おいしくるメロンパン、2マンツアー初日は結成10周年の幕開けとさらなる期待へのプロローグ
おいしくるメロンパン
『おいしくるメロンパン 2man tour 2025「▶️PAN or RICE…?」』2025.02.14(fri)Spotify O-EAST
おいしくるメロンパンのツーマンツアー『おいしくるメロンパン 2man tour 2025「▶️PAN or RICE…?」』初日公演が2月14日、東京・Spotify O-EASTにて開催された。本ツアーは今回の東京公演を皮切りに、福岡、愛知、大阪の4都市で開催。それぞれChevonやポルカドットスティングレイ、ネクライトーキー、シンガーズハイといった強力なバンドを迎えて展開された。
ソールドアウトを記録した東京公演は、開演前から満員のフロアが熱気に包まれている。そんな中、ライブのトップバッターとしてステージに登場したのがChevon。ヘヴィなビートのオープニングSEに乗せてサポートメンバーの小林令(Dr)が姿を現すと、続いてKtjm(Gt)、オオノタツヤ(Ba)、谷絹茉優(Vo)とメンバーが順番にステージに上がり、ライブはそのまま「ノックブーツ」からスタートする。ファンキーなバンドサウンドを前に、フロアの盛り上がりは一気に加速。続くアップテンポの「冥冥」では、谷絹の「今日のChevon は2曲目からフルスロットルですよ。ついてこれますか? おいしくるメロンパンまで体力残してんじゃねえぞ!」の煽りを受け会場の熱気はさらに上昇し、曲中のシンガロングとともに一体感を強めていく。さらに、昨年11月に発表されたばかりの最新曲「銃電中」ではKtjmの激しいギターソロも炸裂し、ライブは早くも佳境のような盛り上がりを見せた。
Chevon
最初のMCでは谷絹が「メロンパンがパン派で、うちらがライス(派)なのかな? でも、そういうことでもないらしくて(笑)」と、ツアータイトル『▶️PAN or RICE…?』に触れる一幕も。続けて「思いっきり盛り上げて、先輩たちにバトンをつないで。あとは思いっきり観るだけ。先攻っていいですよね!」と口にすると、フロアからは笑いが起こる。そんな和やかな空気も、続くミドルヘヴィの「大行侵」で一変。オオノ&小林が繰り出すタイトなリズムに、谷絹はエネルギッシュなシャウトを重ねて唯一無二の空気を生み出していく。かと思えば、「Banquet」では谷絹がフロアに降りてオーディエンスを煽る場面も。「ダンス・デカダンス」ではタテノリのビートに合わせて観客がジャンプするなど、さまざまな表情を持つ楽曲たちでChevonらしいステージが繰り広げられていく。
Chevon
Chevon
その後のMCで、谷絹は「Banquet」演奏中自らフロアに降りたのではなく“落ちた”事実を明かす。「4年やっていて初めて」と苦笑いするも、ムーディなバラード「薄明光線」で再び場の空気を一変させ、観る者を彼らならではの世界へと誘う。ダンサブルな「No.4」、心地よいグルーヴを生み出す「春愁い」とバラエティ豊かなセットリストでライブは佳境に突入すると、谷絹の「(おいしくるメロンパンとの出会いとなった)思い出の曲をカバーさせていただいてもよろしいでしょうか?」という発言に続いて、おいしくるメロンパンの「色水」をカバー。このサプライズにフロアからは歓喜の声が湧き上がり、盛り上がりも急加速する。「色水」をワンコーラスだけ演奏すると、バンドはそのままラストナンバー「サクラループ」」へと傾れ込み、フロアの熱気が最高潮に達したところでChevonは自身の出番を終えた。
おいしくるメロンパン
インターバルを挟み、後攻となるホストバンド・おいしくるメロンパンがライブをスタートする。オープニングSEに乗せて原駿太郎(Dr)、峯岸翔雪(Ba)、ナカシマ(Vo,Gt)がステージに姿を現すと、ナカシマの歌とギターストロークとともに「色水」が始まる。原のタイトなビートと峯岸のうねるようなベースに、ナカシマの小気味よいギタープレイ&淡々としたボーカルが重なり、このバンドらしい独特のグルーヴ感が会場を包み込んでいく。このノリに満員のオーディエンスも全力で応えていき、スウィング感の強い「look at the sea」やファンキーさやダンサブルさを伴う「黄昏のレシピ」と曲を重ねるにつれ、フロアの熱量はどんどん高まり続ける。
