藤山直美と高畑淳子、13年ぶり共演の喜劇『おだまり、お辰!』会見で「生存確認」「セリフ覚えられるかな」

レポート
舞台
2026.4.2
前列左から高畑淳子、藤山直美、後列左から岡本圭人、吉田栄作、柄本明、ベンガル 撮影=SPICE編集部

前列左から高畑淳子、藤山直美、後列左から岡本圭人、吉田栄作、柄本明、ベンガル 撮影=SPICE編集部

舞台『おだまり、お辰!』が5月10日(日)~5月31日(日)に大阪・新歌舞伎座、6月12日(金)~21日(日)に東京・明治座で上演される。これに先立ち、大阪市内のホテルで制作発表会見が行われ、主演の藤山直美、高畑淳子のほか、柄本明、吉田栄作、ベンガル、岡本圭人ら出演者と、脚本を手掛けた横山一真が出席し、作品への思いや意気込みを語った。

■藤山直美「一番大事なのは、楽日に全員が元気で生きているか」

同作は、個性豊かな俳優陣が顔をそろえる新作喜劇。女中のお辰(藤山直美)と伯爵未亡人の栗栖川貴子(高畑淳子)は、主従を超えた絆で結ばれた関係。そんな2人を執事の平井塀吉(ベンガル)や、貴子の甥の澤木誠之助(岡本圭人)が取り囲む。やがて栗栖川家に現れた羽山麟太郎(吉田栄作)をめぐって、恋の三角関係が勃発。政財界の大物・銀蔵(柄本明)も乱入し、四角関係へとねじれていく。笑いあり涙あり、波瀾万丈の「人生まるごとドタバタ喜劇」だ。

横山は「藤山さんと高畑さんという、関西と東京を代表するお二人のキャラクターを生かした喜劇を構想した」と作品誕生の経緯を説明。地位や出自の違いで衝突しながらも、同じ人物を思い続ける2人の旅路を描くといい、「素晴らしい役者さんに集まっていただいた。三つ巴、四つ巴のバトルで火花を散らしてもらえれば、すごくおもしろいものができるんじゃないか」と期待を寄せた。伯爵未亡人と女中の設定については、「高畑さんのピリッとしたところと丁々発止の掛け合わせで思い浮かびました。伯爵未亡人が「おだまり」と言うのですが、女中も全然負けてないという逆転がどこかで生まれるのがまたおもしろい。自分も期待しています」と微笑んだ。

藤山は「吉田栄作さんと岡本ジュニアは初共演ですが、皆さんよく知っている方ばかり。集まって出た話は「セリフを覚えられるかな」ということ」と語りつつ、「共演というより生存確認ですね。一番大事なことは、楽日に全員が元気で生きているかどうか」と述べ、会場の笑いを誘った。高畑との共演は、2013年初演の舞台『ええから加減』以来2度目。「また巡り合えたことを嬉しく思います。気持ちを一つにして、良いお芝居ができるように努力したいです」と意気込んだ。

高畑は「藤山直美という日本で1番の女優さんと舞台に立つのは、本当に身の引き締まる思い」と語り、「不安もあるが、できるという気持ちもある」と再共演の喜びを表した。1日2回公演が続く日程については、「直美さんがおっしゃったように「生きて終わる、ほどほどにやる」を目標にやっていきたい」と気を引き締めていた。

オファーが来た時、「やらせていただきたい」と即答したという吉田は、新歌舞伎座と明治座の舞台に立つのが今回が初めて。「麟太郎は侍のような凛とした男なんですが、後半はちょっとおまぬけなところもあるので、そこを演じるのが楽しみ」と自身の役柄について述べた。

藤山とは約7年ぶりの共演になるベンガルは、「直美ちゃんの芝居を見るたびに、本当にすごい職業俳優、プロだなと思う。逆の意味で天然記念物」と絶賛。一方、榎本は「恐怖と緊張です」と藤山との共演について率直な胸の内を明かし、「(藤山は)どうしようもなく上手い。職業的俳優でありながら、心の底にアマチュアの精神を持っていらっしゃる。この振り幅のすごさが恐怖です」と語り、会場を沸かせた。

それを聞いた藤山は、自身が先輩と慕う柄本に対し「そういう人に限って自分のことをわかっていないんですよ。柄本明という人が出てくるだけで成立する芝居があるんです。それを観た時に「すっごい人やな」と思った。良い意味で共存共栄のお芝居になると思います」と尊敬の念を示した。

