東京発2ピースロックバンド板歯目が初のCD作品をリリース そのカリスマ性でライブハウスシーンを騒がせる2人の内側に迫った

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板歯目

板歯目

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板歯目と書いて「ばんしもく」と読む。元々は爬虫類の分類名で、しかし彼女らが活動し始めてから「板歯目、バンド」でサーチする人が急激に増えたらしい。2022年の音源デビューから、立て続けに3枚のアルバムをリリース。20歳そこそこの若さに似合わぬガレージ、パンク、ミクスチャー等ラウドロックの流れを汲むヘヴィなサウンド、心に隠し事をしない本音の歌詞、カリスマ性抜群のヴォーカルとドラマーの組み合わせで、ライブハウスシーンを騒がせている二人組だ。SPICEでは初のCD作品となる最新EP『もんくのひとつもいいたい!』をリリースするバンドをキャッチして、初登場インタビューを敢行。千乂詞音(ちがしおん/Vo&G)と庵原大和(いおはらやまと/Dr)に、結成のことから新作リリース後のツアーに至るあれこれを、根掘り葉掘り聞いてみた。

――かっこいいバンド名ですよね。強そうだし。

千乂詞音:強そうですよね(笑)。元々高校1年の軽音部で女子バンドを組んだ時に、私は恐竜とか爬虫類とかが好きで色々調べてて、パッと見た時に「何これ?」と思って、板歯目ってでっかくてひらべったい亀みたいなやつなんですけど、「これめっちゃ可愛いな」って。しかも全部知ってる漢字なのに読めなさすぎるだろと思って、面白いからこのまんまつけちゃおうって、ほんとに後先考えず。軽音部の顧問の先生にも「読めないからローマ字にしたら?」とか言ってもらってたにも関わらず、「漢字がいいんで」って、そのままつけました。

――読めないから逆に覚えちゃう。

千乂:でも生物の板歯目が好きな人にはSNSで結構怒られます。調べてもバンドしか出てこないって(笑)。それを見つけるたびにちゃんとリプ送ってます。「ごめんなさい」って。

――大和くんはどのへんで登場するんですか。

庵原大和:わりと早い段階で。ドラムの子がちょっとお休みするから、その間入ってほしいみたいな。

千乂:高校1年のどこかだったと思います。ドラムの子が辞めちゃって、その月にライブがけっこうあったから、ヤバイと思って、声かけて入ってもらって。周りにいた中で一番いいドラム叩くなと思ってたのが大和だったんで、「かっこいいからこいつで」って、それも直感です。

――二人でずっと一緒にやっていこうみたいな話は?

千乂:今の今まで一回も言ったことないです。続けようっていう感じでもなく、本当にただやってます。

――去年ベースが辞めちゃって、二人になった時も?

千乂:いや、私は辞めようかなみたいな感じだったんですけど、「もったいないよ。もうちょっとやろうよ」って。「何本かライブやってたら楽しくなるよ」みたいに言われて、やってみたら「めっちゃ楽しい!」って、「なんなら今までで一番楽しいかも」と思って、じゃあ続けよっかという感じでした。

庵原:俺が言ったんだっけ?

千乂:言った。私は3人が良かったんですよ。3人で板歯目じゃないと納得いかなくて、抜けたら辞めるわって言ってたんですけど、ここで急に終わったらお客さんはどう思うんだろう?とか考えてたら、辞めるタイミングがなくて。大和に「どうしよう」って聞いたら「ちょっと続けてみて、しっくりこなかったら辞めればいいじゃん」って言われて、やってみたら今までで一番楽しくて、ストレスがなかったから、結果オーライでした。

――大和くん、いいこと言った。

庵原:いいこと言いました。言ったこと、忘れてたけど。

千乂:マジでありがとう。そこの「ありがとう」だけずっと言ってなかった。

板歯目

板歯目

――この二人、好きな音楽ってかぶってますか。

千乂:真逆です。元から好きなジャンルが全部かぶってないから、大和が作ってくる曲が私には新鮮に聴こえるし、すごい楽しい。

庵原:俺は昨日、レイジ(・アゲインスト・ザ・マシーン)のアルバム聴いてたよ。めっちゃかっこいい。

千乂:ナイス。かっこいいよね。

――千乂さんの趣味はそっち系ですか。ラウドロックやミクスチャー?

