補から外されていたんですけど、演出家の候補を挙げて考えていくと、どう考えても僕でしょ、って(笑)。よくわからない戯曲を演出するのは得意なので、自分には合っている戯曲だと思いました。
── ご自身の演出手法を培われた場や影響を受けた人物というのは、やはり〈演劇実験室◉万有引力〉や寺山修司さんが大きいのでしょうか?
渡部 一番と言われるとそうですけど、他にも名前を挙げるとしたら、「利賀演劇人コンクール」へも参加しているので(利賀演劇人コンクール2016 優秀演出家賞 二席を受賞)、その時にお会いした鈴木忠志さんですね。あとは暗黒舞踏で、〈東雲舞踏〉(土方巽の直弟子・和栗由紀夫に師事した川本裕子が代表を務める舞踏カンパニー)と一緒に活動していたので、舞踏のエッセンスも取り入れています。
自分の演出の特色として、いわゆるアングラと言われる時代のシステムや型を利用している自覚はあります。スズキメソッドは型ですし、〈万有引力〉や舞踏も分解・分析していくと型になっていきます。他にも、海外で言うと、ピナ・バウシュやタデウシュ・カントールからも大きく影響を受けています。彼らによって過去に創られた優秀な型を自分なりに受け継いで、いま何を創るか、というのが僕の命題というか、使命だという風に思っています。
── 鹿目さんに脚色を依頼して、上がってきた第1稿をご覧になった印象はいかがでしたか?
渡部 オーダーしたことをきちんと反映してくださったな、と思いました。原作は、50年前の右翼のヒーローみたいな人達が延々と喋ってる芝居なんですね。恐らくいま40代の人でも元ネタがわからないような内容で、現代の人が観るにはちょっとキツい。実験性が高すぎる戯曲というのか。僕は好きですけど、50周年企画といういろんなお客さんの層が観る公演なので、ある程度の満足度を感じてもらえるようにしたい、と思った時に、物語の軸があるといいな、と。
鹿目さんへは参考に、原田マハの小説「暗幕のゲルニカ」を提案しました。他にも寺山さんの後期の戯曲などをお渡ししました。結局、第3稿まで書いてもらったんですけど、戯曲としては第1稿で完成していて、第2稿、第3稿は上演にあたってもう少し短くしてほしいとか、そういうことをお願いしました。
── 演出作業に入られてからは、どういった点をポイントに進められていったのでしょうか?
渡部 いつも“演出ノート”というものを作っていて、要は、この戯曲のどういった側面を主軸にするかをまとめたものです。この劇では「愛」を訴えたいのか、それとも「戦争反対」なのか、いったい何が言いたいのか、と。顔合わせの時からみんなと作品に向き合っていく中で、あーだこうだと考えながら、今回は内容が5回ぐらい変わっていきましたね。演出的に一番やっていることは何か、と言われたら演出ノートに書いていることで、今回は最終的に「受け継ぐ」ということを演出テーマにしました。
【アンジェリータ】は50年前の原作でも出てくる役なんですけど、新しく【ユマ】と【少女】という役が加わっているんです。鹿目さんが何を書きたかったか、というのは、やっぱり付け足した部分だと思うんですよ。【アサヒ】とか【シムラ】という役も付け足されてはいるんですけど、全部を立てると、むしろ誰も立たなくなる。なので僕は、【アンジェリータ】【ユマ】【少女】の3人をキーにしています。
【アンジェリータ】の役は朝鮮人で、関東大震災が起きた当時、「朝鮮人や共産主義者が井戸に毒を入れた」というデマが流布した史実をもとにしたシーンですけど、それに対して【ユマ】は毒の瓶を持っていて、井戸に毒を入れようかどうしようかずっと迷ってる役なんですよ。それを僕は“血の繋がり”だと解釈して、【アンジェリータ】の何代か後に生まれたのが【ユマ】で、【ユマ】が妊娠した子どもが【少女】だと。
『不思議不可思議不死劇場 夢の肉弾三勇士』通し稽古より
