反田恭平「水野優也(チェロ)は大きく活躍していく奏者の一人」 デビューアルバムリリース記念ロングインタビュー~レコーディング秘話から聴きどころまで
レコーディング裏話を初公開!
——今回のレコーディングで、印象に残っているエピソードなどはありますか?
反田:裏話ですけど、実は僕は二つのプロジェクトを同時に進めていました。僕と務川慧悟くんとの2台ピアノのアルバム『Two Pianos 2』と同時収録だったのです。僕が取材で抜けた時間帯に、水野くんがコダーイの無伴奏作品を収録する、といった流れでしたね。務川くんとはルトスワフスキやブラームスの作品を演奏していたので、8曲くらいやっていました。大変ではあったけど、二人とも息が合うので問題はなかったです。
水野:僕も裏話ですが、コダーイの「無伴奏チェロ・ソナタ」は調弦方法が特殊で、とても技巧的で、弾くのが本当に大変な作品なんです。僕にとってレコーディングは初めての経験でしたから、ペース配分が難しくて、左手の指の皮が裂けてしまい、途中から痛すぎて弾けない状態になってしまいました。一部ちょっと納得しきれないままレコーディングが終わりそうになったのですが、最後にもう1回だけ録ろうと、全力を振り絞って演奏しました。そのテイクを採用しています。弓の毛も、1テイクで何本も切れてしまって、空き時間に急いで替えに行くなんていうこともありました(苦笑)。
反田:初めてのレコーディングは、確かに緊張するよね。僕はデビューアルバムのレコーディングの時、形から入ろうと思ってスーツを着て臨んだのを覚えてる。お客さんがいるかのようにランスルーで弾いて、2日目に細かいところを録ったりしたかなぁ。今もレコーディングはまず90点以上のテイクを録って、そこから細かく詰めていく方法を取っていますね。
水野:いや〜なかなか……それをコントロールできるのがすごい。同じエネルギーで弾き続けるのは大変ですから。
反田:場数だと思います。僕はいつでも100%好きな熱量で弾ける。家でも全力で弾いているからかなぁ? あとは、マイク越しに聞こえている音を想像しながら演奏しています。レコーディングのための弾き方というのはありますね。
水野:おお、なるほど……。
>芳醇なサウンドを、ゆったりと聴いてほしい