スヌーピーミュージアムが大幅にリニューアル さらにバージョンアップした館内に潜入
スヌーピーミュージアム (C) 2024 Peanuts Worldwide LLC
東京・南町田グランベリーパーク内にあるスヌーピーミュージアムが、2024年2月1日(木)にリニューアルオープンした。
スヌーピーミュージアムは2016年4月、東京・六本木にオープン。その後、2019年12月に現在の南町田グランベリーパークへと移転し、これまでの約4年半、多くの来場者を楽しませてきた。今回は移転オープンして初めての大規模なリニューアルとなり、館内に多数の展示物が追加。またミュージアムショップ「ブラウンズストア」では165点以上の新商品が加わり、より一層充実した品揃えをみせる。
事前に発表されていたリニューアル後の展示の目玉は、大きく分けて下記の4つ。実際にどのようなエリアに生まれ変わったのか、館内を見ていこう。
エントランスからリニューアルの連続
えっ? エントランスに……
まず、ミュージアムに到着してからすぐにひとつめのポイントを発見。エントランスに、大きく口を開けたスヌーピーの姿が。この「いざスヌーピーの中へ。」は、その名の通り、この巨大なスヌーピーの口の中を通る入り口だったのだ。「エントランス・スヌーピー」より、いざ、ミュージアムへ!
コンセプトを考えたのはアートディレクターの祖父江慎氏。口をあんぐりと開けたスヌーピーは、1960年に描かれた実際にあるコミックから顔を抜き出し、正確に3D化したそうだ。ミュージアムに到着早々、パクリとスヌーピーに食べられちゃう仕掛けとは……。なんだか斬新だ。
「エントランス・スヌーピー」
そうして口の中を通って入場してすぐ、ふたつめのポイントが登場。エントランスを抜けた館内の天井に、モクモクした雲のような形をしたミラーが吊るされている「世界中が、スヌーピーに夢中。」こと、「ウェルカム・スヌーピー」である。ミラーにはスヌーピーやピーナッツ・ギャングがプリントされていて、雲の上から歓迎してくれているかのよう。我々が到着したのは昼過ぎだったが、大きなガラス窓から館内に差し込む光がミラーに反射してキラキラと明るい。エントランスに陽気さが充満し、あたたかな歓迎ムードがただよってくる。入場して一歩めで、すでに楽しいのだが……!
「ウェルカム・スヌーピー」
「ウェルカム・スヌーピー」
スヌーピーミュージアムは1階に入場した後、3階の展示室から鑑賞する順路をとっている。来場者が3階に上がって最初に出会う展示室もまた、今回のリニューアルで一新された目玉のひとつ。スヌーピーのファンの方々から寄贈されたグッズが一面に展示される「スヌーピー・ワンダールーム」だ。
「スヌーピー・ワンダールーム」
「スヌーピー・ワンダールーム」
このエリアについて、クリエイティブ・ディレクターの草刈大介氏は「ミュージアムというのは、コレクションをお見せるというのもひとつのアイデンティティーです。スヌーピーミュージアムでは、“みんなでつくる、みんなのミュージアム”というコンセプトのもと、スヌーピーファンの皆さんから思い出の品々を寄贈していただき、コレクションを集中させようと考えました」と解説。ここにはぬいぐるみや文房具、衣類やヴィンテージ商品、広告物まで、400人を超える有志から1000点以上の寄贈品が集結し展示されている。
ここは「スヌーピー・ワンダールーム」という名がついているが、それについて面白いエピソードがあるという草刈氏。ギャラリートークに同席していたベンジャミン・L・クラーク氏(シュルツ美術館&リサーチセンターキュレーター)が笑顔で続ける。「今回来日するまで企画書などでこの展示室について理解はしていましたが、初めてここに来て実際に見たとき、“ヴンダーカンマー”というワードがパッと頭に思い浮かんだんです」
「スヌーピー・ワンダールーム」
“ヴンダーカンマー”とは、日本語では「驚異の部屋」などと訳され、中世ヨーロッパ時代、君主などが未知の品を発見してコレクションし、それを眺めていた部屋のことをいう。現代の「博物館」の起源にもなっており、実はこれを英語では“ワンダールーム”というのだそうだ。
「今回この“ワンダールーム”はファンの方々と一緒に作り上げたもので、“ヴンダーカンマー”よりもっと良いアイディアだと思います!」と、ベンジャミン氏もお気に入りの様子。シュルツ美術館のスタッフさんもお墨付きの展示エリアが完成!である。
左から:シュルツ美術館&リサーチセンターキュレーターのベンジャミン・L・クラーク氏、クリエイティブ・ディレクターの草刈大介氏
「スヌーピー・ルーム」もリニューアルしました!