千乂:そうです。90年代ぐらいに流行ってましたみたいな音楽がめちゃくちゃ好きで、レイジ、リンプ、レッチリ、ニルヴァーナとか。デフトーンズもめっちゃ好き。

――我々と同世代じゃないですか(笑)。そんな若いのに。

千乂:大和はJ-POP。うちらが中学ぐらいの時に流行ってた日本のポップス、ロックとかが好き。大和の影響で、星野源のアルバムとか最近めっちゃ聴いてる。かっこいいよね。

――大和くんはJ-POP一直線で、バンド好きという感じでもなく。

庵原:バンドは、中学生の時にUNISON SQUARE GARDENとか、ネクライトーキーとかは聴いてました。千乂さんが聴いてるレイジ、レッチリとか、洋楽は全然聴かなかったです。

――ざっくり分けると、洋ロックと邦ポップの二人って感じですかね。でも大和くんが作る曲って、かなり洋ロック寄りな感じがする。

庵原:高校生になって初めてバンドを組んだんですけど、板歯目がやってたことを真似してみたら今に至る、みたいな感じもちょっとあって。板歯目っぽいものを作ろうと思って作ってたら、今みたいな感じの曲が多くなりましたね。

千乂:元々大和が書いてた曲、すごい好きなんですよ。ポップでメロディが良くて。

庵原:完全にポップスだもんね。

千乂:そういう曲を大和が作ってくれたら歌いたくて、そこも出してよって思いつつ、私が書いてた感じのリフの曲とかを意識して今は書いてくれてるというか。私はきれいなメロディの、もっとポップスの、もっと大和っぽい曲を歌ってみたい気持ちは結構ある。私の中では隠し玉が何個かあって、色々出していきたいですね。

庵原:隠し玉…。

千乂:太陽の塔を作った岡本太郎の作品で、顔がいっぱいあるやつ、あるじゃないですか。それくらい、いろんな顔がまだあります。それも出していければいいなって思ってるんですけど、ちょっと気が向いたら。

――ちなみに今の板歯目のライブのお客さんって、どんな感じですか。

千乂:バラバラです、年齢層も国籍も。海外から来た、千乂詞音が大好きなんですみたいな超きれいなお姉さんも来るし、日本語めっちゃ頑張って勉強してる留学生の超イケメンお兄さんもいるし、この前は中国人のカップルが来たりとか。おじさんもいますし、娘ぐらいな感じで接してくれるおばさんもいるし、私より全然年下の子もいるし、グータッチだけする系のお兄さんもいるし。本当にバラバラすぎて、だから全員覚えてます。毎回来てくれる人はみんな顔わかります。

――まだ生でライブを観られてないんですけど、基本ハッピーなライブですか。暴れるとかではなく。

千乂:ダイブもモッシュも起きず、みんな自分の楽しみ方をしてますね。たまにダイブが起きたりもするんですけど、それも違和感はないです。楽しいんだろうなーって思って見てます。

千乂詞音(Vo&G)

千乂詞音(Vo&G)

――作品の話をすると、ここまでにアルバム3枚リリースしていて。全部聴きましたけど、結構変化してきてますよね。曲調や音作りが。

千乂:そうですね。曲を作ってるのが1枚目はほぼ私で、大和の曲が1,2曲あって。2枚目はみんなで作った曲と、私の曲と大和の曲と前のベースの曲がごちゃごちゃって入ってて、3枚目はほぼ大和が書いていて、私の曲は1曲ぐらいしか入ってないです。

――1枚目『板歯目』(2022年)を今振り返ると?

