TiDE自主企画『Blend Your Mode』開催前ウォームアップ対談 ゲスト:DURDN 2組の曲作りや流行との向き合い方とは?
TiDE×DURDN 撮影=大橋祐希
ソウル、ファンクをベースにメンバーの幅広いバックボーンを融合させ、ジャンルに縛られない音楽性でバンドシーンに新しい風を送り込むTiDE。『MUSIC AWARD JAPAN2026』の「最優秀オルタナティブアーティスト賞」と「最優秀オルタナティブ楽曲賞」の2部門にエントリーされるなど、注目度も上がる中、バンド初のダンスナンバー「流行」を5月20日に配信リリースした。この楽曲をきっかけにした自主企画『Blend Your Mode』に、東京はDURDN、大阪はGeloomyがゲスト出演する。今回は2マンに先駆けて対談をセット。1回目はじっくり話すのはこれが初めてというDURDNを迎え、お互いの曲作りや流行の捉え方などについてウォーミングアップも兼ねて話し合ってもらった。
――DURDNへのオファーはどんな経緯だったんですか?
井上大悟(TiDE/Vo,Gt):音源を聴いていて、「WINDSDAY」から存じ上げたんですけど、そこから今回自主企画をやるにあたって、5月20日に出した「流行」っていうシングルの世界観に近い人というか、その世界観を一緒に作っていける人っていうところでDURDNさんと一緒にやらせて頂きたいなというので声かけさせていただいた次第です。
――DURDNの皆さんの率直な感想は?
Baku(DURDN/Vo):他のアーティストさんが僕らを必要とすること自体が嬉しいし、僕も好きなので、今回一緒にできるので嬉しいなと。
yacco(DURDN/Topliner):踊れるライブになりそうだなと思って、嬉しいオファーです。
SHINTA(DURDN/Track maker):めっちゃ嬉しいです。さっきこれ(TiDEの資料)見てたんですけど、好きなアーティストとかかぶってる感じがして、共通点があるのですごく楽しみです。
――どの辺が共通点ですか?
SHINTA:好きなアーティストで言うと、僕はギターで似てるかも?と言うので、しょにー君と結構かぶるの多めで。年代的にはBREIMENが僕ら同じ年代なのと東京事変のコピバンとかやってたので。
小島祥平(TiDE/Dr):僕としょにーもやってました。
――DURDNの音楽にどんな印象を持っていますか?
しょにー(TiDE/Gt):洋楽に近いような音像感というか、邦楽にあんまりないようなグルーヴィーでダンサブルな音像が多いイメージがあって。TiDEの曲にも取り入れられそうなトラックメイクや音作りでもあるし、シンセとかも拘ってる印象がありますね。
小宮紹滉(TiDE/Ba):最近ビルボードライブのライブアルバムを聴かせていただいてるんですけど、しょにーが洋楽っぽいって言いましたけど、僕が好きなFKJのライブアルバムの音像感みたいなものも感じて。リズム隊の明瞭さやシンセのサウンドとかがすごくいいなと思って、めちゃくちゃ好きです(笑)。
小島:自分はバンドでやってるんで、DURDNさんはそこにない形じゃないですか。トラックメイクしてそこにメロとか歌詞を付けられて、そこはすごく面白いなと思います。だから絶対僕らじゃ再現できない音像とか音色とかメロディの動かし方がすごい好きだなって感じですね。
TiDE
――DURDNの皆さんはTiDEの音楽にどんな印象を?
SHINTA:ライブ映像をちらっと見たんですけど、例えば僕らが今まで対バンさせてもらったBillyrromとかluvと近い感じなんですけど、もうちょっとたぶんメンバーがソウルとかちょっとジャズに行ってるような雰囲気は感じて。これ(資料)を見て納得したんですが、オシャレって一言にまとめちゃうと良くないかもしれないというか、キャッチーさはあるんだけど音楽的にちゃんと刺しにくるところをすごく感じました。
井上:嬉しいですね(笑)。
――バンドとプロデュースチームが軸のグループという違いはありますが、歌詞が特徴的な2組ではあるなと思います。
井上:そうですね。考え方やスタイルが違うなと思うところはあって、僕は音の響きよりは詞が文章として聴こえるかどうかの方に個人的には拘ってしまうところがあるんです。DURDNさんの場合は、文章としてももちろん綺麗なんですけど、音にすごく言葉がはまってるというか。僕は音の響きを犠牲にしてしまうことがあるんですけど(笑)、DURDNさんの「JellyFish」とかすごい綺麗ですごくいいなと。歌詞も一つの楽器に聴こえるような言葉っていうのが素敵だなと思いました。
――yaccoさんは歌詞を書く時に拘るところはどういうところですか?