実際にはデマだったことですけど、【ユマ】が毒を入れたらデマではなくなる。つまりそれは自分を否定することで、朝鮮人というものを否定するとか、自分の血を否定することになる。それともう一個、井戸には「海」というモチーフも掛かっていて、胎内のイメージも重ねています。そこに毒を流すということは、お腹に宿った子どもを流す=【少女】を殺すということで、自分の未来の否定でもある…と考えていくと、この3人がこの戯曲の一番強い物語の軸になると考えました。でもそんなことは、お客さんはわからなくてもいいと思っている派で。
それより役者達が戯曲を解らずにやっていると、パワーが弱くなるのが問題なんです。つまり、演出ノートの「受け継ぐ」というテーマを役者及びスタッフが共有して、「こういうことなんだ」という方向性が定まれば、劇が魅力的になって引力が強くなる。お客さんは結局、役者の引力とか魅力、舞台の生のパワーみたいなものを感じに来てると思っていて、物語が知りたいんだったら台本配って終わりでいい、と思っているんです(笑)。
なので、物語よりも演劇の力強さやエネルギーを伝えたい。それは単純に「うるさい」とか「声がデカイ」ということではなくて、静かでクールな力強さもあります。様々な要素を使い生の劇のパワーを出すには、みんなの方向性を一緒にする必要があります。それは演出としては毎回大切にしていて、その方向性がブレていないか、という修正を延々とするのが僕のいつもやっている演出家としてのもう一つの仕事です。〈体現帝国〉での作品制作と違って意識しているのは、僕が普段は役者に対して劇団では否定するようなことも受け入れ、出演者の各人の良い部分も悪い部分も含めた個性を活かす、ということですね。
── 舞台美術の大野洋平さんは、〈体現帝国〉でよくお願いしている方だとか。
渡部 そうですね。彼とは〈万有引力〉で出会いました。同い年ということもあり、仲良くなり、そこからの縁が続いています。私も彼も〈天井桟敷〉にヤラれているから、観てきたモノや考え方に共通するものが多くて毎回話が尽きないです。特に彼は美術に精通しているので、私のプランを超える美術プランを提供してくれるので、毎回刺激的な舞台に出会えています。
── 今回、大野さんにはどういった感じで美術をオーダーされたんですか?
渡部 戯曲を渡して、最初は「2階建てなんだ、井戸があるんだ、どうしようね」みたいなところから彼がアイデアスケッチみたいなものを描いてくれて、これだと不都合が…とか、これでどうだ、あれでどうだ…とか。さっきも話しましたけど、井戸をどうするかで、具象で出すのはマジでダセぇって話したり。あと「海」や「波」というのがキービジュアルの一つになっているので曲線のモチーフはあった方がいいということで、短絡的な具象の造形から始まって、いろいろ試行錯誤しましたね。最終的には、全部組み合わせると円形になったり筒のようになって井戸にも見える円台を作ってもらって、それがシーンによって変形展開していく形に辿り着きました。
『不思議不可思議不死劇場 夢の肉弾三勇士』通し稽古より
── 音楽は、やとみまたはちさんに20曲ぐらい作っていただいたとか。
渡部 戯曲に書かれている音楽数がそもそも多いんですよ。だから既成の曲もありますけど、歌の部分は全部新曲です。僕がまだ劇についてまだ何もわかっていないタイミングで、またはちさんから「渡部さん、打ち合わせしなきゃダメだ」って呼び出されたので、「はい、こんな感じ、こんな感じ」とか出まかせ言って。そしたらすぐに作ってくれました。やっぱりスゴイですね。仕事めっちゃ早いですし、イメージをすり合わせながらすごく時間を割いていただいて、カッコ良くて癖になる曲が沢山出てきました。その曲を音響さんが舞台の奥の方から出したりとか、客席の後ろから出したり、どこから音を出すかも設計してくれていて。照明さんも、結構いろんなギミックがあって灯体を吊れなかったりして大変なんですけど、僕のプランを踏まえてすり合わせてもらっていますね。そういった各スタッフ陣からのアイデアを打ち返すように出演者達の演技が変わっていき、作品が豊かになっていきます。
── 50周年を記念した作品であるということは、何か意識して創ったりもされたのでしょうか?
