90年代英国アートの熱狂を検証『テート美術館 ― YBA & BEYOND』京都展で50人超作家が約90点展示、詳報発表

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2026.3.23
コーネリア・パーカー「コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ」  1991年 テート美術館蔵	Photo: Tate (C)Cornelia Parker. Courtesy Frith Street Gallery, London

コーネリア・パーカー「コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ」  1991年 テート美術館蔵 Photo: Tate (C)Cornelia Parker. Courtesy Frith Street Gallery, London

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6月3日(水)〜9月6日(日)の期間、京都市京セラ美術館にて開催される『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』の章構成やスポットライトなどの見どころが発表された。

ヴォルフガング・ティルマンス「ザ・コック(キス)」  2002年 テート美術館蔵 (C)Wolfgang Tillmans, Courtesy of Maureen Paley, London; Galerie Buchholz; David Zwirner, New York

ヴォルフガング・ティルマンス「ザ・コック(キス)」  2002年 テート美術館蔵 (C)Wolfgang Tillmans, Courtesy of Maureen Paley, London; Galerie Buchholz; David Zwirner, New York

同展は、イギリスのテート美術館が所蔵する同館のコレクションを中心に、1990年代の英国美術の革新的な創作の軌跡を多角的に紹介するもの。東京・国立新美術館にて5月11日(月)まで開催され、京都に巡回。50名を超える作家による約90点を通して、この時代のクリエイティブな熱狂がいかに世界のアートシーンに決定的な影響を与えたかを検証する。京都展以降の巡回の予定はない。

ダミアン・ハースト、トレイシー・エミン、ヴォルフガング・ティルマンスなど、サッチャー政権時代を経て緊張感漂う英国社会で登場した実験的な作家たちの作品が一堂に会する。大衆文化、個人的な物語や社会構造の変化などをテーマとし、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなど多様な手法を用いた独創的な作品を多岐にわたって展示する。

■【序章】フランシス・ベーコンからブリットポップへ

同展は、20世紀英国美術を代表する画家フランシス・ベーコン(1909-92年)の影響を起点に、1990年代の文化状況へとつながる流れを示す序章から始まる。ベーコンが追究した肉体や感情の表現は、新世代のアーティストたちに強い刺激を与え、率直で激しい感情表現を伴う新たな制作の試みを後押しした。

■第1章 ブロークン・イングリッシュ:ニュー・ジェネレーションの登場

ギルバート&ジョージ「裸の目」 1994年、テート美術館所蔵 Photo: Tate (C)Gilbert & George

ギルバート&ジョージ「裸の目」 1994年、テート美術館所蔵 Photo: Tate (C)Gilbert & George

第1章では、1988年にロンドンの廃倉庫で開かれたグループ展『フリーズ』を契機に台頭した若い作家たちの活動を紹介。自由市場経済の進展による格差拡大や社会不安のなかで、アイデンティティや地域共同体の揺らぎをテーマとする表現が生まれた背景を探る。

■第2章 おおぐま座:都市のイメージをつなぐ

ジリアン・ウェアリング「ダンシング・イン・ペッカム」 1994年 (C) Gillian Wearing, courtesy Maureen Paley, London;Regen Projects, Los Angeles and Tanya Bonakdar, New York

ジリアン・ウェアリング「ダンシング・イン・ペッカム」 1994年 (C) Gillian Wearing, courtesy Maureen Paley, London;Regen Projects, Los Angeles and Tanya Bonakdar, New York

第2章は、製造業の衰退と都市の空洞化を背景に、空き店舗や廃墟など都市の周縁空間から生まれた創造性に焦点を当てる。打ち捨てられた場所や物に目を向けながら、都市のメランコリーや疎外感を表現した作品を紹介する。

■第3章 あの瞬間を共有する:音楽、サブカルチャー、ファッション

ヴォルフガング・ティルマンス「座るケイト」 1996年、テート美術館所蔵 (C) Wolfgang Tillmans, courtesy of Maureen Paley, London; Galerie Buchholz; David Zwirner, New York