yacco:やっぱりBakuの人間性から外れすぎないっていうところは意識して書いています。誰が何を歌うかがすごく重要になってくるので。自分じゃなくてBakuが歌うっていうことは大前提で考えてます。
井上:このメロディにはこの母音だよね、この子音だよね、みたいなのが完璧に乗ってるのが気持ちいいですよね。
yacco:ありがとうございます。メロディを作る時にデタラメ英語みたいな感じで作って、それと母音とかを合わせて作るので。
井上:なるほど。そこはもうずらさない?
yacco:デタラメの言葉からそれに近い言葉を持ってきて作りますね。
Baku:TiDEの歌詞のアイデアとかはどこから?
井上:僕は人文書みたいなのを読むことが多くて、小説とかはあんまり読めないんですけど。結構、社会学とか哲学に興味があった学生だったので――今も学生なんですけど(笑)。そういうところから言葉を取ってきたり、思想的な何かヒントみたいなものを取ってきたりとかは多いかもしれないです。
yacco:先にテーマを決めます?
井上:はい。結構テーマ先行です。
yacco:Aメロから順番に作っていきますか?
井上:割と順番にできてくるタイプではあるとは思うんですけど、最後は穴埋めゲームになります(笑)。母音子音は“なんかこれだよな”っていうのがあっても、“いや、でもこの言葉書きたい”って、無理やり合わない言葉だけど書いちゃうみたいなこともあって、“響きを犠牲にしてるな”と思ったりはするんですけど。
――都会的な楽曲なんだけど社会課題的な歌詞が乗っているのがすごく面白いところで。今回の「流行」もそうですね。
井上:そうですね。「流行」もちょっと社会風刺的な側面もあったりはしたんですけど、まさに今話したようなことが頻繁に起こりましたね。響きより言いたいことを書きたいところがあったので、結構悩んで最後本当に穴埋めになって。
DURDN
――TiDEの皆さんはDURDNのグループとしての成り立ちへの興味はいかがですか?
小島:記事は読ませていただいてるんですが、もともとおふたり(SHINTA、yacco)で始まったんですよね。
SHINTA・yacco:そうです。
小島:BakuさんはSNSで知り合って?
Baku:yaccoとは共通の友人がいてそこから知り合って、その時に映像をyaccoに投げて3人でやろうみたいな感じで始まった。
SHINTA:僕は最初は全然会ってなくて。
Baku:「Vacation」のレコーディングの時に初めて会って。
TiDE一同:へぇー!
Baku:その前までは普通にこっちで録音して投げるってやり方だったよね。
小島:曲はメロディ先行とかバックトラック先行とか?
yacco:トラックからですね。
小島:すごいな。そこにメロディを2人で?
yacco:メロディは私が。
小島:じゃあSHINTAさんはトラックに専念して?
SHINTA:そうですね。
小島:僕らトラックから始まることはあんまなくて、コードとメロディは誰か一人が考えてきて、その後みんなで考えていく。
SHINTA:バンドっぽくていいですね。僕らは例えばコーラスとかフックとかあって、インターをある程度決めといて、最悪入れ替えれるというか。セクションごと適当につながってるだけにして、作った後に「インターいらないんじゃね?」ってなったら抜くって感じですね。で、最初は彼女(yacco)が歌いやすいキーで作るので。
井上:ああ、デモをyaccoさんが歌うんですね。
yacco:仮歌を入れて、そこからBakuが歌いやすいようにキー変更を。
小島:Bakuさんの得意なメロディとかを把握されてる?
yacco:そうですね。Bakuはロングトーンというか、あんまり音数を入れないで伸びる方がよく聴こえるので、それは結構使われたりします。
SHINTA:キーが変わるときに逆にアレンジ引いたり足したりするぐらいで、もう8割ぐらいは作ってる感じですね。もともと僕もyaccoもコンペ作家みたいなことをやっていたので、その名残が最初の頃はあって。最近は一緒に作ったりもするようになったんですけど、最初の頃はその流れがありました。
――DURDNの直近の新曲は「MEMAI」ですけど、歌詞にSFっぽい感じもあってユニークですね。
井上:めっちゃいい曲だったし、ちょっと「流行」と漂ってる空気感が近いなという印象もあって。今日ちょうどエゴサしてたら、たぶん自主企画の買ってくれた方が「TiDEの「流行」とDURDNの「MEMAI」でめちゃくちゃいいライブになりそうだ」みたいな。
一同:(笑)。
井上:そういういい相乗効果が生まれそう(笑)。
――TiDEの「流行」は初のダンスチューンと銘打たれていますが、そもそもテーマとして掲げていたんですか?
