坂本龍一さんと高谷史郎による、シアターピース『TIME』日本初公演 アーティストコメントと新ビジュアルが公開
RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI『TIME』
2024年3月28日(木)より東京・新国立劇場、2024年4月27日(土)より京都・ロームシアター京都にて上演される、RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI『TIME』。この度、アーティストコメントと新ビジュアルが公開となった。
『TIME』は、1999年に日本武道館、大阪城ホールで上演され、約4万枚が即完売した公演『LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999』に続き、坂本龍一さんが全曲を書き下ろし。高谷史郎(ダムタイプ)とコンセプトを考案、創作した。
2017年から約4年の製作期間を経て、2021年に坂本さんがこの年のアソシエイト・アーティストを務めた世界最大級の舞台芸術の祭典「ホランド・フェスティバル」(オランダ・アムステルダム)で世界初演され、高い評価を得た。来春の日本初公演は、奇しくも坂本さんの逝去からちょうど一年後の命日にあたる2024年3月28日に東京・新国立劇場にて開幕する。
観客は、暗闇の中、雨音だけが響く客席空間に足を踏み入れ、本作の鑑賞体験は始まりまる。水鏡のように舞台上に揺らぐ水面と、精緻な映像を写しだすスクリーン。「こんな夢を見た」の語りで始まる夏目漱石の「夢十夜(ゆめじゅうや)」(第一夜)、「邯鄲(かんたん)」、「胡蝶の夢(こちょうゆめ)」—— 一連の物語と溶け合うテキストとともに紡がれる本作を包括するテーマは「時間」。田中泯、宮田まゆみ(笙)、石原淋のパフォーマンスと、サウンド/インスタレーション/ヴィジュアルアート。そのすべてが、光と水が交錯し幻出する、幾つもの「夢」とともに、劇場空間で融合する。衣裳デザインにソニア・パーク(ARTS&SCIENCE)、音響FOHエンジニアにZAKら、著名クリエイターも迎えた唯一無二のシアターピースが日本でついに初めて上演を迎える。
なお、東京公演は10月14日(土)、京都公演は10月29日(日)に一般発売が開始となる。
アーティスト コメント
■坂本龍一さん
坂本龍一 PHOTO BY NEO SORA (C)2020 Kab Inc.
パフォーマンスとインスタレーションの境目なく存在するような舞台芸術を作ろうと考え、『TIME』というタイトルを掲げ、あえて時間の否定に挑戦してみました。
(2023年新潮社刊『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』より抜粋)
■高谷史郎
高谷史郎
坂本龍一さんと長い時間をかけて創作に取り組んだ『TIME』がようやく日本で上演の運びとなりました。奇しくも東京公演の初日は一周忌。坂本さんの訃報を聞いた時、この偶然に慟哭し言葉を失いました。2021年コロナ禍のアムステルダムでの初演は、田中泯さん、宮田まゆみさん、そしてチーム全員が一丸となって坂本さんと共に成し遂げた奇跡の初演でした。私は幸運にもこれまで数多く坂本さんと作品を制作させていただき、その過程で多くのことを学びました。『TIME』のテーマである「時間」についても様々な角度から多くのことを語り合いました。坂本さんが思索を重ね情熱を持って作り上げた『TIME』。他の作品と同様に『TIME』も坂本さんのアイディアで埋め尽くされています。そのシンプルな構造の中に何重にも様々な思想が織り込まれていて、坂本さんがプロットされたより深い意味を、今後も作品を上演していくたびごとに、私自身、理解を深めていくのだと感じています。終盤、舞台に響く藤田六郎兵衛さんの笛の音は、六郎兵衛さん生前最後となってしまった演奏を、渡邊守章先生演出の舞台公演の際に急遽記録させていただいた音源であり、坂本さんの強い思いでこのシーンが生まれました。すべてが奇跡のようであり夢のようであり、それは「時間」の中に、存在します。
■田中 泯
田中泯 (C)AiriMatsuo
ヒトは現在だけを生きている者ではない。現在だけに眠る者でもない。金輪際の外にまで心踊らせ生きる者だ。僕は坂本龍一さんと、ずっとその事を話し続けてきた。これからもだ。沈黙の内側での会話だった。ある時、坂本龍一さんと高谷史郎さんが用意し演出する舞台作品『TIME』へ参加を頼まれた。お二人の共鳴する舞台の時にカラダを投げ込みたいと自然に思った。用意はとっくに済んでいる。『TIME』の日本公演が間も無く始まる。また坂本さんと話せるかな。
■宮田まゆみ
宮田まゆみ
『TIME』。
空間、音、ことば、そのすべてが静寂から生まれ、終(つい)には静寂に吸い込まれてゆく。
大いなる静けさに包まれたかけがえのない時をオランダで過ごしました。
日本でまた、この幸せを皆さまと共にすることができる。なんとうれしいことでしょう。
坂本さんもきっとふわふわと雲に乗っておいで下さるに違いありません。
2024年春を待ち遠しく思います。
■石原 淋
石原淋
さあ、今度はどんな旅に出かけようか。どんな支度をすればいいかな。そこにいけばどんな呼吸を感じられるかな。戻れなくってももういいや! ってなくらい、おもいっきりファンタジーに飛び込んでいこう。波瀾万丈の大河の流れに乗り、永遠と続く小さな命のひとつ、心細い事ばっかりだけれど、なんだか「あたたかいや」って思える儚い一瞬を感じ続けたい。ね、そうだよね?。