千乂:若い(笑)。高校生の頃に書いた曲しか入ってないし、今聴くと全部恥ずかしい。感覚でしか曲を作ってなかったのかな、みたいな感じです。今でも感覚でしか書けないんですけど、にしても「構成とか考えてないの?」みたいな、「その時一番これがかっこいいでしょうって思ってたんだろうな」っていう曲だけが入ってます。

――初期衝動ってやつですかね。2枚目『鄙、天国』(2022年)はどうですか。

千乂:2枚目は面白いなと思います、今でも。一番ワイワイしながら曲を作ってた時期で、誰も困ってないというか。「こういう曲作ってやろう」って大和は思ってたかもしれないですけど、私とベースはノリで作ってたイメージです。前のベースに歌詞書いてみなよって言って、書いてもらって、あとは3人で合わせてとか、そういう曲もありました。私的には、2枚目はすごいワクワクしてる感じがします。

――大和くんの感想は。

庵原:言葉の使い方が合ってるかわかんないですけど、2枚目は一番バンドしてるなっていう感じはします。1枚目は高校生の延長みたいな感じだったんで、いい悪いではなくてまたちょっと別だなという感じがするんですけど、2枚目からは今の板歯目の雰囲気が出始めたなって思います。遊んでるよね。

千乂:めっちゃ遊んでる。好きなことやりました感が一番あります。

庵原大和(Dr)

庵原大和(Dr)

――あと、2枚目は音が凄い。ローファイなガレージロックの極みみたいな、むちゃくちゃ尖った音。誰が録ったんですか。

千乂:録ってくれたのは小寺さんという方で、マスタリングはジョン・デイヴィスさんがやってくれてます。重い!って感じです。

――ジョン・デイヴィスって、あのジョン・デイヴィス? 先日亡くなった。

千乂:そうです。

――メトロポリススタジオの巨匠じゃないですか。ものすごい大物。

千乂:3枚ともそうです。この前「親切」っていうシングルを出してたんですけど、それより前はたぶん全部お願いしてます。

――それ、もっと宣伝しなきゃ。3枚目『遺伝子レベルのNO!!!』(2023年)は?

千乂:3枚目は、私は結構好きなんです。大和の作る曲が好きなんで。たぶん今までの中で一番変拍子とか入ってて、私たちの色が変わったポイントになってるかなっていう印象ですね。

庵原:その時は曲の作り方ですごい悩んでいて。2枚目と変わってしまったのも意図的じゃなくて、僕的には「そうなっちゃった」という感じで、ちょっとトライしてエラーしたかもっていうアルバムです。

――そんなことないでしょう。

庵原:曲の構成とかも、何していいかわかってない感が出てるなって、自分で聴くと思いますね。1枚目と2枚目がすごい好きだったんで、それと比べちゃうとちょっと良くなかったなって。

――そんなことないですよ。確かにトライは色々あって、ピアノを入れた曲があったりとか。

庵原:たぶん、何か違ったことしなきゃみたいなことをあまりに思いすぎてて、ちょっと間違っちゃったなみたいな。

――反省会になってますけど。それが今に繋がっているならOKじゃないですか。それを経ての1年半ぶりのEPで、初のCD作品が今ここにある『もんくのひとつもいいたい!』。全曲、大和くんの楽曲です。こういうものを作りたいみたいなコンセプトはありましたか。

千乂:ないです。大和がめっちゃ曲を書いてきてくれて、私がうまいこと曲が書けなくなってたのもあって、「今回は作りません」って。大和が何曲か出してくれた曲の中から、どういうEPにする?って話した時に、キレてる歌詞いっぱいあるし、なおかつめっちゃいい曲ばっかりだったから、「めっちゃキレてるEPにしよう」みたいな感じです。歌詞は全部怒ってますね。