井上:そもそもダンスミュージックにしようとは思ってなくて、結果なんです。もともとはPファンクとかファンカデリックみたいなところが出発点だったので。その上で僕が小袋成彬さんの『ZATTO』っていうアルバムにハマっていて、ミニマルなファンクをやりたかったので、最初すごく音が少なかったんですけど、どうもパワーが出なくてどんどん音が増えていって四つ打ちになって(笑)、結果ダンスになったなと。しょにーはダフトパンクとかの雰囲気のあるリードギターを弾いたり、結果どんどんファンキーなダンスミュージックになった感じではあります。
小島:それこそシンセの音とかも。シンセは僕らで初めてやったね。
井上:そうだね。僕らキーボードがいないので。
小島:キーボードは結構やられていたんですか?
SHINTA:いや、全然弾けなくて。制作の時にそのコードを押さえてほんと1コードずつ弾く。
小島:そうなんですね!
SHINTA:まあ単音は弾かなきゃいけないので、それこそメロディを作るじゃないですか。例えばDURDN以外でも曲提供するとしたら仮のメロディを鍵盤で弾くとかですね。
小島:音色も独学的な?
SHNTA:独学ですね。プリセットを選んでちょっとフィルターとかいじるぐらいで。
小島:でもプリセット選ぶのもめっちゃ種類があるじゃないですか。
SHINTA:好きな種類があって、それっぽい音を探すみたいな。それこそチャーリー・プース(Charlie Puth)がJUNOを使ったからJUNO使おうとか、DX7使ってるからとか、好きな種類を把握して、そこから探す感じですね。
小宮:我々も勉強しましょう。
――現行の海外のヒット曲からのウワモノとドラムサウンドは影響しますよね。
SHINTA:はい。特にBakuが活動を5年ぐらい続けてきて、どんどん自分が好きな音楽が分かってきたんですよ。好みとか訊くと結構僕にないものも出てくるんで。そういうのを調べていると、意外とアナログシンセの系統が好きとか、ドラムはこういうのが好きとかギターはこういうのが好きとか聞くと、じゃあ1回そういうのやるとか、基本的には洋楽になってくるんで。でも軸はJ-POPを聴いてるからJ-POPをやります、みたいな。
――Bakuさんは最初の頃と聴くものはどう変わってきました?
Baku:この5年間はそんなに変わってなかった気がします。普通に洋楽、チャーリー・プースとか有名な人も聴くし、全然知られてないオルタナティブ系のギターにめっちゃディストーションかけてドラムに残響が多いやつとかも聴くし。サウンドの先端に立ってるアーティストがいるじゃないですか、ディジョン(Dijon)とかミック・ギー(Mk.gee)とかそういうアーティストを最近聴いてますね。
――Dijonって言われて、DURDNとかけ離れてるとは思わないんですよね。そういう自由さや雰囲気があるというか、曲はもちろんポップになるでしょうけど。
Baku:そうですね。確かにそのバランスが大事だと思いますね。僕ら一応DURDNっていう名前で日本でJ-POPのアーティストとしてやっていて、大衆音楽をやってるからこそ、ここでみんなが聴きたがる音楽は絶対ある。例えば僕らが急にマジでDijonそのままを持ってきてそれを出してもみんな“あれ? これなんだろう?”ってなる可能性があるじゃないですか。だからそのバランスかなと思いますね。
――その中でもシンセの使い方とかで新しさは入れていけますもんね。さて今回の2マンはTiDEの「流行」のリリースがきっかけということもあり、お題を設けたいんですが。それぞれのバンド、グループにとって流行とはなんなのか。
小島:僕の言葉じゃないですけど、小宮君が「流行りってなんかのリバイバルで巡ってる」みたいな話をしたよね。
小宮:巡るよね。
小島:今もシティポップとかリバイバルしてて、流行って意外と最先端の話じゃないというか。
井上:それももちろんあると思います。僕は結構、流行を毛嫌いするタイプではあったんですけど、やっぱりアーティストとしてある種ビジネスの側面もあるじゃないですか、音楽で大きくなっていこうっていうのは。で、そこにやっぱりどうしても矛盾が生じるというか、そういうもどかしさがあったんですけど、毛嫌いしないで1回それに乗ってみようというか。自分から流行に踊らされてみよう、そういう気持ちで流行と向き合えたらいいな、と。次々に流行が移り変わっていく中で、そういう姿勢で行けたほうがいいのかなって思ったので、この曲を書いたところもちょっとあったので。“楽しむもの”として捉えられたらいいなって、個人的には思ってますね。
――楽しもうというタフなメンタルが芽生えてきた?