そして、リニューアル最後の目玉となる4つめは、大きなスヌーピーのスタチューが並ぶ「スヌーピー・ルーム」だ。
「元々ここは白い空間に6体のスヌーピーが並んでいる、スヌーピーミュージアムのなかでもメインとなる部屋です。スヌーピーのイメージはよく知られていますが、ファンの方々ですら知らないような変わったスヌーピーを立体化させて、あらゆる角度から見られるようにしようと考え、作りました。すやすや眠ったり、おなかでスケートをしていたり、ものまねをしたり。皆さんが見たことのないようなレアなスヌーピーを大きなスタチューにして、プレーンな部屋でお見せしています」(草刈氏)
いつもと変わらない、真っ白な「スヌーピー・ルーム」
このまっさらなエリアがリニューアル……? 何も変わってないけどな……と思っていたのも束の間、「始まります!」という案内とともに軽快な音楽が流れ出した。
スーッと現れる影
この「ここで五感が踊りだす。」は、これまでの「スヌーピー・ルーム」に映像・光・音楽の演出が追加された約2分間のショー「スヌーピー、覚醒。」である。部屋左奥に立っている1匹のスヌーピーから影が伸びていき、壁をつたって部屋中のスタチューへと移動する。広い部屋に置かれたスタチューのあちこちへと光の演出が移動し、いろんなところでスヌーピーが動き出す……という映像。
あれっ!どっか行った!
広い部屋で縦横無尽に魅せる演出は圧巻。ちなみに、あちこちから出てくるスヌーピーに歓喜しつつも、どこへ移動するのか予測できずに目が追いつかず、初見で呆然としてしまったのはここだけの話。そんな我々(私)の気持ちに気づいたのか、草刈氏から的確なアドバイスをいただいた。
「左奥のスヌーピーを眺めながら、部屋全体を見渡せる中央の位置から見るのがおすすめです」
同時開幕の新企画展『旅するピーナッツ。』
今回のリニューアルにあわせて、新たな企画展もスタート。2024年2月1日(木)から9月1日(日)まで、企画展『旅するピーナッツ。』が開催中である。
新企画展『旅するピーナッツ。』展示風景
新企画展『旅するピーナッツ。』展示風景
企画展はカリフォルニア州サンタローザのシュルツ美術館が所蔵する貴重な原画を中心に構成されており、およそ半年ごとにテーマを変えて開催。今回はスヌーピーやピーナッツ・ギャングが旅を楽しむ様子が描かれた原画など約45点が展示されている。
仲間たちが浜辺で織りなすエピソードが描かれた《孤高のアーチスト、ルーシー》。「このビーチは我々がいるソノマカウンティ(アメリカ・サンタローザ)のビーチにとてもよく似ています。ハワイやマイアミなど(リゾート地の)ビーチではありません(笑)。ソノマカウンティのビーチはヤシの木などはなく、このコミックのように流木が転がっています」(ベンジャミン氏)
「ピーナッツ」原画 1976年7月4日 《孤高のアーチスト、ルーシー》
「このコミックには、いくつか驚きの要素があります。ここにパゴダ(仏塔)が見られますが、なんとフレンチフライ(フライドポテト)で作られているんです。これはとっても驚きとユーモアがある作品ですよね。そしてもうひとつ探究心が掻き立てられるのが、この日付です。1976年7月4日。そう、独立記念日なんです。しかも(1776年から)200周年記念という節目となる日で、アメリカでは愛国的なイベントが数多く催されていました。にも関わらず、シュルツ氏はここで星条旗を描くこともしていないのです。不思議ですよね。もしかしたら内向的ではなく、もっと外向的なことを描いているのかもしれません。とても興味深く、今後も研究していきたいと思える作品です」
