Sota(GANMI)、「ダンスを文化に」夢を語るーー元タカラジェンヌによる連載『早花まこの、「2STEP、できますか?」』

インタビュー
舞台
2023.5.3
Sota

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三回目を迎えた早花まこによる連載『早花まこの、「2STEP、できますか?」』。宝塚歌劇OGでライターとして活躍する早花が、GANMI×宝塚歌劇 OG DANCE LIVE 『2STEP』に向けて出演者の様子をお届けしていく。宇月颯、湖月わたるに続き、GANMIのリーダー兼ディレクターであるSotaに話を訊いた。BTS「Butter」の振付に参加したり、SixTONES「Good Luck!」では振付だけでなく出演もしたりと、国内外問わず活躍の幅を広げるSota。そんな彼の夢とは。

●「違う」からこそ面白い!

昨年9月には、本格的なお稽古に先駆け、GANMIが主体のダンスワークショップが行われた。「はじめは少し緊張した」という、宝塚歌劇OGの宇月颯さんは、「GANMIの皆さんは私たちのダンスを否定せず、明るく受け入れてくださった。その姿勢にすごく感謝しているし、楽しかった」と語っていた。そうお伝えすると、Sotaさんは「良かったー!」と屈託のない笑顔を浮かべた。

ワークショップで間近に見た宝塚歌劇OGのダンスを、「初めて見る筋肉の使い方、動き方だった」とSotaさんは振り返る。

宝塚歌劇の舞台では、身体のラインや角度、ポーズの格好良さを意識して踊る。

「俺たちはポーズとポーズの間の動き方、動きのタイミングとかアクセントを大切にしてきたから。元男役の方達のダンスはすごく新鮮で、面白いと思ったんですよ」

さらに大きく異なるのは、群舞だ。宝塚歌劇の舞台では、約70人という大勢がまとまって踊ることになる。それでも一糸乱れぬ動きやポーズの形を揃えていく宝塚歌劇の群舞に対し、「GANMIは、形を揃えようとか考えたことない。音楽の捉え方、テーマ、俺らの振付のニュアンスを共有するだけ」。

この違いが同じステージに上がると、一体どんなダンスが生まれるのだろう。想像するだけで胸が高鳴る。

未知の作品を作ることに、不安はないのだろうか。そう考えた私に、Sotaさんの言葉がまっすぐ飛び込んできた。

「ステージの上で、何が起こるか分からない。そんな、ライブでしか味わえない感覚を楽しんでいただきたいです」

出演者それぞれが自らの新たなダンスを見つけるだろうと、Sotaさんは確信している。

「この公演では、出演メンバーの一人一人に、役割があるんです。ナンバーごとにみんなが自分の役割を楽しむ、そうして全員の持ち味が活きる舞台になる。それが大事だって思います」

これまでGANMIを応援してきた方々、宝塚歌劇を応援してきた方々、ダンス公演をよく観る方や初めて観る方……観客は、様々な角度から舞台を観る。だからSotaさんが目指すのは、「全方位からの視線をカバーする、色々な魅力が詰まった舞台」だ。

劇場に足を運んだ方が、何度でも観たくなる。そんな作品を目指して出演者全員で進んでいこうと、Sotaさんは意欲を燃やしている。

●誰も見たことのないダンスを

Sotaさんは、進み続けるアーティストだと思う。その力強さ、時代の流れをとらえて形にする感性、人の心を動かすダンス。「若さ」だけでは説明のつかない熱量が、彼の内側から湧き出ている。

Sotaさんの夢は、「GANMIをひとつの文化として世界に根付かせること」。

「上手く踊る」、「脚光を浴びる」という目標を遥かに超えた場所にあるその夢は、いつから彼を駆り立てているのだろうか。その質問に、Sotaさんは「高校生でダンスを始めた、その時からです」と答え、しっかりとこちらを見据えた。

ダンスの実力を高く評価されたことで、周囲から一目置かれるようになったと感じたSotaさんは、「踊りを追求する人生を歩もう」と決意した。そして、これからも踊り続けるからには、そのダンスを文化にしたい、と。