ヴォルフガング・ティルマンス「座るケイト」 1996年、テート美術館所蔵 (C) Wolfgang Tillmans, courtesy of Maureen Paley, London; Galerie Buchholz; David Zwirner, New York

ジェレミー・デラー「世界の歴史」 1997-2004年、テート美術館所蔵 Photo: Tate (C) Jeremy Deller

ジェレミー・デラー「世界の歴史」 1997-2004年、テート美術館所蔵 Photo: Tate (C) Jeremy Deller

第3章では、ブリットポップやレイブ文化、ストリートファッションの隆盛など、音楽やサブカルチャーとの結びつきに注目。美術、広告、ファッション、音楽が交差した90年代英国の文化的活力を浮かび上がらせる。1990年代の英国では、美術、広告、ファッション、音楽の各業界が新しく多様な形で互いに関係を作り上げるようになっていました。ブリットポップやレイヴ・カルチャーの隆盛、『i-D』『ザ・フェイス』などの誌面を彩ったストリート・ファッションやウエストウッド、マックイーン、ガリアーノらによるオートクチュールが、ユース・カルチャーや大衆文化、セレブリティの概念を更新していきます。アーティストたちは芸術の伝統的な枠組みを打ち破るために音楽の開放的な力に積極的に関わり、作品を通して、急速に変化する政治や社会の中でかけがえのない瞬間や人間同士のつながりを大切にする価値観を共有しました。

■第4章 現代医学

デレク・ジャーマン「運動失調―エイズは楽しい」 1993年、テート美術館所蔵 Photo: Tate (C) The estate of Derek Jarman. Courtesy of The Keith Collins Will Trust

デレク・ジャーマン「運動失調―エイズは楽しい」 1993年、テート美術館所蔵 Photo: Tate (C) The estate of Derek Jarman. Courtesy of The Keith Collins Will Trust

第4章では、1990年の同名の展覧会を背景に、身体や精神、科学技術と倫理の関係に向き合った作品を紹介。解剖学や病、メンタルヘルスなどを主題に、人間の身体と社会の関係を問い直す表現を取り上げる。HIV/エイズ危機が社会に大きな不安と偏見をもたらした時代状況も踏まえ、当時のアーティストたちがいかに政治性や身体性を作品に反映させたかを示す。

■第5章 家という個人的空間

サラ・ルーカス「煙草のおっぱい(理想化された喫煙者の椅子Ⅱ)」 1999年、テート美術館所蔵 (C) Sarah Lucas. Courtesy Sadie Coles HQ, London

サラ・ルーカス「煙草のおっぱい(理想化された喫煙者の椅子Ⅱ)」 1999年、テート美術館所蔵 (C) Sarah Lucas. Courtesy Sadie Coles HQ, London

グレイソン・ペリー「私の神々」 1994年、テート美術館所蔵 (C)Grayson Perry. Courtesy the artist and Victoria Miro

グレイソン・ペリー「私の神々」 1994年、テート美術館所蔵 (C)Grayson Perry. Courtesy the artist and Victoria Miro

第5章では、家庭や家族といった私的領域をめぐる価値観の揺らぎに注目する。日用品や家具など身近な素材を用い、家庭生活の現実や社会的な役割分担、メディアが作り出すイメージを問い直す作品が並ぶ。都市再開発によって失われていく生活空間を記憶としてとどめようとする試みなど、急速に変化する社会のなかでの「家」の意味を探る。

■第6章 なんでもないものから何かが生まれる:身近にあるもの

マイケル・クレイグ=マーティン「知ること」 1996年、テート美術館所蔵 (C)Michael Craig-Martin. Courtesy the artist and Gagosian

マイケル・クレイグ=マーティン「知ること」 1996年、テート美術館所蔵 (C)Michael Craig-Martin. Courtesy the artist and Gagosian

