沖縄在住の若手劇作家・兼島拓也 作、田中麻衣子演出の話題作『ライカムで待っとく』再演が決定

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2024.1.25

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2024年5月24日(金)~6月2日(日)KAAT神奈川芸術劇場にて、『ライカムで待っとく』が再演されることが決定した。

沖縄在住の若手劇作家・兼島拓也が書き下ろし、沖縄に出自を持つ田中麻衣子が演出を手掛けた『ライカムで待っとく』は、沖縄本土復帰50年となった2022年12月に上演されたもの。短い上演期間にも関わらず、観客に大きな衝撃を与え、第30回読売演劇大賞優秀作品賞受賞、第26回鶴屋南北戯曲賞ノミネート、第67回岸田國士戯曲賞最終候補作に選ばれるなど話題を呼んだ作品だ。

アメリカ占領下の沖縄で起こった1964年の米兵殺傷事件を基に書かれたノンフィクション「逆転」(伊佐千尋著、新潮社・岩波書店刊)に着想を得て創作された本作は、当時の資料を調査するとともに、「カイハツ」プロジェクト(※KAATが2021年より主催する、劇場が常に考える場・豊かな発想を生み出す場となることを目指し、上演を最終目的としない自由かつ実験的な、クリエーションのアイディアをカイハツするプロジェクト)の一環として、現代を生きる東京の若者たち、基地問題の専門家、同じ基地の町・横須賀に暮らす人たちなどにヒアリングも実施しながら、田中と推敲を重ね、1年の歳月をかけて兼島が書き上げた。

KAAT『ライカムで待っとく』(撮影=引地信彦)

KAAT『ライカムで待っとく』(撮影=引地信彦)

本作には、米軍基地が身近にある環境で生まれ育ち、現在も基地と生活が隣接している中で活動を続ける兼島の、「沖縄は日本のバックヤードではないのか」「沖縄の犠牲の上に成り立っている日本という国」という想いが織り込まれており、沖縄の過去と現在と未来が交錯する軽快なミステリータッチの物語の中で、知らぬ間に沖縄の複雑性やこの国の在り方を直視させられるような作品になっているという。

田中の演出は、内地の人間が今まで知らずに生きてきてしまった、見ないふりをしてきてしまったこの物語、解決して終わる問題ではない、やるせなさやあきらめ、どうしようもない状況、そのありのままを舞台上に乗せ、観客に突きつける。目まぐるしく展開する舞台の中で、わけのわからないまま事態に巻き込まれていく内地から来た主人公・浅野を中心に、一見優しく「寄り添う」からこその無責任さをじわじわと感じさせ、見終えた後に考えさせられる作品に創り上げた。

初演時には、出演する俳優の半数が沖縄出身ということへも多くの評価の声が寄せられた。今回もベテランのあめくみちこをはじめとする蔵下穂波、神田青といった沖縄出身の俳優陣、前田一世、小川ゲン、魏涼子といった素晴らしい俳優陣が続投。さらに阿佐ヶ谷スパイダースのオリジナルメンバーとして数々の舞台で存在感を発揮する中山祐一朗、沖縄出身で多くのドラマや映画で活躍目覚ましい佐久本宝が新たに座組に加わる。

今回の再演では、初演時にも強く希望があった沖縄での上演がついに実現。京都、久留米を回ったのち、沖縄戦の戦没者を追悼する沖縄慰霊の日、6月23日(日)に沖縄で大千穐楽を迎える。

作:兼島拓也コメント

この作品を再演することができ、とても光栄です。初演から2年、ウクライナでの悲劇は未だ収束せず、あらたにガザ地区でも見るに堪えない事態が勃発し、心が苦しくなるばかりです。
私が住むここ沖縄は、相変わらず「決まり」が覆ることもなく、粛々と、そして堂々と、物事は進んでいきます。先日屋久島沖でオスプレイが墜落した後、同じ機体たちは1週間ほど何事もなく飛び続け、休憩に入りました。この文章が公開される頃には、優雅に、気持ちよく飛び回っているでしょう。
本土復帰50年というお祭りも終わり、変わらず嫌な方へと変わり続ける世界の中に、この作品が何かしらの影響をもたらしてくれたらと願いますが、まあ、どうなんでしょう。

演出:田中麻衣子

沖縄本土復帰50年の冬に上演した『ライカム〜』の再演です。兼島さんのセリフを先頭に、皆で、一層、熱気を帯びたものにしたいと思っています。歌って踊ってお酒を飲んで三線弾いて、集まっておしゃべりすることが大好きな登場人物たちを、ぜひ観に来てください。沖縄と神奈川、1964年と2024年、あっち側とこっち側、、突きつけられる現実を、劇場で体感してください

公演情報

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
『ライカムで待っとく』 
 
作:兼島拓也 演出:田中麻衣子
出演:中山祐一朗 前田一世 佐久本宝 蔵下穂波
小川ゲン 神田青 魏涼子 あめくみちこ

 
スタッフ
美術:原田愛 照明:齋藤茂男 音楽:国広和毅 音響:徳久礼子 衣裳:宮本宣子 ヘアメイク:谷口ユリエ
演出助手:戸塚萌 舞台監督:藤田有紀彦
 
会場:KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>
公演日程:2024年5月24日(金)~6月2日(日)
料金(全席指定・税込)
一般:5,500円
神奈川県民割引(在住・在勤):4,900円
U24(24歳以下):2,750円
高校生以下割引:1,000円
シルバー割引(満65歳以上):5,000円
※神奈川県民割引はかながわの電話・窓口にて、2月23日より取扱い(前売のみ、枚数限定、要住所確認)
※U24、高校生以下、シルバー割引はかながわの電話・窓口・WEBにて3月2日より取扱い(前売のみ、枚数限定、要証明書)
※車椅子でご来場の方は購入前にかながわにお問い合わせください。
※未就学児の入場はご遠慮ください。※営利目的の転売禁止
※公演中止の場合を除き、の変更・払い戻しはいたしません。
一般発売:3月2日(土)
公演サイト: https://www.kaat.jp/d/raikamu2024
主催・企画制作:KAAT神奈川芸術劇場
助成:一般財団法人地域創造
 
ツアー
【京都公演】 2024年6月7日(金)~8日(土) ロームシアター京都 サウスホール
https://rohmtheatrekyoto.jp
【福岡公演】2024年6月15日(土) 久留米シティプラザ 久留米座
https://kurumecityplaza.jp
【沖縄公演】 2024年6月22日(土)~23日(日) 那覇文化芸術劇場なはーと 小劇場
https://www.nahart.jp
※この事業は令和6年2月の那覇市議会で予算の議決が延期または否決された場合、事業を延期又は中止する可能性があります。
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