最高の季節はまだまだ続く、EGO-WRAPPIN’が毎夏恒例の野外ライブで観衆を踊らせる

レポート
音楽
2024.8.27
EGO-WRAPPIN’

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EGO-WRAPPIN’『 Dance,Dance.Dance 2024』 2024.07.21(sun) 日比谷野外大音楽堂

それは、今年の夏の始まりの物語。7月21日、日比谷野外大音楽堂、EGO-WRAPPIN’『 Dance,Dance.Dance 2024』。最高気温34度の猛暑の中、毎夏恒例の野外ライブを、夏祭りのように待ちわびた人たちで会場内はいっぱいだ。みんなどことなく中納さん森さんに似た、オーガニックでお洒落な格好の大人が多い。カーキ色の新作Tシャツが可愛いので、列に並んで買う。アブラゼミの声がやかましく、日差しは鋭いが、日比谷の森には時折涼しい風が吹き抜ける。誰かが最前列でシャボン玉を飛ばしてる。準備は万端だ。

EGO-WRAPPIN’

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1曲目「デッドヒート」からバンドの演奏は最高にパワフルでソウルフル、2本のホーンが祭りの始まりを高らかに告げる。森雅樹(G)を筆頭に、男性陣は揃いの白いスラックスに涼し気なアロハシャツ。中納良恵(Vo)は可愛らしい白玉ピンクのパンツルックに薄いオーガンジーをまとい、「踊りまくりなはれ!」と叫び、ハンドランプを掲げ、タンバリンを叩きまくってくるくる踊る。“離れないぬくもりは日比谷にあった!”と、「Sundance」の歌詞をちょっと変えて歌うだけで観客が沸く。強力なヒップホップ/ファンク「裸足の果実」まで序盤3曲であまりに飛ばしすぎ、「ついてこれてますか。大丈夫ですか」と心配する森。心配無用、と歓声で応える観客。エネルギッシュでフリーダムなダンスが支配する、これがEGO-WRAPPIN’のダンスパーティー。

「みんな、ええノリしてるわ」(森)

「まだ明るいから恥ずかしいけど。恥ずかしさも暑さもふっ飛ばして行こうと思います」(中納)

中納良恵(Vo)

中納良恵(Vo)

EGO-WRAPPIN’は、ここ(野音)お酒の購買率がどのバンドより高いらしいですよーー。中納が言う前から、ビールを買いにゆく人たちがひっきりなしに通路を通る。子供がはしゃいで走ってる。ライブを見るというより、仲間内で声を合わせて踊るグループがいる。EGO-WRAPPIN’の野音だもの、いいじゃないかと思う。5曲目「PARANOIA」から「love scene」「The Hunter」へ、心地よいスカ/ロックステディのリズムに乗って、なんともラブリーな一体感が会場を包み込む。こうした楽曲でのリズム隊、伊藤大地のドラムと真船勝博のベースの有機的なグルーヴ感は抜群だ。リズムがゆったりしてゆくのに合わせ、日もゆっくり暮れてゆく。

僕らが楽しいだけの曲、久しぶりのカバー曲をやります。森の紹介で演奏されたのは、Ace of Baseの90年代のメガヒット「All That She Wants」だ。衒いのないストレートカバーで、シンセサイザーのフレーズをicchieのトランペットに置き換えたアレンジがかっこいい。スウェーデンのグループだが、森がオーストラリア?と言い出したため、なぜかオーストラリアトークが続くのが可笑しい。EGO-WRAPPIN’の野音だもの、いいじゃないかと思う。ゆるやかなレゲエのムードを受け継ぎながら、前半の締めくくりに歌われた「a love song」も素晴らしかった。TUCKERの弾くオルガン、中納の包容力あふれる歌声が、暗闇でようやく光を増して来た照明によく似合う。

ライブ中盤には嬉しいサプライズがあった。現在制作中の新曲群の中から「踊れる2曲を持ってきました」(森)と言って披露された、まっさらの新曲。これが実に素敵で、1曲はダークトーンのレゲエチューンで、ワンコードで延々と続くグルーヴに強い中毒性を持つもの。もう1曲はソウルとディスコとダブを掛け合わせたような、緩急自在のリズムと浮遊感が癖になりそうな曲。森のサイケデリックなギターソロが最高に決まってる。中納が繰り出す即興フェイクのかっこよさに痺れる。いつどんなふうに音源になるのだろう。楽しみしかない。

森雅樹(G)

森雅樹(G)

今宵は満月。東京の月の出は19時12分だから、ついさっき地平線から昇ったはずだ。そんな満月の存在を感じながら聴く「Calling me」は、いつもよりもロマンチックに感じられる。武嶋聡のテナーサックスの、伸びやかなトーンが空高く舞い上がる。

中納がステージ下手に置かれた銅鑼を思い切りひっぱたくと、それはライブ後半のスタートを告げる合図。「Mother Ship」から始まるセクションは、アップテンポのダンスチューンを連ねたイケイケのセットリストだ。「BRAND NEW DAY」では森が、今日イチ切れ味鋭い派手なギターソロで盛り上げる。「サイコアナルシス」は、真船がウッドベースで強烈にスウィングするビートを叩きだす。中納の今日の髪型のテーマは“ティラノサウルス”らしいが、ステージをのしのし歩き回り、観客を煽り、暑さを吹き飛ばして歌いまくる姿は実にワイルドでアグレッシヴ。ゆったり心地よいクロージングナンバー「サニーサイドメロディー」まで、その豊かなパワーはまったく衰えない。無礼講の観客も、ここぞとばかりにステージに声援を送り、缶ビールを掲げる。素敵な雰囲気だ。

EGO-WRAPPIN’

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アンコールでは、素晴らしいアカペラから始まる「色彩のブルース」をやってくれた。この曲が世に出て24年が経つが、未だにみずみずしく、新しく、渋く、官能的で、ゾクゾクするような唯一無二のかっこよさは変わらない。そしてラストは「心象風景」、ではなくてテンポの速いオリジナルアレンジの「A Little Dance SKA」で、大団円のハッピーエンド。2時間10分に及ぶメニューをすべて終え、7人全員が笑顔で手を振る姿には、ベテランの貫禄よりも新鮮な情熱と喜びを強く感じる。

「新曲を色々作ってますので、楽しみにしていてください。今年も最強のメンバーと一緒にやれて最高に幸せでした。また会いましょう」(中納)

遠くない将来に新曲のリリースもあるはず、EGO-WRAPPIN’の最高の季節はまだまだ続く。


取材・文=宮本英夫 撮影=仁礼博

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ライブ情報

Slow LIVE '24 in 池上本門寺
2024年9月1日(日)池上本門寺・野外特設ステージ
 
30th Sunset Live 2024 -Love & Unity-
2024年9月7日(土)芥屋海水浴場 キャンプ場 特設ステージ
 
New Acoustic Camp 2024 -15th Anniversary-
2024年9月14日(土)~15日(日)水上高原リゾート200
*EGO-WRAPPIN'の出演日は9月14日となります。
 
KOYABU SONIC 2024
2024年9月15日(日)インテックス大阪 4号館、5号館
 
青谷音楽祭
2024年9月21日(土)青谷かみじち史跡公園内 にぎわい交流広場
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