「ピーナッツ」原画 1998年2月16日 《方向音痴たちの旅、はじまる》
もう一点、アンディとオラフが描かれた《方向音痴たちの旅、はじまる》。「アンディとオラフは方向音痴で有名な2人組です。それでもいろんなところに行きます。このエピソードでは、迷いながらも進んだ結果、北極に行ってしまい、イグルー(雪の家)のある場所まで到達してしまいます。ちなみに他のキャラクターはここまで遠くへと旅をしたことがありません」
「曲がり角を間違えたと思うよ…」とコメントがなんとも切ない。
新企画展『旅するピーナッツ。』展示風景
ちなみに、アンディとオラフは『ピーナッツ』のなかでも比較的新しいキャラクターなのだとか。特にアンディは、シュルツさんが里子にもらったフォックステリアがモデルになったと言われているそう。会場にはシュルツさんとアンディを収めた写真も展示されていて、そのアンディがまた愛らしい。
カフェも、グッズも、リニューアルづくし!
スヌーピーミュージアムの忘れては行けないお楽しみといえば……。そう、ミュージアムショップ! なんと今回のリニューアルに合わせて、「ブラウンズストア」の品揃えも大幅にバージョンアップ。ぬいぐるみやフィギュアをはじめ、ステーショナリーやお菓子、アパレルなど165点もの新商品が追加された。ちょっと大盤振る舞いすぎるのでは……?
アクリルスタンド、買って帰りました
あちこちに「NEW!」のフラッグが
充実の品揃えは次から次へと目移りしてしまい、あれもこれもと悩んでしまう。ここで、これから来場する皆様に忠告です。グッズを物色しているだけであっというまに時間が過ぎていくので、帰りの電車の時間にご注意を!
ずらりと並んだ新商品たち
なんと、リニューアルはこれだけでは終わらない。隣接している「ピーナッツ カフェ」も進化を遂げている。カフェではグランドメニューが新しくなり、企画展と連動したメニューや限定グッズも用意されているとのこと。グッズのラインナップやカフェのメニューは公式サイトにもお知らせされているので、そちらで予習してから現地へ向かうのをおすすめしたい。
スヌーピーの“RARF RARF”パンケーキ 1,496円(税込)
【企画展連動メニュー】BackPack in フェイバリットココア 1,034円(税込)
ビーグル・スカウトのキッズプレート 1,210円(税込)
ペパーミント パティのチョコミントミルクセーキ 990円(税込)
移転オープンから4年半を迎えてのリニューアルは、展示も、グッズも、カフェもと盛りだくさん。初めて行く方はもちろん、これまで行ったことがある方にとっても、新しい発見とワクワクが待っているはず。さあ、いざ、スヌーピーミュージアムへ!
(C) 2024 Peanuts Worldwide LLC
文・撮影=SPICE編集部
施設情報
●所在地 : 東京都町田市鶴間3-1-4
●開館時間:平日10:00~18:00、土日祝10:00~19:00(最終入場は各閉館時間の30分前)
●アクセス: 東急田園都市線・南町田グランベリーパーク駅より徒歩4分
●電話番号: 042-812-2723
●公式サイト: https://snoopymuseum.tokyo/