――怒ってますね。たまたまそういう曲ができてきたのか、自分がそういうモードだったのか。

庵原:たぶん無意識でそういうモードになってたんだと思います。全然怒ってない曲とかもこれ以外にあったんで、たまたまっていう感じですかね。別に怒ろうと思ってたわけじゃない(笑)。

――でも、何かしらあったんじゃないですか。周りの人や、世の中や、世界や、いろんなことについての怒りが歌詞のテーマになってるような。

庵原:それが、僕はそういうのが全然わかんなくて。歌詞とか曲を書く時にはとにかく何も考えないようにして、音楽やってたら自然と出てきちゃった言葉をできるだけ使うようにしてるので。今回たまたまそういう言葉使いがいっぱい出てきちゃって、だから自分でも後で読んで考察してみようかなとか思ってるんですけど。

――書いた自分もよくわかってない。

庵原:わかってないので、誰あてにとかっていうのは基本的にはないです。過去に何曲か、考えて作った曲もなくはないんですけど、むしろ何も考えないようにして作ってるので、誰に向けてとか何に向けてとかはあんまり考えてないです。

――「親切」はどうですか。めんどくせぇ!って連呼する曲。あえて考察すると、何を歌おうとしたのか。

庵原:「親切」は、このEPの中で一番作るのに時間かけてないんで、それが一番説明できない(笑)。もう1曲デモを送りたいからって、30分から1時間ぐらいでパッと作った曲なんで。でも、しいて言うなら何だろうな。何言ってると思う?

千乂:私はすごいシンパシーを感じた。1枚目に入れてる「Y」って曲の歌詞も「めんどくせー」って言ってるし。初めて聴いた時、Adoみたいって思った。曲調とか。

庵原:Adoにインスパイアされてるのかな、無意識に(笑)。でも何だろうね。何に向けてるんだろう。思いつかない。

千乂:何か色々あった時期だったんで。これ(EP)を作ってる時は。

庵原:1年ぐらい経ってから読み返すと、わかったりすることもあるんで。最近ようやく、3枚目のアルバムの歌詞の意味が、「たぶんこういうことなんだろうな」みたいなのが今頃わかってきたんで。これももうちょっと時間が経ったら、冷静に見たらわかるかもしれないです。ちょっと今はなんとも。

――じゃあ1年後に来ますよ(笑)。でもそうやってパッと作った「親切」がリード曲になってミュージックビデオを作られるんだから、音楽って面白い。

庵原:僕もこれがリードになるとは思わなかった。30分とか1時間で作った曲なのに。

板歯目

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――EP全体に話を戻すと。どんな作品ですか。完成した今の手ごたえは。

千乂:レコーディングとか、ずっと楽しかったです。感情の中で怒りが一番気持ちが乗りやすいというか、楽しいとか悲しいとかよりかは怒りが一番出やすいので、レコーディングは1曲も苦戦しなかったです。「さいごの天地物語」とか、最初はブロックごとに分けて録ったんですけど、勢いがなくて嫌だなって思って、最終日に全部一気に録って、「こっちのほうがいいね」って言ってそのまんま終わりました。ライブでやってもすごい楽しいだろうなっていう曲ばっかりで、早くライブでやりたいと思いながら、出来上がってずっと聴いてました。

――大和くんの、今回のEPの感想は?

庵原:攻撃力高めのサウンドだなぁって。

千乂:サポートでレコーディングをするのが初めてで、ベースを弾いてくれた子が2個下の後輩で、まだ20歳なんですけど。私たちがベースのフレーズを考えられるわけでもないんで、ある程度は大和がデモで作ってくるんですけど、その子はそこから広げるのがすごいうまくて。ベースをめちゃくちゃ聴いてほしいです、今回。

庵原:確かに。

千乂:私はいつも、大和のドラムが一番かっこいいなって思うんですよ。今までの曲は全部大和のドラムが一番かっこいいんですけど、今回はベースが超えてきたなと思うくらいです。本当にかっこよくて、フレーズも音もすごい良くて。

