時速36km『RUSH BALL 2023』ライブレポートーー『ラシュボ』へ一歩ずつ歩みを進めて立った堂々のステージ
時速36km 撮影=田浦ボン
『RUSH BALL 2023』時速36km
前日は思いがけない雷雨のため、残念ながら中止となった『RUSH BALL』DAY1。改めてライブがナマものであることを多くの人々が感じ取ったのではないだろうか。そして迎えた2日目、昨年はATMCで、今年は大阪城音楽堂でのプレイベント『RUSH BALL☆R 2023』でも躍進を見せた時速36kmがオープニングアクトを担う。泥臭く、でも底抜けにやさしいロックンロールを打ち鳴らす彼らのステージには、この日、この瞬間、この場所で出会えた奇跡が凝縮されていた。
時速36km
「東京の江古田っつー小さい街からこんな大きなステージにやってきました!」と意気込む仲川慎之介(Vo.Gt)。衝動のままにまくしたてるかのような「七月七日通り」を皮切りに、快走するビートにたくさんの拳が上がった「銀河鉄道の夜明け」を奏でたときには、すっかりそのブライトなメロディが身体中を駆け巡る感覚に。心の柔らかな場所にまで届くリリカルな「ムーンサルト」を聴いていると、眼前で鳴らされているのは、暗闇の中での道標になる音楽だと気付く。
「昨日は雨で中止になって、仕方ないこと、誰にもどうすることもできない……そんな状況に直面したとき、こうやって大きいステージであんたらの前で歌えている状況がどんなにありがたいことかって痛感して。当たり前のことじゃねーなと。お客さんもそう、スタッフさんやバンド、みんなが頑張って今日をつくっているわけですよ。だから今日、ここに立っている間は誰よりもかっこいいロックバンドになってさ、日本で一番かっけーロックを鳴らします」(仲川)
時速36km
そう言葉にして奏でる「ブルー」は何とも開放的で、ラストの「ハロー」での一体感はもはやオープニングアクトの枠を大きくはみ出した存在感だ。そんなたくさんの奇跡を感じさせた時速36kmが『RUSH BALL』DAY2を開幕へと導いた。
取材・文=後藤愛 撮影=田浦ボン
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