三浦宏規がほとばしるエネルギーで歌い上げる フレンチロックミュージカル『赤と黒』稽古場レポート
ここからは公開稽古の模様をお伝えしよう。
今回披露されたのは3場面。演出のジェイミーが丁寧な解説をしたあと、それぞれのシーンが公開された。
1幕第7場「♪禁じられた愛の言葉」
ジェイミー:最初にご紹介するのは、ジュリアンがルイーズの寝室に入って、彼の気持ちを告白するシーンです。二人は、この恋にすごくドキドキしているんですけれども、ジュリアンは聖職者で、ルイーズは結婚しているという状況です。でも勇気を出してルイーズに自分の気持ちを言おうと、ジュリアンは彼女のもとを訪れます。
二人は、小間使いのエリザ(池尻香波)がジュリアンのことを愛しているということを知らないのですが、この曲の途中で彼女が登場し、二人の場面を目撃してしまいます。『赤と黒』の最初のロマンチックなシーンです。
中央にベッドが置かれ、まさに部屋でくつろいでいるルイーズのもとを突然訪れるジュリアン。「気でも狂ったの!!」と驚愕するルイーズに対して「奥さま、あなたを愛しています!」と唐突に愛を告白するジュリアンの情熱に圧倒される。
「夫を呼ぶわよ!」と拒否をするルイーズに、「もう二度と会うことはないでしょう」と背中を見せるジュリアン。そんな彼を呼び止めるルイーズに複雑な女心が垣間見える。
このシーンで三浦が演じるジュリアンは、スリリングでデンジェラスな男というよりは、守ってあげたいと感じてしまうピュアさが際立っていた。のちの囲み取材で三浦は、自身が演じるジュリアンを「ピュア」に演じたいと語っていたが、まさに体現できているシーンとなっている。
一方で、ルイーズを演じる夢咲の清楚だけれど、どことなく色香を感じる雰囲気は「そりゃあ、ジュリアンが夢中になるだろう」と観ている者を納得させる美しさがあった。
夢咲ねね
最初は一定の距離を保っていた二人が少しずつ距離を縮め、抱き合いキスをするまで、ジェイミーが言うところの「最初のロマンチックなシーン」は、ドキドキしながら固唾を飲んで見守ることになるだろう。
1幕第10場「♪赤と黒」
ジェイミー:エリザがうっかり漏らしたことで、ジュリアンとルイーズの仲がバレてしまいます。それによってジュリアンは追放されてしまいます。
孤独で打ちひしがれてどうすることもできないけれど、ジュリアンは、自分の運命を受け入れなければいけません。彼は怒りがあふれ、混乱しています。このシーンは1幕ラストのシーンですが、彼は愛を諦めて、これからは野望のために立ち上がっていこうと決意します。
三浦宏規
ジュリアンがルイーズとの関係を諦めて、怒りと絶望に打ちひしがれている気持ちを「赤と黒」というパワフルな楽曲で表現。三浦の熱唱が際立つシーンとなった。ぶつけどころのない苛立ちを楽曲に乗せて、力強く歌い上げる。
そしてアンサンブルとの迫力のあるダンスにも注目したい。5歳でクラシックバレエを始めたという三浦が見せるキレのあるダンスに目を奪われる。「赤と黒」はアップテンポで難しい楽曲だが、それを歌いながら激しく踊るこのシーンは、間違いなく三浦の大きな見せ場となるだろう。
2幕第1場「♪誰も彼も退屈」
ジェイミー:1幕ラストの非常にエネルギーの高いシーンが終わり、観客の皆さまには休憩後、パリの世界へと飛んでいただきます。最後にお見せするのは2幕の冒頭のシーンです。
ジュリアンは、新たにラ・モール侯爵のもとで働くことになり、侯爵に信頼される秘書になります。このシーンは、侯爵家での舞踏会のシーンとなります。侯爵の娘、マチルドはこの舞踏会で紹介されるのですが、彼女は社交界に飽き飽きとしています。マチルドの父親であるラ・モール侯爵も初めてここで登場します。
東山義久
狂言回しを演じる東山義久がマチルドを紹介し、華麗に登場する田村。わがままなお嬢さまといった風情があるものの、華があってかわいらしいマチルドは田村のイメージにぴったりだ。
父親のラ・モール侯爵の言いつけで、嫌々舞踏会に参加しているマチルドの口癖は「退屈」。不機嫌な様子のマチルドをなだめすかす父親、ラ・モール侯爵を演じる川口の右往左往ぶりが面白い。
(左から)田村芽実、川口竜也
このシーンでも、田村を中心にアンサンブルと華麗なダンスが繰り広げられる。1幕最後のパワフルなダンスシーンとはまた違った、明るいけれど退屈で満たされないマチルドのイライラを表現。貴族との結婚を望む父親の気持ちに相反して、ジュリアンに興味を持ち始めるマチルドの小悪魔的な魅力をじっくり堪能したい。
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