庵原:センスがいいよね。「妖怪っぽい感じで」とか言ったら、やってくれるみたいな。

――何ですか、妖怪っぽいって。

庵原:「さいごの天地物語」の間奏で、「この曲はなんか妖怪っぽいイメージだから、そういうの弾いてほしい」って言って。何だっけ、あの映画。ちょっとタイトルが出てこないけど、妖怪の映画があって、そういうイメージがあって。

千乂:それが伝わるんですよ。誰とでも合うわけじゃないから、高校の後輩に私たちと感性が似てる人がいたのは奇跡だなって思います。Junkie Machineっていうバンドでベースを弾いてる、りゅーやって子なんですけど、ピッタリうちらと感性が一緒で、広げ方もうまいし、いいフレーズ作ってくれるし、完璧でしたね。私たちが知ってる100点満点よりさらに上の100点を叩き出してきた感じがあって、ぜひベースを聴いてほしい。

庵原:最高です。

千乂:なので、サウンド全体的に、さっき大和が言ってたように攻撃力高いし、歌詞も音も全部めちゃくちゃ強いんですけど、結構ドラム頑張ってたり、ベースが良かったり、色々してるんで。大和のコーラスも面白いんで、それも聴いてほしいです。あと、曲間とかも気にしてるんで、よかったら1曲目から6曲目まで聴いてもらえると嬉しい。

――今は、アルバムを1曲目から全部聴くっていう時代でもなかったりすると思いますけど。ちゃんと考えてる。

千乂:考えてます。私たちがいまだにCD買っちゃう派なんで。

――しかも、板歯目として初めてのフィジカルCD作品。

千乂:めっちゃ嬉しいです。デジタルでしか出したことなかったんで。初めて手で触れるものができて、「うわー、うちらのCDできた」って感じです。中も可愛いんで、いろんな人に手に取ってもらえるといいなと思います。

――怒りのEPではあるけど、別にリスナーに怒ってるわけじゃないし。「怖くないからちょっと聴いて」って言いたいですね。

千乂:何か私たち、すごい怖がられがちというか、全面的に尖ってるだろうって思われがちなんですけど。

――それはこういうアーティスト写真を撮るからでしょう(笑)。睨みつけられてる。

千乂:普段はそんなことないんで(笑)。なんなら私たちも、怒ってる人のことは怖いと思ってるし、道端ででかい声で怒鳴ってる人とか、部下にキレてる上司のおじさんとか、怖いと思ってるんで。私たちはそんな感じではなくて、内面で思ってることを歌詞に起こしてるだけなんで。怖くないから、もっと仲良くしてほしいです(笑)。

板歯目

板歯目

――なんたって「超親切ツアー」ですからね。7月から始まるリリースツアーは。ツアータイトルもメンバーのイラストもめっちゃ可愛いし。

千乂:友達に描いてもらいました。今まではEPのジャケットとかをフライヤーにしてたんですけど、ちょっと怖すぎるなと思って、「今回はイラストで行きましょう、しかも超親切なツアーにしましょう」って。

庵原:超反省ツアー。

――今まで怖くてすみませんって(笑)。

千乂:何も怖くないですよっていうポップな感じで、楽しくやっていきましょうみたいなイメージです。

庵原:ツアー自体も久々で、CDを持って回るのが初めてなんで、そこが結構楽しみだったりします。ライブが始まった時の感じとか、ライブ中の様子とか、今までちょっと違うのかな、どうなんだろうな?っていう楽しみがありますね。楽しいツアーにしたいです。

千乂:大和が言ったのと全く同じことを思ってるんですけど。違うことを言うとしたら、私は夏がすごい苦手で、私たちも大変だと思うんですけど、たぶんスタッフがめっちゃ大変だと思うんで。美味しいものとかを食べつつ、みんなで楽しく、体調を崩さないように、熱中症に気をつけて、みんなで元気に回りたいです。すごい気合い入ってるんで、来てもらえるとありがたいです。

