新たな未来の予感に満ちた4部作の幕開け！　MANKAI STAGE『A3!』ACT3! 2025 ゲネプロレポート

2025年3月22日（土）KAAT神奈川芸術劇場＜ホール＞にて幕を開けたMANKAI STAGE『A3!』ACT3! 2025。初演以来「エーステ」の愛称で親しまれてきた本作も、いよいよ第３シーズンに突入した。しかも今回はMANKAIカンパニー総出の大所帯で公演期間を前期と後期に分け、さらに前期AB・後期CDの4連作で構成するというシリーズ史上最もボリューミーな内容での公演を実施。本日はその最初の1作、A公演のゲネプロを振り返る。
 

“新生MANKAIカンパニー”として公演を重ね座組を充実させてきた「春組」「夏組」「秋組」「冬組」のメンバーにとって、次のステップへと進むターニングポイントを迎えていく過程が描かれる本作は、全員が舞台上を埋め尽くす賑やかな朝の風景から始まり、何気ないやり取りを通じてこれまでに蒔かれてきた数々の“ドラマの種”が芽吹いていく感触に心が騒ぐ、未来の予感に満ちた物語となっていた。

一本の作品が、一行のセリフが、時に観た者に大きな影響を与えその後の人生を丸ごと変えてしまうこともある。それが演劇の力。その力は果たして「祝福」なのか「呪い」なのか…そんな命題に正面から向き合ったA公演。特筆すべきはこれまでヒールとして描かれていたGOD座主宰・神木坂レニ。演劇愛の深さゆえに高尚な信念と頑な心で生きてきた彼が、ここにきて長年の“青春の宿題”と向き合いその胸の演劇愛を正しく再燃、若き役者たちと共に未来への扉に手を伸ばしていく。演じる河合龍之介は神木坂のトリッキーさを慈愛へと変容させ、初代MANKAIカンパニーと新生MANKAIカンパニーを繋ぐ重要な存在として機能。大人の情熱が沁みた。情報解禁時より話題となっていた初代メンバーはここではまだ少し謎めいた存在だが、舞台上に現れるたびにドキッとさせてくれる重要なスパイス。今後の展開が楽しみだ。

シリーズ全編を振り返ってみても、今作は特にグッとドラマに舵を切った印象が強く、大きなテーマを繊細に丁寧に掬い上げる深度を感じた。同時多発に動いていくそれぞれの心を捉えられるように、それぞれが「ここぞ」というポイントで各自の印象をしっかり刻む群像の強さもある。役者の熱量を信じてシンプルかつ重厚なテイストで描かれた劇中劇の表現も素晴らしく、GOD座、MANKAIカンパニー共にアグレッシブに新境地へと踏み込んでいた。

なお、前期（AB公演）は4月13日（日）、後期（CD公演）は4月18日（金）～5月10日（土）までKAAT神奈川芸術劇場＜ホール＞にて上演される。

キャストコメント

■月岡 紬 役：定本楓馬
いよいよ ACT3! 2025公演が始まります。
4つの物語を同時に作っていく稽古は大変ではありましたがとても有意義な時間でした。
A公演は月岡 紬にとってもMANKAIカンパニーにとってもとても大事な物語になります。
この先の物語にしっかりと繋げていけるよう全力で努めてまいりますので、応援よろしくお願いいたします！

■飛鳥晴翔 役：伊崎龍次郎
いよいよA公演の幕が上がります。この時を待ち望んでいました。
神木坂レニ役の河合龍之介さんと6年間積み上げてきたGOD座が今作で初めての危機に直面します。そして、そんなGOD座に驚異の新人と悩める天才が…。MANKAIカンパニーはもちろんのこと、GOD座にも注目していただけると嬉しいです。
悩み、葛藤、危機。
様々な障害を乗り越えて輝くかっこいいみんなの姿を目に焼き付けてください。
劇場や配信でお会いできることを楽しみにしています！

■荒川志太 役：山野 光
今、率直にとてもゾクゾクしています。たくさんの方に支え続けられ愛されるこの作品に、本公演は初参加として出演することに怖気づいて逃げ出してしまいたくなるような感覚です。
でも MANKAI STAGE『A3!』という素敵な物語を松崎史也さんのもと、亀田さんのキャラクターへの愛が溢れる脚本で志太を演じることができる喜び、それはもうゾクゾクするほど素敵な演出をつけてくださっています。
役者と劇中劇の役の関係性が重なる『エーステ』の醍醐味。奇しくも、僕の持つ気持ちが志太と重なることが多々あります。
自分の役割を果たすことだけを肝に、思う存分に大切に愛を持って演じさせていただきます！

■斑鳩 円 役：宇佐卓真
斑鳩 円を演じます、宇佐卓真です。
今回A・B公演に出演させていただきます！
数年ぶりにこうやってカンパニーの皆さんとご一緒できること、作品に関われること、感謝しかありません。
キャストの人数も今までにないくらい多く、MANKAI STAGE『A3!』のキラキラした世界をより楽しんでいただけると思います！
僕自身好きなセリフ、シーンもたくさんあり舞台上で演じることが楽しみです。
皆さんも好きなシーンやセリフをたくさん見つけられると思うのでお楽しみに。

取材・文＝横澤由香