山口祐一郎・城田優がWキャストで臨む 『ダンス オブ ヴァンパイア』製作発表会見レポート~フランク莉奈・中村麗乃、太田基裕・寺西拓人による歌唱披露も

レポート
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2025.3.28

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ロマン・ポランスキー監督のカルト・ムービー『吸血鬼』を下敷きに、『エリザベート』『モーツァルト!』で知られるミヒャエル・クンツェが脚本・歌詞、ロック界のワーグナーと称されるジム・スタインマンが音楽を手がけたミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』。日本では2006年に初演が行われ、2009年、2011年、2015年、2019年と繰り返し上演されてきた。2025年5月、初演から20年を迎えるタイミングで、6年ぶりに上演される。

演出を務めるのは、初演から引き続き山田和也。クロロック伯爵を演じるのは、初演以来同役を担う山口祐一郎と初参加の城田優。さらに、クロロック伯爵の虜になるヒロイン・サラ役をフランク莉奈中村麗乃、ヴァンパイア研究に身をささげるアブロンシウス教授の助手アルフレート役を太田基裕寺西拓人と、新キャストが演じる。

公演を前に、山口祐一郎・城田優、フランク莉奈・中村麗乃、太田基裕・寺西拓人、演出の山田和也による会見が行われた。

まずは舞台扮装でサラを演じるフランク莉奈・中村麗乃、アルフレート役の太田基裕・寺西拓人が「外は自由」を披露。箱入り娘のサラが外の世界に対する憧れを歌う楽曲を、フランクと太田、中村と寺西の組み合わせで聴かせる。

フランク莉奈、太田基裕

フランク莉奈、太田基裕

寺西拓人、中村麗乃

寺西拓人、中村麗乃

続いて山口と城田、演出の山田も登壇。取材陣と300名のオーディエンスを前に会見がスタートした。

TdVのマスコット的存在であるリーくんを連れてきた山田(右)

TdVのマスコット的存在であるリーくんを連れてきた山田(右)

――まずは意気込みをお願いします。

山田 20年一緒にやってきた山口さん、初めての皆さんとご一緒できるのが楽しみです。3月初旬から歌稽古を始め、ダンスや芝居の稽古もスタートしました。和やかにやらせていただいています。

山田和也

山田和也

山口 公演を続け、途中から早く相棒が来ないかなと思っていました(笑)。最初に浮かんだのが城田さん。ようやくいらしていただきホッとしています。2025年、皆さんと一緒に素敵な作品にしたいです。

山口祐一郎

山口祐一郎

城田 僕自身、何度も帝国劇場の客席から観て、いつかクロロック伯爵を演じたいと思っていました。念願の役を、日頃から優しく背中を押してくれる山口さんとWキャストで演じられるのが幸せです。才能溢れるみなさんと、スタッフ・キャスト一丸となって最高のミュージカルを作りたいです。

城田優

城田優

フランク 私が上京する前に初めて帝劇で観た作品で、ミュージカル界に飛び込んでから13年、目標にしていた役です。サラを演じられるのが本当に幸せです。歴史ある作品に参加できる喜びと責任を持って頑張りたいと思います。

フランク莉奈

フランク莉奈

中村 本当に素敵なキャストの皆さんが揃っていて、ご一緒させていただけるのが夢のようです。この作品の中でどうやってサラを演じるか考えるのが楽しみ。精一杯努めます。

中村麗乃

中村麗乃

太田 アルフレートは、お客様と一緒にこの物語を旅する人物だと思います。お客様を引き込み、僕は汗をかいて右往左往しながら、楽しく一生懸命演じていきたいと思います。

太田基裕

太田基裕

寺西 歴史ある作品に参加できることを光栄に思います。巻き毛が痒いので、これに慣れて千穐楽まで頑張りたいです。

寺西拓人

寺西拓人

 

続く質疑応答で、3月頭に始まった稽古について聞かれた山田は「設定やセリフは変わらないけど、役者が変わると印象が全然違う。私たちも新鮮で楽しいです」と語る。

作品や役のオンリーワンな魅力に関しては、山口が「お客様にとってのナンバーワンなシーンを作れるように、僕らがベストを尽くす。その結果素敵な空間を共有できる。そのトータルが魅力だと思います」と語り、城田は「以下同文です」と頷く。また、初演からクロロック伯爵を演じてきた山口から見ても2025年版は魅力的なキャストが揃っているといい、「今まで出会ってきたサラ、アルフレートもみなさんチャーミングでしたが、今回の四人もとっても素敵です。ぜひ見にきていただきたいですね」と自信をのぞかせる。

本作を彩る音楽については、山田が「作曲を務めるジム・スタインマンはすごく多彩なロックミュージシャン。激しいロックもあれば荘厳なコーラスもポップなキラーチューンもある。中毒性の高い音楽が、興奮や恐怖、恍惚を運んできてくれます。それが20年にわたって愛されてきた理由だと思います」と分析した。