井上:そうですね。タフにならなければならないという(笑)、覚悟のようなものが必要に応じて生まれてきたっていうのはあるかもしれないですね。
SHINTA:僕は意外と流行りもの好きだったりするんですよ。
yacco:確かに。ミーハー(笑)。
一同:(笑)。
SHINTA:別にそこにネガティブな感情がすごくあるわけではないけど、でもサブカルも好きだし。もはや流行りなんてものがそもそもないんじゃないか? サブカル系が大好きな人と、いわゆるミーハーな人は実はアンケート取ったら49対51ぐらい僅差の可能性だってあるなってぐらい、意外とどうでもいいことなのかなって思うんですよね。その時の気分次第で、好きになったり好きにならなかったりしてもいいぐらいな。
――マイノリティが何かのきっかけで人気になったりするし。
SHINTA:僕、去年ぐらいから日本のヒップホップをめっちゃ聴いてるんですよ。僕がたまたま見てなかっただけで、実はめっちゃメインストリームに近くなっていることを知ったりして。俺が流行りとして認識してなかったんだと気づいた時に、あまり流行りって関係ないんだなって思ったんですよね。
井上:いいっすよね。僕今、Sonsiにハマってるんですけど(笑)。
小宮:それどこでも言うんだよね(笑)。
SHINTA:僕、『ラップスタア』を見に行って、こんなにライブ熱いんだ?ってなったし、さすがに1万人集まるライブで“流行ってんな”って思ったし。
――yaccoさんは流行と言われるとご自分のスタンスとしてはどうですか?
yacco:めちゃめちゃ難しいですけど、でも私もどっちかっていうと毛嫌いするタイプではあって。すごく流行った映画も3年ぐらい経ってから見たり。でも流行るものをみんなが好きな理由は分かるなっていうことがあったり、例えばTikTokとかもDURDNでは力を入れてこなかったんですけど、ちゃんと向き合って、そこで自分たちが可能な限り自分たちのスタイルを崩さずにやる方法を見つけていく必要もあるなとは思って。そういうのは自分たち的にちゃんと挑戦しなきゃいけないものだし、みんながいいっていうものはいいこともすごく多いなと思って。しかも近くにミーハーの人がいるので(笑)。
一同:(笑)。
yacco:そういうものに心を動かされる感性を持ってるっていう人たちもすごく素晴らしいなとは思って。自分がすごく穿った見方をしている可能性が高いんだなと思ったら、ちゃんと向き合おうという姿勢で行くようになりましたね。
Baku:音楽の流行りは好きか嫌いかどっちかで言ったら、嫌いまではいかないけどそんなに。例えばすごいリールで回って、今みんな聴いてるみたいな感じの曲は聴かない派ではあるっていう。でもやっぱり今の時代はそこは一番大事な市場じゃないですか、ショートフォームとか。正直、今はそれしかまだ知られてないアーティストにとっては、ほぼ唯一な窓口ではあるから、最近はそんなにネガティブには考えずにそれに乗れるんだったら乗っていこうかなっていう感じですかね。でも最終的にはただビッ!て上がって落ちるチームではなくて、なるべく長く活動できるようなチームになりたいです。
――では最後に、『Blend Your Mode』をどんな2マンにしたいかお訊きして締めましょう。
小島:それこそどういうことが起こるのか楽しみです。僕らは初めてダンスチューンを作りましたけど、DURDNさんは割とダンスチューンが多い感じがしていて、踊れる日にしたいですね。
井上:僕ら割と2マンの時にはコラボみたいなのをやることが多いですけど、もし可能であればなんか一緒にできたら嬉しいななんて思うんですけど……もしくは僕らがアレンジしてお相手の曲をカバーするとか……それが個人的にはすごい楽しいので(笑)、2マンならではの何かができたらすごく嬉しいな、なんて思ったりします。もちろんご無理のない範囲でなんですけど。
SHINTA:僕らは久しぶりのADRIFTなんですよ。好きなハコだし、相変わらずダンスチューンは多めだと思うので(笑)、盛り上げます。
井上:最高です!
取材・文=石角友香 撮影=大橋祐希
TiDE情報
Digital Single「流行」
<ライブ情報>
TiDE presents『Blend Your Mode』
■東京公演
日時:6月27日(土)
Open 17:15 / Start 18:00
会場:東京・下北沢ADRIFT
出演アーティスト:TiDE / DURDN
■大阪公演
日時:7月3日(金)
Open 18:30 / Start 19:00
会場:大阪・Yogibo HOLY MOUNTAIN
出演アーティスト:TiDE / Geloomy
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