W主演の松倉海斗&川島如恵留、脚本・演出の鄭義信に単独インタビュー!音楽劇『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』の見どころと舞台に懸ける想いとは?
川島如恵留、鄭義信、松倉海斗
Travis Japanの松倉海斗と川島如恵留がW主演する音楽劇『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』が2024年6月24日(月)から日本青年館ホールほかで開幕する。
原作は、華麗なアクションと独自の映像美で鮮烈な印象を残す、香港映画の傑作『男たちの挽歌』(1986)。劇作家・演出家の鄭義信が、原作の核でもある兄弟愛や友情、パワフルなエネルギーはそのままに、オリジナル脚本を書き下ろし、音楽劇『A BETTER TOMORROW -男たちの挽歌-』として蘇らせる。
映画ではレスリー・チャンが演じた弟・キット役を松倉が演じ、兄への反発から正義感を燃やす青年の繊細さと情熱とを表現する。同じくチョウ・ユンファが演じ、二丁拳銃を手に敵地に乗り込む姿をはじめ一挙手一投足が注目された兄の親友・マーク役は川島が担い、スタイリッシュな振る舞いの中にも熱い情を抱く男を体現する。
開幕を控えた5月某日、出演する松倉と川島、そして脚本・演出の鄭に、この舞台に懸ける想いを単独取材した。
松倉海斗「新しいことに日々挑戦」川島如恵留「いつもワクワクしている」
ーー松倉さんと川島さん、改めて本作に出演する意気込みから教えてください。
松倉海斗(以下、松倉):舞台をあまり経験したことはないのですが、W主演を(同じTravis Japanの)メンバーの如恵留と務めさせていただきます。今稽古の真っ最中ですが、アクションだったりお芝居だったり、もう新しいことに日々挑戦しまくっています!何より、W主演のもう一人の相方が如恵留で良かったなと常々実感していますね。メンバーの中で最年長ですし、本当に信頼しているので……!
松倉海斗
川島如恵留(以下、川島):いや、主演という言葉は重いです(笑)。主演という言葉からはプレッシャーを感じますが、僕としては「主演だからどうする」とか「主演だからこうだ」という思いは全然なくて、本当にこの作品に関わらせていただいていること自体を光栄に思っています。本番初日まで数週間残っているんですけど、本当にあっという間だろうなぁ。顔合わせの日から、いろいろなスタッフさんやキャストさんとお話させてもらって、僕としては毎日毎日勝負している感じ。それは決して「主演だから引っ張っていく」といった思いではなくて、「主演だからこそベテランのみなさまに必死についていく」というところでしょうか。最終的に、僕たちが何かを作品に還元できたらいいなとは思っています!
ーーお稽古では、1幕を終えて、2幕のお稽古に入る段階だと伺いました。何か稽古場で印象に残っていることはありますか?
松倉:今回、鄭さんが脚本と演出を担当されていますが、台本をいただいたときに最初に感じたのは、原作と違って、笑える部分が散りばめられているなぁということ。また、演出面でも台本に書かれていない部分での笑いがちょっと付け足されていて。だから、演じていてすごく楽しいです。過去にTravis Japanの主演舞台はあったんですけど、これほど役者さんに囲まれる経験はなくて。舞台での立ち方をはじめ、僕のお芝居を俯瞰して見ていただいて「こうした方が自然体に見えるよ」といったアドバイスもいただいたりしていますね。
川島:みなさん、稽古と稽古の休憩時間でオン・オフをきっちり分けられている印象があります。休むときはしっかり休むけれど、稽古中は本当に作品に集中している。とはいえ、休憩中でもいっぱい学びがあるんです。例えば俳優さんが「芝居って、自分はこう思うんだよね」という話をしてくださっているのを聞いて「なるほど」と思ったり、それを自分なりに噛み砕いたらどういう風になるんだろうなと考えたり。お芝居にここまでしっかりがっつりどっぷり浸かる機会が初めてなので、稽古中はもちろんですけど、休憩中も手取り足取り教えてもらっています。いつもワクワクしていますよ。
川島如恵留
ーー鄭さんから見たお二人はどうですか?稽古を見ていて思うことや期待されることをぜひ伺いたいです。
鄭義信(以下、鄭):お二人ともとても真面目でひたむきななので、時々茶化してやろうかなと思っちゃいます(笑)。まぁでも、お二人が楽しくやってくだされば、僕はそれで問題ないです。稽古場では、全員で1つの作品を作っているという感覚が日々増していて、お二人もその輪の中にどんどん溶け込んできているし、ワンチームで作品に向かっていけている。いい作品になる予感がします。
ーーこの作品は原作映画をもとに作られていますよね。原作を舞台の脚本にしたり、演出をしたりする際に、どのようなことに気をつけられたのですか?
鄭:自分が何十年前にこの映画を初めて見たときはすごく感動して、面白いなぁと思っていたんですけどね、いざ舞台にしようと思ったら割とあっさりしていて(笑)。映画はアクションシーンをつないでいけばある程度成立するけれど、舞台の芝居はそういうわけにはいきません。そのギャップをどう埋めていくか、どう人間関係を見せるかというところに苦労しました。また、原作映画はあんまり笑いどころがないんですけど、今回は笑ったり泣いたりアクションだったり踊ったりするのでね、トータルで楽しんでいただけると思います。まだまだ稽古では詰めていかなくてはいけないことや、やるべきことが満載なのですが。
鄭義信
ーー今、それぞれどう役と向き合っているか教えてください。どういうところが見どころになりそうですか?
松倉:原作を観ていても、本を読んでいても、作品の中で感情の行き来がすごく激しいなと思うんです。そこをどう表現するか、日々のお稽古で向き合っています。最初は兄さんを信じてすごく愛していたけれど、いろいろなことを知ったり、父が亡くなったりするにつれて、感情が変化していく。そこをどう自分の演技に落とし込むかが難しいなぁと思っていますね。注目してほしいのは1幕の最後、兄さんに怒りをぶつけるシーン。あのシーンはすごく好きですね。僕の見どころになるんじゃないかな。
川島:マークは、自分が想像していた以上に切り替えが激しい人なのかなと思っています。多分、本人は自覚して切り替えているわけではないんですけど……あっけらかんとしていたり、おちゃらけていたり、そういうキャラクターがすごく目立つんですよ。本当の弟ではないけれど、弟っぽいというか、後輩っぽいというか。兄貴と一緒に和気あいあいと楽しくしていたいと思っている可愛げのあるマーク像が、今自分の中で育ってきています。自分自身があまりそういうタイプではないので、「どうしたら兄貴と一緒に楽しくできるのだろうか」と日々考えていたら、普段の自分にもちょっとずつ影響が出ている気がする(笑)。ただ、もう一つ軸として、やっぱりマークはマークで貫き通したいものや野望があるわけです。1幕から2幕にかけて、どういう風に心が動いていくのか。お客様には、普段おちゃらけているマークが本気のスイッチが入ったときを見て欲しい。まるで別人じゃないかと思われるぐらいのギャップをお届けできたら嬉しいですね。
ーー鄭さんから見て、お二人のどんなシーンが見どころになりそうですか?
鄭:二人とも体がきくので、アクションシーンは既にとっても見どころのあるシーンになっていると思います。また、この芝居は愛憎が一つのポイント。これからの稽古で、感情が動く部分にもう1歩踏み込んでいければ、どんどん進化していくんじゃないかなと思っています。