3曲終えたところで、ナカシマは「Chevonが『色水』をカバーすることを知らなかったので、僕らもたまたま1曲目に『色水』を用意していたんですけど。(谷絹の)歌がうますぎて……やりにくいわ!(笑)」と冗談で会場を湧かす。続けて、「僕ら、あんまりツーマンツアーとかやってこなくて。調べによると、5年ぶりらしいです。なので、今回はこの特別な機会にたくさん友達を作って帰りたいなと思っています」とこの日から始まったツーマンツアーへの意気込みを口にしてから、「caramel city」にてライブを再開。ミディアムとアップテンポを繰り返す緩急に富んだアレンジで、フロアを程よい熱量で再び温めていく。かと思えば、疾走感の強いシンプル&ストレートな「沈丁花」やキャッチーなメロディとリズム隊のアンサンブルが秀逸な「garuda」、アグレッシヴで前のめりな演奏が印象的な「シュガーサーフ」と、実にこのバンドらしい選曲で会場を熱狂の渦に巻き込んでいった。
おいしくるメロンパン
おいしくるメロンパン
2度目のMCでは原がツアータイトルに触れて「もちろん僕らは……ごはん派!」と場を和ませる一幕も。その後、ライブを再開させるも彼らが演奏を始めたのは、なんとChevonの「冥冥」カバー。ナカシマが「冥冥」の印象的なフレーズを歌い始めると、フロアからは驚きと喜びの声が鳴り響き、シンガロングでバンドの熱演に華を添える。この曲を1コーラス演奏し終えると、バンドはそのまま「フランネル」へつなげ、その熱量を一気に上昇させ、歯切れの良いギターリフ&ビートの「dry flower」で会場の一体感を強めると、ライブはクライマックスへと近づいていく。
「僕たち、結成10周年の年を迎えまして。今年の春からリリースだったりツアーだったりと、いろいろ楽しいことが待っているので、期待して待っていてくれると嬉しいです」とナカシマが挨拶すると、ライブも終盤戦に突入。今年2月5日に配信リリースされたばかりの新曲でライブ初披露となる「千年鳥」では、シンプルな中に個々の魅力と実力が織り込まれたスリーピースバンドらしいアンサンブルを発揮。その後「空腹な動物のための」を経て、軽やかな中にダイナミックさも感じられる「マテリアル」でライブ本編は豪快に締めくくられた。
おいしくるメロンパン
オーディエンスのアンコールを求める声に応え、再びステージに登場したおいしくるメロンパンの面々。Chevonや観客への感謝を伝えてから、最後に「5月の呪い」を演奏。3人それぞれのソロパートも用意されたこの曲では、観客のクラップで一体感が得られ、会場が多幸感に満ち溢れる中『おいしくるメロンパン 2man tour 2025「▶️PAN or RICE…?」』初日公演は大成功のうちに幕を下ろした。
取材・文=西廣智一
おいしくるメロンパン
セットリスト
リリース情報
2025年4月23日リリース
初回生産限定盤(CD+Blu-ray):MMZ-11022~23/¥5,000(tax in)
1.旧世界より
2.千年鳥(MV)
3.海馬の尻尾に小栴檀
4.額縁の中で
5..渦巻く夏のフェルマータ(MV)
「おいしくるメロンパン eyes tour – 春夏秋冬レイトショー -」
2024年11月7日(木)TOKYO DOME CITY HALLBUY
1.epilogue
2.シンメトリー
3.色水
4.黄昏のレシピ
5.look at the sea
6.紫陽花
7.ドクダミ
8.沈丁花
9.砂の王女
10.眠れる海のセレナーデ
11.架空船
12.獣
13.空腹な動物のための (LIVE)
14.シュガーサーフ (LIVE)
15.フランネル
16.斜陽
17.あの秋とスクールデイズ
18.五つ目の季節
EN1.式日
EN2.マテリアル