「だって、高校生でこれだけダンスをやってて、職業にしないのはコスパ悪いなって思って」

その思いは薄まることなく、今日までSotaさんを先へ先へと歩ませている。

「ステージに立つ時は、「今の自分」。作品の制作や振付をする時は、「5年後……10年後の自分」として、仕事をしてる。最近、そんなふうに感じますね」

自らの才能を「ダンスというより、頭の回転の速さ」と語るSotaさんは、どんな時も妥協をすることなくダンスに挑み続ける。

「お前は生き急いでるって、よく言われます。ただ、せっかちなだけなんですけどね」

地平線に向かって大地を疾走するライオンは、しかしどこか悠然としている。険しい道でも楽しげなその足取りを追って、彼が辿り着く景色を、私も見てみたい。ここから始まる『2STEP』は、その多彩なシーンの数々を少しずつ浮かび上がらせている。

取材・文=早花まこ

Sota(GANMI)
2015年結成された11人組ダンスアーティスト「GANMI」のリーダー兼ディレクター。
GANMIは2016年にアメリカ・ロサンゼルスで開催されたダンスの世界大会「VIBE DANCE COMPETITION XXI」で日本チーム初の優勝を皮切りに、ライブ活動、アーティストの振付・ライブ演出、TVやCM出演、バックダンスと多岐にわたって活動中。国内外問わず数々のアーティストの振付を手掛けており、2021年BTS「Butter」の振付制作に参加し、最注目ダンスアーティストとなる。
【主な振付作品】
BTS「Butter」(振付参加)、AKB48「久しぶりのリップグロス」(振付)、SixTONES「Good Luck!」(振付・出演)、Nissy「Trippin」(振付・出演)、Tomorrow X Together「No Rules」(振付参加)、NCT U「Work It」(振付参加)など

 

公演情報

GANMI×宝塚歌劇OG DANCE LIVE『2STEP』
 
■振付:GANMI
■構成・演出:Sota(GANMI)
 
■出演:
【GANMI】
Sota、SUN-CHANG、kooouya、Kazashi、
Mr.D、shun、Dyson、Yuuki、Ryoga、O.S.M、AOI
 
【宝塚歌劇OG】
宇月颯、風馬翔、隼海惺、矢吹世奈、綾凰華、飛龍つかさ、輝生かなで
《SPECIAL CAST》湖月わたる
 
【東京公演】
日程:2023年5月26日(金)~5月28日(日) 
会場:日本青年館ホール
 
5月26日(金)15:00●
5月27日(土)12:00/16:00(貸切)
5月28日(日)12:00●/16:00☆
※●=アフタートークショー ☆=スペシャルカーテンコール
 
:S席11,500円、A席7,000円(全席指定・消費税込)
 
【大阪公演】
日程:2023年6月2日(金)~6月4日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
 
6月2日(金)14:00●
6月3日(土)12:00/16:00(貸切)
6月4日(日)12:00●/16:00☆
※●=アフタートークショー ☆=スペシャルカーテンコール
 
:全席11,500円(全席指定・消費税込)
 
■公式HP:https://www.takarazuka-live-next.co.jp/stage/2023/2step/
■公式SNS:
Twitter @Takarazuka_LN
Instagram @takarazuka_live_next
TikTok @2step2023 ※2STEP公演限定
 
■お問合せ:
梅田芸術劇場(10:00~18:00)
〔東京〕0570-077-039 〔大阪〕06-6377-3888
 
■企画・制作・主催:タカラヅカ・ライブ・ネクスト、梅田芸術劇場

『早花まこの、「2STEP、できますか?」』

第一回:宇月颯インタビュー(全文はこちら
<早花まこプロフィール>
東京都出身。2002年宝塚歌劇団入団。2020年の卒業まで雪組娘役として幅広い役を演じた。宝塚歌劇団の機関誌『歌劇』のコーナー“組レポ。”では、8年にわたり執筆。独自の視点で見た雪組生の様子を豊かな文章表現で伝え、ファンの人気を集めた。また、2023年3月1日『すみれの花、また咲く頃―タカラジェンヌのセカンドキャリアー』が新潮社から刊行される。現在は、文章といけばなの修行中。
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