――今のところ発表されている対バンが、ルサンチマンとかハク。とか。だいたい同世代ですかね。

千乂:どっちも一個上です。高校の時から対バンしてて、ずっと見てました。すごいバンドがいるなって。

――同世代へのライバル心というか、逆に同志感とか、そういうのってありますか。

千乂:対抗心とか、あんまりないんですよ。他のバンドに対してもっと行ってやろうとか、私は一回も思ったことないです。ただ、今めっちゃ困ってるのは、ジャンルとかがないからどこにも属せなくなってきてて、ライブ組んでくれる人に「板歯目は難しい」って言われるんですよね。だから今回のツアーは、とにかく私たちがやりたい人だけ呼んでるんですよ。ルサンチマンもハク。も、dadadadysもJIGDRESSも、私たちが一緒にやりたいバンドさんなので、一緒に楽しくツアーできればいいなと思いつつ。でも同世代が活躍してるの見るとすごいとは思うんで、私たちも追いつけるように頑張ります。

――健康的ですね。すごい前向き。

千乂:個人的にめっちゃネガティブではあるんですけど、たぶんそれは個々でネガティブであって、バンドになると楽しくなっちゃう。二人でいる時は、私はほぼ何も考えてないかも。

――バンドがあって良かったんじゃないですか。

千乂:ほんとですよ。高校生からマジで明るくなりました、急に。“何でもできるかも。イエーイ”みたいな。友達ができたのも高校からです。それぐらい性格変わりました、バンド始めてから。

――バンド健康法みたいな(笑)。

千乂:そうですよ。みんなバンドやったら元気になるから、やりましょう。何歳からでも絶対元気になります。仲間がいるっていう感覚が初めてだったんですよ。たぶん大和とか、クラスで一緒なだけだったらひとこともしゃべってないと思うし、大和も私に絶対話しかけてこないし。でもバンドをやったからこそ出会ったし、仲間みたいな感覚になれたし、不思議ですね。

――大和くん、バンド、好きですか。

庵原:はい。僕もバンドを始めて友達ができるようになったし、たぶん明るくなったと思うんですよ。バンドを始める前は本当にひどかったんで、それに比べると健康になってるんじゃないかと。

千乂:しゃべるようになったよね。いろんな人と。

庵原:なったね。高校の入学式、俺はこうやって(小さくかがんで)体育館に入ってたんで。

千乂:何かお辞儀しながらずっと歩いてる奴がいるんだけど、ヤバいと思ってたら大和だった(笑)。顔見えないぐらい髪長くて、ずっと腰を折りながら歩いてたから、「何あいつ」とか思ってたんですけど、まさか同じ部活に入るとは思わなかった。

庵原:「DEATH NOTE」に出てきそうな奴みたいな感じだった(笑)。

千乂:でもしゃべったら全然、物腰柔らかくて、変な奴じゃなくて良かった。

庵原:みんなバンドで健康になろう。絶対心にいいよね。絶対いい。

千乂:ほんとだよ。みんな、バンド始めましょう。そしてうちらのライブに来て、友達を作ってください。

庵原:ライブに来るといいこといっぱいあるね。


取材・文=宮本英夫 撮影=大塚秀美

Music Video「親切」

リリース情報

1st EP 「もんくのひとつもいいたい!」
2025年6月18日(水)リリース
【収録曲】
1 超バカ!
2 親切
3 納得いかない
4 さいごの天地物語
5 カプセル
6 誰かのフラストレーション

ツアー情報

板歯目 2025 夏~超親切ツアー~
7月13日(日)福岡 天神Live House Queblick w/ルサンチマン、ハク。
7月15日(火)香川 高松TOONICE w/ルサンチマン、ハク。
7月18日(金)宮城 仙台enn 2nd w/the dadadadys、JIGDRESS
7月23日(水)大阪 心斎橋Pangea ★ワンマン
7月24日(木)愛知 名古屋HeartLand w/Suspended 4th
7月31日(木)東京 新代田FEVER ★ワンマン
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