喜劇初挑戦の岡本は、大先輩に囲まれて「めちゃくちゃ緊張してます」と苦笑い。「皆さん、「セリフを2行以上覚えられない」とか、「生きて終わろう」という話をされていて、自分は何がなんでもセリフを覚えないといけないし、絶対に体調は崩せない」と真剣な面持ちで決意する。俳優・岡本健一の息子との共演を藤山が喜ぶ場面もあり、決意に続けて「「岡本ジュニアと一緒にできることがうれしい」とおっしゃっていただいたので、父の名に恥じぬ演技をできれば」と目を輝かせた。

また、初挑戦の喜劇について「個人的には喜劇は一番難しいものだと思っています。一生懸命先輩方を見て頑張っていきたい。とはいっても、一番はお客様に感動を届ける。まずはそこに集中したい」と気合いを見せる岡本に、藤山は「喜劇のお芝居は、ちゃんと筋と、全てのものが整っていなかったら笑いは生まれない。良くないからといって笑いで誤魔化すと、それは誤魔化しであって笑いではないし、お客様に笑っていただくのと騒がれるのは違う。これから色んなことを学ばれると思います。お父様という良いお手本が近くにいらっしゃいますからね。ここで吸収されたものをまた何かのプラスにしていただけたらなと思います」とエールを贈っていた。

■岡本圭人の「生まれて初めての恋」はお母さん

会見では、貴子が麟太郎に「生まれて初めての恋」をすることにちなみ、初恋についての質問も飛んだ。それぞれ悩みながら答えを探していたところ、岡本は「パッと浮かんだのはお母さん。恋というかラブというか。母親なしじゃ生きていけないし、色々面倒をみてくれるので」と回答し、会場をざわつかせた。そこに「僕も母親ですね。父親に嫉妬したような記憶がございます」と榎本が同調。吉田は「幼稚園か小学校低学年の同じクラスの女の子」とピュアな回答をした。

高畑は「高校3年間、陸上部の男子に恋をしていました。好きな人の前でも陽気な自分を出せるように、演劇の道に入った次第です」と、初恋が演劇を志したキッカケになったと告白。藤山は「一番はじめに思ったのは、王貞治さんのホームラン。でも既婚者、未婚者関係なく、絶対に恋をしてる方がいいと思います。「素敵やな」というものを持っていると、やっぱり艶があるし、モチベーションが上がる」と、ときめきの大切さを熱弁した。

そしてベンガルは「僕は生まれた時から女好きですね。だからいつから恋したという記憶はない。幼稚園でも女の先生が好きだったし、今でも大好きな子がいっぱいいます」と個性たっぷりに回答し、会場を笑わせた。

最後に藤山は「登山口は別々でも、同じ山を登っていたら山頂で出会えます。私は喜劇の役者で、柄本さんとベンガルさんは劇団東京乾電池(柄本明、ベンガル、綾田俊樹によって旗揚げされた演劇集団)という土台があり、栄作さんも高畑さんも岡本ジュニアもまた違う経験をされ、みんなが山頂で集合して、お客さんに喜んでもらう一つの作品を作る。生きてきた場所が違うので、お芝居の解釈も違うでしょうけど、融合して譲歩して、良いものを作り上げたいと思っております」と語った。

高畑は「満員の客席から笑いが生まれ、あとで思い出していただける瞬間がたくさんあるお芝居になる気がしております。気負わず、藤山さんや皆さんのお力をお借りして、来て良かったな、と言っていただける舞台を作れるように頑張ります」と挨拶し、会見を締め括った。

取材・文=久保田瑛理

上映情報

『おだまり、お辰!』
作:横山一真
演出:竹園 元
出演:
藤山直美、高畑淳子、吉田栄作、ベンガル、岡本圭人
柄本明 ほか
 
【大阪公演】
■会場:新歌舞伎座
■公演日程:2026年5月10日(日)~5月31日(日)
■料金(税込):1階席 14,000円・2階席 7,500円・3階席 5,000円・特別席 14,500円
:一般発売中
■お問い合わせ:新歌舞伎座テレホン予約センター 06-7730-2222(10:00~16:00)

【東京公演】
■会場:明治座
■公演日程:2026年6月12日(金)~6月21日(日)
■料金(税込):S席(1階席・2階席)13,000円・A席(3階席)7,000円
プレオーダー受付:~3月25日(水)23:59
■お問い合わせ:明治座センター 03-3666-6666(10:00~17:00)
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