ひとあし早く春を感じに『イングリッシュ・ガーデン』展

レポート
2016.1.22
会場デザインは注目のクライン ダイサム アーキテクツ

会場デザインは注目のクライン ダイサム アーキテクツ

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暖冬と言われたこの冬だが、もうじき本物の春もやってくる。先駆けてたくさんの花々に酔いしれることのできる展覧会が、東京のパナソニック汐留ミュージアムで開催中だ。『世界遺産キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々』展(2016年1月16日~3月21日開催)では、イギリスのキュー王立植物園が誇るボタニカル・アートをはじめ、生活を彩る工芸品を特別な空間の中で楽しむことができる。

科学的視点から華やかな芸術へ

本展のメインとなっているのは、キュー王立植物園の22万点にのぼる所蔵作品の中から選ばれた、珠玉のボタニカル・アートの名品たち。

カーネーション(ナデシコ科)、3つの栽培品種、Ⅰ(中)八重咲きの白色花; Ⅱ(左)八重咲き弁片細胞の濃赤色花; Ⅲ(右)八重咲きで紅紫色花(『アイヒシュテット庭園植物誌』より)

カーネーション(ナデシコ科)、3つの栽培品種、Ⅰ(中)八重咲きの白色花; Ⅱ(左)八重咲き弁片細胞の濃赤色花; Ⅲ(右)八重咲きで紅紫色花(『アイヒシュテット庭園植物誌』より)

中でもマニア垂涎の名品「フローラの神殿」は、ボタニカル・アートの黎明期である17世紀ごろに描かれ、ロマン主義を体現したドラマチックな背景描写がめずらしい植物図譜だ。

R.J.ソーントン編『フローラの神殿』より

R.J.ソーントン編『フローラの神殿』より

科学が注目を集めた18世紀には、プラント・ハンターと呼ばれる冒険家たちが世界各地からありとあらゆる植物を持ち帰り、その保管のために当時の建築技術の粋を集めて温室が作られた。本展中盤では、ロンドン万博で世界から注目された水晶宮(クリスタル・パレス)にスポットを当てて紹介している。

トマス・エレピー/ジョゼフ・パクストンの肖像

トマス・エレピー/ジョゼフ・パクストンの肖像

生活を彩る植物たち

展覧会後半では装飾芸術やイングリッシュ・ガーデンが紹介され、植物の世界が人々の生活の中でより身近に親しまれていったことがわかる。ウィリアム・モリスをはじめとする植物のテキスタイルは、それぞれの植物の特徴がより美しく映えるようデザインされている。

ウィリアム・モリス/サマードレス〈イチゴ泥棒〉柄のテキスタイルによる

ウィリアム・モリス/サマードレス〈イチゴ泥棒〉柄のテキスタイルによる

イングリッシュ・ガーデンのパイオニアである、ガートルード・ジーキルの庭園も映像作品として初公開される。自然の景観を活かすイングリッシュ・ガーデンの基本を確立しつつも、モリスのデザイン思想を取り入れた、植物で描くボーダーやグラデーションなどの色彩計画が見事だ。

ガートルード・ジーキルのデザインによるディーナリーガーデンの映像作品

ガートルード・ジーキルのデザインによるディーナリーガーデンの映像作品

注目の設計事務所が会場をデザイン

本展会場の設計は、代官山T-SITE(蔦屋書店)などで近年注目されるクライン ダイサム アーキテクツが手がける。会場は温室を散歩している気分になれる心地よい空間となっている。また、イングリッシュ・ガーデンをイメージした香りがたのしめる嬉しいコーナーも。

担当学芸員の大村理恵子さん

担当学芸員の大村理恵子さん

開催前日のギャラリートークにて本展担当学芸員の大村理恵子さんは、「異文化交流」が隠れたテーマであると語った。人々を魅了し続ける植物が、人の手を介して世界中の国から植物園に集まってくる。そして、さまざまな文化や芸術を花咲かせていることがわかる本展を見終え、大村さんの言葉が心に響いた。

イベント情報
『世界遺産キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々』展

会場:パナソニック 汐留ミュージアム
日時:2016年1月16日(土)~3月21日(月・祝)
協力:日本航空
主催:パナソニック 汐留ミュージアム、読売新聞社
後援:ブリティッシュ・カウンシル、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟、日本園芸協会、港区教育委員会
休館日:毎週水曜日
開館時間:午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
入館料:一般:1,000円 65歳以上:900円 大学生:700円 中・高校生:500円 小学生以下:無料
公式サイト:http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/16/160116/index.html
 
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