Wキャストを務める相手の印象を聞かれると、フランクは「麗乃ちゃんは人見知りな第一印象でした。でも、私には心を開いてくれている気がして嬉しいです」と笑顔を見せる。中村は「優しくて、なんでも教えてくれるお姉さん。一生ついていこうと思っています」と答え、仲の良さを伺わせた。

太田が「たくぴーとは……」と話だすと、寺西は「たくぴー!?」と笑い出す。お互いの呼び方を決めようという話をしたそうで、太田は「普段はてらって呼ばれているでしょ? 山Pみたいな感じで拓Pと呼ぼうと思っています。以前ミュージカルで同じ役をやった縁があって、今回も同じ役なので運命を感じます。支えあって作りたいです」と笑顔で語った。寺西は「太田さんはもっくんと呼ばれていますが、先輩なので僕はもっさんと呼びます。稽古場でのあり方、人との接し方が多分似ている気がする。一緒に乗り越えていきたいです」と意気込む。

オーディエンスから山口と城田に寄せられた「自分だけが知っているお互いのチャームポイント」という質問には、山口が「皆さん知っていると思いますが、これだけの才能を持っていて、それを宝箱にしまっているスタンス。持っているものに本人が気づいていないように見える佇まいがチャーミングです。今日の会見でもわかるように、常に周囲に気を配ってくれるのも魅力。あと、ご飯がいつも美味しそう(笑)。僕はコンビニ派なので、城田くんのご飯を見て時々びっくりしています」とユーモアを交えて答え、城田は「ずっと第一線で走り続けているところ。チャーミングで、いつも気さくに話しかけてくれますし、博学なのでお会いするたびに学ばせていただいています。あとは圧倒的な歌唱力と表現力。レジェンドでありながら若手にも優しくしてくださる。みなさんもご存知だと思いますが、内側にいるから見えるものもある。愛情深く素晴らしい方です」と語った。

また、「終わりなき欲望」を掲げている作品にちなんで「抑えられない欲望」を聞かれると、山口は「みなさんの欲望を全部集めて、素敵な時間をみなさんと過ごせるといいなというのが私の欲望ですね」と語り、会場から大きな拍手が起こる。

城田は「この回答の後に……(笑)」と頭を抱えつつ、「甘いものですね。お菓子が好きなので、甘いものをたくさん食べたいです」と答えた。中村は「睡眠欲にいつも負けちゃいます」と明かし、フランクと太田は城田と同じく「甘いもの」を挙げる。「生クリームは神。毎日食べたいなと思いながら生きてます」という太田の言葉に、フランクは「わかる!」と共感して盛り上がっていた。寺西は「生繋がりで、僕は生牡蠣が大好き。稽古中や公演中は我慢しているんですが、旬が終わるまでには食べたいです」と答えた。

――最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

城田 山口さんとWキャストで演じられるのがありがたいです。ジャンルとしてはホラーですが、観終わった後に少し晴れやかな気持ちになったり、自分の欲望と向き合ったりできる作品。何度もご覧になっている方も初めての方も楽しめると思います。誰一人欠けることなく走り続けられるように頑張っていきたいです。

山口 2025年のTdV、みなさんと素敵な瞬間・空間を共有できればと思っています。どうぞ劇場に足をお運びください。


本作は2025年5月10日(土)~31日(土)まで東京建物 Brillia HALLで上演。6月には愛知・御園座、7月には大阪・梅田芸術劇場メインホールと福岡・博多座でも公演が行われる。

取材・文・撮影=吉田沙奈

公演情報

ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』
 

脚本/歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽:ジム・スタインマン
演出:山田和也
振付:上島雪夫

クロロック伯爵:山口祐一郎・城田優(Wキャスト)
サラ:フランク莉奈・中村麗乃(Wキャスト)
アルフレート:太田基裕・寺西拓人(Wキャスト)
シャガール:芋洗坂係長
レベッカ:明星真由美
ヘルベルト:ジュリアン
マグダ:青野紗穂
クコール:駒田一・伊藤今人(Wキャスト)
ヴァンパイア・ダンサー=伯爵の化身:佐藤洋介・加賀谷一肇(Wキャスト)
アブロンシウス教授:石川禅・武田真治(Wキャスト)
 
※クコール:伊藤今人、アブロンシウス教授:石川禅は東京公演のみ出演
 

【公演日程】
2025年5月10日(土)~31日(土)東京建物 Brillia HALL
2025年6月7日(土)~15日(日) 愛知・御園座
2025年7月4日(金)~12日(土)大阪・梅田芸術劇場メインホール
2025年7月19日(土)~30日(水)福岡・博多座
 
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