渡辺えりの新演出が光るオフィス3〇〇特別公演『少女仮面』開幕
オフィス3◯◯特別公演『少女仮面』
渡辺えりが演出と主演する、オフィス3◯◯特別公演『少女仮面』が2025年6月11日(水)開幕した。
本作は1969年、鈴木忠志が主宰する早稲田小劇場に書き下ろされた、唐十郎の傑作戯曲『少女仮面』。岸田戯曲賞を受賞し、これまでに何度も上演を繰り返す極めて唐作品の中でも人気の高いこの戯曲を、渡辺えりの新演出で上演。唐十郎追悼公演と銘打ち、渡辺えりはもちろん、大鶴佐助、土屋佑壱、吉田裕貴、福本雄樹、新内多賀太夫、岡野一平、宮下浩行、黒島結菜・夢乃・鈴木楓加(トリプルキャスト)、川村毅といった個性豊かで確かな演技力を誇るキャストが揃い、さらに、日替わりゲストとして竹中直人、尾上松也、中村獅童、稲荷卓央、和田琢磨、安奈 淳が「甘粕大尉」役で出演する。
開幕にあたり、演出・主演の渡辺えりからコメントが到着した。
渡辺えり コメント
オフィス3◯◯特別公演『少女仮面』
『少女仮面』初日の幕が開きました!
役者の演技と演出の評判も良く、明日から更に一致団結して頑張ります!
尊敬する唐十郎の作品を深掘りして、戦争の止まない現代が抱える闇とを重ね合わせました。
三味線、チェロ、バイオリン、ギター、アコーディオンの生演奏が、過去と現代を行き来します。
役者一人一人の個性が際立つ、稀有な舞台となりました。
そして甘粕大尉役の豪華ゲスト陣も乞うご期待!
ぜひいらしてください。
あらすじ
オフィス3◯◯特別公演『少女仮面』
東京都内と思われる地下喫茶、その名も「肉体」。
戦前から今日まで、その名を思い出す度に現れると言っていいその謎の喫茶店を経営しているのはなんと宝塚の伝説の男役スター春日野八千代だった。春日野は「嵐が丘」のヒースクリッフ役の稽古を繰り返しながら相手役キャサリンの登場を待ちわびている。
肉体の介在しない形無き欲望、永遠の愛の対象となりえる永遠の処女を待ちわびているのだ。まるで「サンセット大通り」の映画監督のように春日野に服従しながら演出を續けるボーイ主任とその奴隷とも言っていいボーイたちと終わるともない舞台の稽古を繰り返す日々。宝塚の娘役にあこがれる自称16歳の少女と外見だけ婆さんの少女二人が現れ、地下喫茶「肉体」は再び息づき、現代に姿を現した。
春日野は自称16歳の少女緑丘貝に永遠の処女キャサリンの役を振り、未完成だった作品が完成されるかに見えた。しかし、東京大空襲で家族を失った保険の外交員の妄想や、恋に溺れ愛を乞い愛を失い精神に異常をきたした本番前の腹話術師の自問自答の濃密な時間とが重なり、春日野自身の秘密の過去があばかれ、地下鉄工事のブルドーザーが記憶の「肉体」を破壊していく。第二次世界大戦の爆撃音と近未来への発展のための解体の騒音が重なり、「肉体」と「精神」が炸裂する物語。
宝塚の華麗なるステージにあこがれて地下の「肉体」に降りた少女たちの運命は?そして春日野の運命は?腹話術師たちの未来は?ボーイたちは?狂おしい「愛」「舞台の夢」の奴隷となった登場人物たちの今は?
オフィス3◯◯特別公演『少女仮面』
オフィス3◯◯特別公演『少女仮面』
オフィス3◯◯特別公演『少女仮面』
オフィス3◯◯特別公演『少女仮面』
撮影=加藤孝