『キン肉マン』作画担当の中井義則×イラストレーター中村佑介、大阪芸術大学に通うクリエイターの「たまご」達にエール(コメントあり)
漫画『キン肉マン』の作画を担当している中井義則が、大阪芸術大学スカイキャンパス(あべのハルカス24階)にて、未来の漫画家、クリエイターを目指す学生に向け、『キン肉マン』の大ファンという、同大学卒業生でイラストレーターの中村佑介とともに特別講演会を実施した。コメントが到着したので紹介する。
大阪芸術大学スカイキャンパスでは9月16日(土)〜10月15日(日)の期間、アニメ放送40周年記念『超キン肉マン展』が開催されていることから、今回の公演の実施が決定。開催中の『超キン肉マン展』の感想や、アニメ化された当時の感想に加えて、中井自身が作画で気を付けていることや、長い間、連載を続けるコツなどについて語った。講演会の後半ではキン肉マンも登場! 中井と共に、未来の漫画家やクリエイターの「たまご」達にエールを送った。
●漫画『キン肉マン』作画担当・中井義則コメント
14歳の時、相棒の嶋田くんと近鉄百貨店の漫画コンクールに入賞したんです。そんな縁のある、この地で『超キン肉マン展』が開催されてとても嬉しいです。
キン肉マンはアニメ化まで3年かかっています。当時、21歳くらい。アニメのスタッフとかとの顔合わせの際は、タイガーマスク等、人気のアニメを作られていた方々だったので、緊張したことを覚えています。当時はジャンプ編集部の人たちが外の情報をシャットアウトしていたよう で、僕らが人気やムーブメントを感じたのは皆さんより遅れていたかもしれません。最初、キン肉マンという漫画のタイトルでしかもペンネーム がゆでたまごってと言われて笑われていたんです。ただ、それが徐々にあのキン肉マン!?というリアクションになっていって。人気が出たこと を実感しました。
相棒の嶋田くんとは小学校5年生の時に僕の転校で知り合いました当時、彼は『キン肉マン』をすでに書いていて、彼の家で読んだんです。普通のおじさんが、キン肉マンに変身し、オナラで空飛んだりする話だったんですが、僕は爆笑してしまった。元々、絵を描くことは好きだったん ですが、漫画に目覚めたのは嶋田くんの影響ですね。当時のキン肉マンは今のキン肉マンに出てくるシシカバブーというキャラクターにそっくり ですよ。僕たちの漫画家デビューは17歳。漫画になるにあたり、当時、通っていた高校に、少年ジャンプの編集長と編集担当の中野和雄さんが来てくれて先生たちと話をしてくれたんです。「漫画家なんて上手くいかない」と多くの先生がおっしゃる中で、一人だけデザイン科の先生が「人生のチャンスだ!頑張れ」って背中を教えてくれたこと覚えています。
「超人募集」という企画を行っていますが、当時、多いときは10万通のハガキが届きました。相棒の嶋田くんのアパートに持っていって、一通ずつ目を通していたんですが、ハガキの重みで床が抜けそうになったり、ハガキで指紋がなくなるほどでした。多くは小学生達が書いてくれてたので、画力とかではなく、シンプルだけど目を引くもの、ストーリーの中にいれたら生き生きしそうだなという観点などで選んでいました。
キン肉マンは36巻が出るタイミングで自分たちから少年ジャンプ編集部に一度、終了させてくれとお願いにいったんです。人気もあったし、強敵などをどんどん出せば、連載を続けられたかもしれないけれど、キン肉マンをボロボロにしたくなった。一度休ませたかったんです。あと、僕個人としては髪のあるキャラクターも描きたかったかな(笑)。キン肉マン以外の漫画を描いたりする中で、自分たちの視野が広がったり、冷静に作品に向き合えるようになりました。そんな時に、読み切りでキン肉マンを描くことがあったんですが、その時、相棒の嶋田くんが書いてきた原 作の熱意が凄く感じられて。今ならさらなるキン肉マンを描けることができるかもしれないと二人で思い、キン肉マンの続きを描こうとなって、 今でも連載を続けています。
その昔、俳優の藤田まことさんに漫画を読んでもらったときに、「二人が関西出身だとすぐに分かった。関西人は二面性がある。キン肉マンも 笑えるところと、カッコイイところがある。二人が東京出身だったら、こうはいかなかったもね。もっと正統派のヒーローを書いてたかも」と言 われました。それを聞いた時に、確かにこの大阪の地の影響があったのかなと思います。
漫画家を続ける原動力は今でも絵描きとして、もっとうまくなりたいと思っていること。もっと勉強しないとも思います。周りはすごい人だら けなんで。デビュー当時から今年1年頑張ろう、今年1年頑張ろうと思ってやっています。今でもそうです。
これから漫画家を目指す皆さん、まずは自分が楽しまないと人を楽しませることは出来ない。そして、一度、書き始めたら苦しいこともあると 思うけれど、最後まで書ききることが大事かと思います。頑張って、そして楽しんで下さい。
●中村佑介コメント
僕は、アニメからキン肉マンを好きになったのですが、夢はゆでたまご先生のアシスタントになることでした。そのために、キ ン肉マンを家でも一生懸命、書いていました。ただ、中井先生の描くキン肉マンって、とにかく線がきれいなんです。独特のタッ チというか。なので、先生しかかけないというか、誰もマネができないものだと思っています。
新しく連載を再開されて新刊が発売されるときに、それまでの1巻~36巻の表紙も全て書き直したじゃないですか。しかもご 自身達で描きたいと申し出をして。その熱量とか本当にすごい。僕、元々の原作持っているのに買い直しましたもん(笑)。そして、 新しいものがさらに面白くなっている。もう、ベテランなのにいまだに進化しているんです。
今日、先生とこうしてお話できて、本当に夢と言うか、目標が叶ってしまった……、明日から抜け殻みたいになってしまうか もしれません(笑)。でも、先生たちにはずーっと描き続けて欲しいです!!僕たちファンはずっと楽しみにしていますし、漫画も買い続けます!!
『超キン肉マン展』は10月15日(日)まで開催、「超人オリンピックチャンピオンベルト型ベルトバックル」が付いてくる特典付入場券はイープラスにて販売中。