「M-1のウエストランドへの賛否を彷彿とさせる映画!?」[Alexandros]川上洋平、カンヌで最高賞を受賞した『逆転のトライアングル』を語る【映画連載:ポップコーン、バター多めで PART2】

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2023.1.22
『逆転のトライアングル』より

『逆転のトライアングル』より

■ウエストランドのネタに対しての感じ方で自分の立場がわかるのかも

――川上さんはどう思いました?

僕は好きでした(笑)。「いいねえ」「言うねえ」みたいな(笑)。

――(笑)。

例えば、ダウンタウンさんがまだ新人だった頃、大物芸人や俳優の頭をはたいたりしてたじゃないですか。「えー! 浜ちゃん、そんなことして大丈夫…!?」みたいな感じで周りも驚くんだけど、なんか痛快だったし、応援したくなった。且つ、もちろんしっかり笑えて。下から攻めるから可愛げがあったし、親近感も覚えたし。「大物俳優とか大物芸人って言われてる人に対しても突っ込める俺たちの浜ちゃん!」みたいな感じで。

――活きの良い若手みたいな。

そうそう。ウエストランドのネタに対して、それに近いものを感じるか、「いや悪口でしょ」って感じるかで、自分の立場がわかるのかもしれない。

――なるほど。

で、『逆転のトライアングル』はというと、どの登場人物に一番感情移入できるかで、自分の立場が理解できるわけなんですよ。だからちょっとウエストランドとこの映画に近いもの感じません?

『逆転のトライアングル』より

『逆転のトライアングル』より

■『ザ・スクエア』は明確に特定の人に対する批判があった気がするけど、今回は割と人間そのものに対してって感じだったのが好きでした

――ああ、そうかも。リューベン・オストルンド監督は前作の『ザ・スクエア 思いやりの聖域』でもパルムドールを取っているので、2作連続という快挙を成し遂げています。

あの映画は何の前情報もなく観ていて。ヨーロッパのオシャレな雰囲気の映画やなーと思ってたらいつの間にか薄気味悪くなっていって。皮肉とメタファーがオシャレにわからないように盛り込まれていてかっこいい映画でしたね。でも『逆転のトライアングル』ははっきりと描いてる。それに、『ザ・スクエア』は明確に特定の人に対する批判があった気がするけど、今回は割と人間そのものに対してって感じだったのが好きでした。

――さて、次回2月22日公開回は、予定では2022年カワカミー賞の発表なんですが。

そうなんですが、アカデミー賞のノミネート作品とかが気になるので、次回じゃなく、3月以降の発表にしましょう(笑)。とりあえず『バビロン』観たい!(笑)。

 

取材・文=小松香里

※本連載や取り上げている作品についての感想等を是非spice_info@eplus.co.jp へお送りください。川上洋平さん共々お待ちしています! 

上映情報

『逆転のトライアングル』
監督・脚本:リューベン・オストルンド/出演:ハリス・ディキンソン、チャールビ・ディーン、ドリー・デ・レオン、ウディ・ハレルソン他/配給:ギャガ
あらすじ:モデル・人気インフルエンサーのヤヤと、男性モデルカールのカップルは、招待を受け豪華客船クルーズの旅に。リッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでも叶える客室乗務員が笑顔を振りまくゴージャスな世界。しかしある夜、船が難破。そのまま海賊に襲われ、彼らは無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態に追い込まれる中、ヒエラルキーの頂点に立ったのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃婦だった――。
2月23日(木・祝) TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー
Fredrik Wenzel © Plattform Produktion

アーティストプロフィール

川上洋平(Yoohei Kawakami)
ロックバンド[Alexandros]のボーカル・ギター担当。ほぼすべての楽曲の作詞・作曲を手がける。毎年映画を約130本以上鑑賞している。「My Blueberry Morning」や「Sleepless in Brooklyn」と、曲タイトル等に映画愛がちりばめられているのはファンの間では有名な話。

ツアー情報

[Alexandros]『THIS SUMMER FESTIVAL TOUR '23』
5/17(水)・18(木) KT Zepp Yokohama
5/26(金) Zepp Sapporo
6/14(水)・15(木) Zepp Fukuoka
6/22(木)・23(金) Zepp Osaka Bayside
6/29(木)・30(金) Zepp Nagoya
※対バンアーティストは後日発表いたします。
 
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