渡部 これは2極あって、あまり50周年を意識しないでおこう、というのはありました。というのは、50周年だからこれをやらなきゃ、ってなっていくと作品の純度が削がれていって、ノイズまみれになってツマラナイ作品になりかねない為です。作品自体が面白くないと結局、50周年として盛り上がらないので。ただ、祝祭性はちょっとあった方がいいよね、と。祝祭性というのは、単純になにか盛り上がる感じで。それは制作的な面もそうなんでしょうけど、作品としても、いわゆる静かにずーっと終わっていく作品とかダークな作品というよりは、できればハッピーな方向には持っていきたい、というのはあります。
戯曲の終盤で「役者達が走る」みたいなト書きがあって、最初はト書きどおりに、役者が全員前を向いて走りながらセリフを言ってるみたいな、なんか演劇っぽいやつだったんですけど、こりゃダセぇなと(笑)。でも、とにかくそのエネルギーみたいなものは欲しいので、いろいろなアイデアが出た中から、ラストにある仕掛けを用意しています。柴田はずっと、「50周年をもっとワクワクさせたい」と言っていて、「なんか、どこかの劇団の普通の公演と変わらないじゃん。全然ワクワクしない」みたいなことを愚痴っていたんですけど、その仕掛けが決まってから、彼を筆頭に座組がめちゃくちゃ盛り上がってます(笑)。
尚、本作は公演を収録して編集した映像の配信も予定されているので(配信期間は2022年11月22日(火)19:00~2022年12月6日(火)19:00、詳細は下記、公演情報を参照)、劇場へ足を運べない方はぜひこちらでご高覧を。
『不思議不可思議不死劇場 夢の肉弾三勇士』チラシ裏
取材・文=望月勝美
公演情報
七ツ寺共同スタジオ 50周年記念公演『夢の肉弾三勇士』
<重要:映像上演についてのお知らせ>
■原作:流山児祥(流山児★事務所)
■脚色:鹿目由紀(劇団あおきりみかん)
■演出:渡部剛己(体現帝国)
■音楽:やとみまたはち(劇団アルクシアター)
■総合美術:大野洋平
■出演:イルギ(劇的☆爽快人間)、鈴江あずさ、松竹亭ごみ箱(afterimage)、棚瀬みつぐ、おにぎりばくばく丸(afterimage’23)、御陵正人(御陵一座)、山口純(天然求心力アルファ)、好姫、おぐりまさこ(空宙空地)、中居晃一、三角ダイゴ(劇団ひとみしり)、赤木萌絵(体現帝国)、川瀬雄貴(おかしないえのまほうつかい)、田口佳名子(体現帝国)、久川德明(劇団翔航群) アンサンブル/山口凛花(OFFICE MINAMIKAZE)、熊﨑友愛、林青葉、伊藤すみか、菅谷瑞恵
■日時:2022年11月18日(金)19:00、19日(土)14:00・19:00、20日(日)14:00・19:00、21日(月)19:00、23日(水・祝)14:00・19:00、24日(木)19:00、25日(金)14:00・19:00、26日(土)14:00・19:00、27日(日)14:00 ※22日(火)は休演
■会場:七ツ寺共同スタジオ(名古屋市中区大須2-27-20)
■アクセス:名古屋駅から地下鉄東山線で「伏見」駅下車、鶴舞線に乗り換え「大須観音」駅下車、2番出口から徒歩約5分
■料金:一般4,500円 学生(25歳以下)2,500円/応援(観劇1名+DVD)一般10,000円 学生(25歳以下)7,500円
■配信:2,800円(収録、編集した映像を配信) 販売期間/2022年12月6日(火)16:00まで 配信期間/2022年11月22日(火)19:00~2022年12月6日(火)19:00
■問い合わせ:
project.nanatsudera.ticket@gmail.com
080-9054-2344(公演期間中)
■総合プロデューサー:加藤智宏(office perkypat)
■統括:吉戸俊祐
■企画:柴田頼克(電光石火一発座/かすがい創造庫)
■主催:七ツ寺企画
■公式サイト:https://projectnanatsudera.wixsite.com/website