Netflix『ボーイフレンド』で話題に、韓国のGlen Checkがノスタルジーを詰め込んだアルバム『Bleach』&日本公演について語る

インタビュー
音楽
13:00

画像を全て表示(2件)

2011年のデビュー以来、「韓国のグラミー賞」と称される韓国大衆音楽賞の最優秀ダンスエレクトロニックミュージック賞を2度受賞するなど、耳目を集めてきた韓国のオルタナティブエレクトロバンド・Glen Check。そんな彼らが2022年に発表した3rd アルバム『Bleach』が、2024年6月に日本盤としてフィジカルリリースを果たした。Netflixの恋愛リアリティーショー『ボーイフレンド』の劇中歌にも抜擢された「Dazed & Confused」や「4ever」を含む、全14曲を収めた同作は、キム・ジュンウォン(Vo.Gt)が「ありのままをぶつけることができた」と語る通り、多様なジャンルのエッセンスを織り交ぜた音楽的な制限から解き放たれた1枚であると同時に、過去を回顧する儚さや青さをイメージさせる。前作『YOUTH!』から約9年の時を経て、一層濃くなったノスタルジーの香り。1月20日(月)よりスタートするバンド初のジャパンツアーを直前に控えた今、その源泉を問う。

「悩みや偏見を全て取り払える1枚にしたかった」
Glen Checkのありのままをぶつけた3rd アルバム『Bleach』

ーー2022年に発表された3rd アルバム『Bleach』が、2024年6月にフィジカル盤として日本でリリースされました。リリースから約2年を経てのフィジカル化ということで喜びもあったかと思うのですが、改めて本作を振り返って、皆さんはどのような1枚になったと感じていらっしゃいますか。

キム・ジュンウォン:『Bleach』は、これまで以上に時間をかけて苦心しながら制作した1枚でした。だからこそ、リリースの時は大きな反応を期待していたんですけど、実際にその期待を超えることはできなかった。なので、こうやって日本で再発売することが決まり、この作品の本当の価値を改めて見ていただけるんじゃないかなと思っています。

ーー韓国では想定していた反応を得られなかったとのことですが、制作をスタートする段階でメジャーシーンを強く意識していたのでしょうか。

ジュンウォン:絶対的にメジャーシーンを意識していたわけではなかったですね。最近はシングルでセールスを狙うアーティストも多いと思うんですが、私たちはアルバムに収録する14曲全てにこだわりました。そうやって1曲を突出させる構成にしなかった分、思っていた結果に到達しにくかったんだと考えていますね。

ーーシングルでテンポよくリリースするのではなく、アルバムのパッケージで発表することを決めたのはなぜ?

ジュンウォン:小さい時から1曲ずつ作品を聴くよりも、アルバム全体を聴くことが好きだったんです。アルバムで構成される世界観に魅力を感じましたし、そういった作品を生み出せるアーティストを尊敬していた。だから、自分たちもアルバムの形にこだわりました。

[Live] Glen Check - Dazed & Confused(2024)(JPN)

ーージュンウォンさんが影響を受けてきたパッケージングが反映された結果、アルバムでの発売を大切にしたんですね。ジェイボさん(Gt.Key)、ヒョクジュンさん(Ba.Key)は、本作を振り返ってみていかがですか。

ジェイボ:『Bleach』は素晴らしいアルバムです。

カン・ヒョクジュン:長い休止期間を経てリリースした1枚なので、バンドのキャリアにとっても大きな転機となる作品になったと感じています。

ーーヒョクジュンさんにお話いただいたように、本作は前作『YOUTH!』から約9年の期間を経て、リリースされた1枚で。この9年間で変わったことや感じたことを詰め込んだのが『Bleach』だと思うのですが、具体的に皆さんのどういった部分が変化したのでしょうか。

ジュンウォン:これまではリスナーや周囲の方からバンドがどう見られるのかを、気にしすぎてしまっていたんですよ。でも、今作は「真っ白」を意味するタイトルの『Bleach』が示すように、自分たちの悩みや偏見を全て取り払える1枚にしたかった。だからこそ、自分が影響を受けてきた多様な音楽ジャンルを詰め込めましたし、ありのままをぶつけることができたんじゃないかなと。

ーー本作でGlen Checkの方向性を定めることができたキッカケは何だったのでしょう。

ヒョクジュン:前作までは大きなコンセプトを設けた上で、アルバムの内容を決めていたんです。でも、音楽業界として、テーマに固執する必要がなくなってきたことを感じていて。こうした流れを踏まえて、自分たちも音楽的な制限を設けなくて良いと考え始めたんですよね。その結果、形に囚われないGlen Checkの方向性を伝えることができました。

ジュンウォン:考えすぎて頭が真っ白になることがあると思うんですけど、その感覚に近いというか。考え続けてまっさらになった状態で、文章を書いたり、メンタル面の勉強をしたりと音楽以外のことにも取り組めたことが大きかった気がします。

ーー音楽だけに限らず、自分のやりたいことに目が向くようになっていったから、赤裸々な1枚になった。

ジュンウォン:そうですね。とはいえ、完全に自由な状態で制作ができたわけではなくて。本作をキッカケに、より自由な楽曲作りを目指していきたいです。

ーー完全な自由へと振り切ることができなかった原因は何だったんですか?

