反田恭平「水野優也(チェロ)は大きく活躍していく奏者の一人」 デビューアルバムリリース記念ロングインタビュー~レコーディング秘話から聴きどころまで
芳醇なサウンドを、ゆったりと聴いてほしい
——録音はチェロの豊かな倍音まで感じられ、ピアノとチェロのハーモニーも隅々まで美しいバランスで伝えられます。今回の録音のクオリティについてはいかがでしょうか。
反田:いつも信頼しているディレクターさんに入ってもらっているので、安心できるクオリティに仕上がっています。チェロとピアノのバランスや解像度も時代のニーズに合わせたサウンドになっていると思います。
水野:曲によってイメージする響きは異なりますよね。たとえばコダーイの作品などは、2000人のホールの響きというよりは、一人で作品に向き合っているような親密な響きが欲しい。そんな抽象的なリクエストを出させてもらったのですが、納得のいくサウンドに仕上げてくださいました。
——水野さんがお使いになっている楽器についても教えていただけますか?
水野:僕が現在使っているのは、桐朋学園の齋藤秀雄先生がお使いになっていたイタリアのテストーレ1746年製のチェロです。これは著名なチェリストの方々が代々受け継いできた楽器でして、これで録音できたのもとても嬉しいです。僕が貸与を受けて4年が経ちますが、ようやくコントロールができるようになってきたところです。すごく渋い音のする楽器なので、音を前に出そうとすると、力んでしまってうまく鳴らない。いい音色でいい音楽を作るまでは時間がかかりました。
——今回のアルバムをどんなシチュエーションで聴いてほしいですか?
反田:イヤホンでしっかり聴いてもらったり、僕自身は運転しながら音楽を聴くのも好きなので、ドライブ中などにも聴いてほしいですね。水野くんのデビューアルバムでもあり、僕にとってもショパンのチェロ・ソナタはそう簡単に取り組むことのできなかった作品なので、楽しみにしていただきたいです。
水野:僕は音源を聴く時って、一日のやるべきことが全部終わって、お風呂にも入った後、ゆっくりお酒を飲みながらリラックスして聴くことが多いです。一日の終わりにピッタリなアルバムだと思うので、みなさんにもぜひゆっくりと聴いていただけたら嬉しいですね。
取材・文=飯田有抄
リリース情報
新進気鋭のチェリスト・水野優也が満を持してCDデビュー。共演ピアニストには、第18回ショパン国際ピアノコンクール第2位の反田恭平。反田にとってもショパンの室内楽曲は初のリリースとなります。
▼収録曲
コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタOp. 8
ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ Op. 3
ショパン:チェロ・ソナタ ト短調 Op. 65
https://www.novarecord.jp/newrelease/nr02302/
公演情報
<日程>
2023年08月26日(土)所沢市民文化センター ミューズ アークホール
2023年08月28日(月)可児市文化創造センターala
2023年08月29日(火)東京芸術劇場 コンサートホール
2023年08月31日(木)ふくやま芸術文化ホール・リーデンローズ
2023年09月01日(金)山口市民会館
2023年09月02日(土)アクロス福岡 シンフォニーホール
2023年09月03日(日)熊本県立劇場 コンサートホール
チャイコフスキー:ロココの主題歌による変奏曲 *チェロ:水野優也 / 森田啓介
モーツァルト:交響曲第40番 ト短調K.550
モーツァルト:ピアノ協奏曲第15番 変ロ長調K.450 *指揮・ピアノ:反田恭平