ジュンウォン:セールス的な側面やファンの方の視線、自分自身の恥じらいなどが少しづつ重なっていったんですよね。もちろん、リリース当初は最高の1枚になったと感じていましたが、改めて振り返ってみると今なら改善できる部分もあるなって。

Glen Checkのノスタルジーが詰まった
『ボーイフレンド』劇中歌「Dazed & Confused」

ーー11月に公開されたインタビューでは「Dazed & Confused」が若さを表現した1曲だとお話されていましたが、若さに焦点を当てようと思ったキッカケは何なのでしょう。前作『YOUTH!』から期間が空いた中で、自分自身が大人になっていく感覚もあったんですかね。

ジュンウォン:歳を重ねたことで、若い時に書いた歌を当時のままの気持ちで演奏することが難しくなったこともありますし、もともとノスタルジックな楽曲が好きなんですよ。Glen Checkの楽曲は自分の過去を思い出したり、美しかった記憶が頭に浮かぶような曲調になることが多くて。そうやって過去を振り返っている分、自然と若さを描くことになっていったんだと思います。

ーー「Dazed & Confused」は7月より配信がスタートしたNetflixの恋愛リアリティーショー『ボーイフレンド』の劇中歌となりました。お話いただいた通り、楽曲のノスタルジックな側面が番組と共鳴したからこそ、リリースから2年の時を経て劇中歌に抜擢されたと考えていて。今回、このような形で楽曲に注目が集まったことに対して、どのような思いを抱きましたか?

ジュンウォン:私たちに起きた最も幸運な出来事だと感じています。ミュージックビデオやほかのコンテンツと共に注目されることが最近は多いと思うんですけど、私たちにとっては『ボーイフレンド』がベストパートナーだった。こうして発見していただけたことで、私たちの音楽の真価をお見せできました。

ーージュンウォンさんがおっしゃった真価というのは、Glen Checkの楽曲が持つ昔懐かしさに由来している気がして。いつの時代でも変わらない音楽を鳴らしてきたからこそ、今回、リリースから時間を空けて劇中歌に抜擢されたのかなと。

ジェイボ:最高のコメントをありがとうございます。

ジュンウォン:おっしゃっていただいた通り、私たちは変わらない音楽をテーマにしています。例えば、幼少期に聴いた名曲はいくつになっても忘れられないじゃないですか。私たちの音楽も誰かにとってのそんな存在になってほしい。こうした思いから、自分の過去の感覚を音楽に落とし込んでいますね。

「新しい旅に出るような高揚感がある」本格化する日本での活動

ーー日本での活動についても聞かせてください。『Bleach』はインディーレーベル・P-VINEが展開するシリーズ・K-ALTからのリリースとなりましたが、このタイミングで日本での活動を本格化させた背景には、レーベルサイドからの働きかけが大きかったのでしょうか。

ジュンウォン:もともと日本に進出したいと強く思っていたのですが、なかなかその機会がなかったんです。そうした中で、今回P-VINEから声をかけていただいたことで日本との接点が増え、本格的な活動をスタートすることができました。

―ー皆さんは2012年、2013年の『SUMMER SONIC』に出演されたり、2015年には東京・渋谷WWWにてワンマンライブを開催されています。これまでの活動を経て、日本のライブやファンに対してどのような印象をお持ちですか。

ジェイボ:凄くかわいいと感じています。私たちのことを気にかけてくれているのが伝わっていますし、恥ずかしがり屋なところも魅力的です。

ジュンウォン:自分たちの作品を深くまで理解しようとしてくれる繊細なファンの方が多いので、音楽家冥利に尽きるなと。楽しんで楽曲を聴いてくれている方が多い分、制作することの意味を実感させてくれるんですよ。

ーー1月20日(月)東京・豊洲PITより東京、大阪の2カ所を巡る初のジャパンツアーがスタートします。1月21日(火)大阪・心斎橋 BIGCATでのライブは、皆さんにとって初めての大阪公演となりますが、大阪に対するイメージを教えてください。

ジュンウォン:大阪の人たちは韓国が好きだと聞いているので、ファンの方たちがどんな反応をしてくださるのかが気になっています。あとは、東京のファンの方たちとどのような違いがあるのかもライブで確かめたいですね。

ーーゲストアクトには『ボーイフレンド』にも出演されたHaze glitchさんが登場されるということで、そちらも楽しみです。改めて、初のジャパンツアーはどういった2公演にしたいですか。

ジュンウォン:私たちはその国の新しい友達を作る気持ちで、各国でのライブに挑んでいて。今回は約10年ぶりの日本公演なので、新しい旅に出るような高揚感があるんですよ。良い日本でのスタートを切るために、「今回が初めてだ」という気持ちで丁寧に臨みたいです。

取材・文=横堀つばさ

ライブ情報

GLEN CHECK 
・1月20日(月)@東京・豊洲PIT
 OPEN 18:00/ START 19:00
 TICKET オールスタンディング¥8,500-(税込・ドリンク代別)
 ※未就学児(6歳未満)入場をお断りいたします。
  INFO:クリエイティブマン 03-3499-6669

・1月21日(火)@大阪・心斎橋 BIGCAT
 OPEN 18:00/ START 19:00
 TICKET オールスタンディング¥8,500-(税込・ドリンク代別)
 ※未就学児(6歳未満)入場をお断りいたします。
 INFO:キョードーインフォメーション 0570-200-888

リリース情報

『BLEACH』
【 CD 】 PCD-25397 / ¥ 2,500+ 税
【 LP 】 PLP-7446CW / ¥ 4,500+ 税
 / 各配信フォーマットで配信中

日本独自CD化!初フィジカル化!アナログ盤もリリース!
Netflix恋愛リアリティシリーズ『ボーイフレンド』挿入曲♪Dazed & Confused, ♪4ever 収録!
シェア / 保存先を選択