第6章では、日常的な素材を用いた作品に焦点を当てる。1990年代の英国では、多くのアーティストが安価で身近な日用品を制作に取り入れた。こうした試みは、1980年代のコンセプチュアル・アートへの反動ともいわれ、日常生活の中で見過ごされがちな物や行為に新たな意味を見いだす実践でもあった。ささやかな介入によって最も大きなインパクトを与えることができるというアーティストの考察を体現した、「出来事や社会的な空間としての芸術」の可能性を探る。

トレイシー・エミン「モニュメント・バレー(壮大なスケール)」 1995ー97年、テート美術館所蔵 Photo: Tate (C)Tracey Emin

トレイシー・エミン「モニュメント・バレー(壮大なスケール)」 1995ー97年、テート美術館所蔵 Photo: Tate (C)Tracey Emin

■スポットライト

トレイシー・エミン「なぜ私はダンサーにならなかったのか」 1995年、テート美術館所蔵 (C)Tracey Emin

トレイシー・エミン「なぜ私はダンサーにならなかったのか」 1995年、テート美術館所蔵 (C)Tracey Emin

また、同展では象徴的な作品に焦点を当てた「スポットライト」も設ける。トレイシー・エミンの映像作品「なぜ私はダンサーにならなかったのか」は、若い頃の苦悩と再生を語る自伝的作品として知られる。これまで語られる機会の少なかった女性たちの経験に光を当て、フェミニズムの課題と共鳴した作品となった。コーネリア・パーカーの「コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ」は、爆破された物置の破片を空間に浮遊させ、破壊と創造の瞬間を視覚化した代表作。また、マーク・ウォリンジャーの映像作品「王国への入り口」では、空港の入国ゲートを行き交う人々の姿を通して、国境や帰属、アイデンティティをめぐる問題を静かに問いかける。

イープラスでは、『リヴ・フォーエヴァー: Oasis 30周年特別展』のグッズを手掛けた河村康輔デザインのYBA & BEYOND収納ケース入りエコバッグ付き前売券や、ペアも販売中。

イベント情報

『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』
会 期:2026年6月3日(水)〜9月6日(日))
開場時間:10:00〜18:00(入場は閉場30分前まで)
休 館 日 :月曜日(祝日の場合は開館)
会 場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
入場料金(税込):一般2,300円(2,100円)、大学生1,500円(1,300円)、高校生900円(700円)
※前売り券販売期間:〜6月2日(火)23:59(YBA & BEYOND収納ケース入りエコバッグ付き前売券(河村康輔デザイン)は5月31日(日)まで、ペアは前売販売期間のみの販売)
※カッコ内は前売料金
※中学生以下入場無料(未就学児は要保護者同伴)
※団体料金は20名以上
※専門学生は大学生料金で入場可能
※学生料金でご入場の方は学生証のご提示をお願いいたします。(小学生を除く)
※障害者手帳等をご提示の方は本人及び介護者1名無料(障害者手帳等確認できるものをご持参ください)
 
 ■YBA & BEYOND収納ケース入りエコバッグ付き前売券 ※河村康輔デザイン
河村康輔がデザインしたラインナップ・ビジュアルが反映されたYBA & BEYOND収納ケース入りエコバッグ付き前売券。本券1枚につき【グッズ引換券】が1枚付きます。商品の引き渡しは会場のみとなります。
配送サービスは行っておりませんので、ご了承の上ご購入ください。
料 金:4,650円(税込)
販売期間:〜5月31日(日)23:59
※お申込みはお一人様1回のみとなります。
※本券の変更・払戻・再発行・転売不可となります。
※予定数に達し次第、販売終了。
※予定数に達した場合、会場での販売はございません。
※不良品以外の理由による「特典グッズ」の交換はいたしません。
※期間中有効券の為、開催日時をご確認の上ご購入ください。
※会場への電話でのお問合せはご遠慮ください。
サイズ:(本体)約W390xH640xD150mm(取っ手含む)
(収納ケース)約150×150mm(カラビナ付き)
■ペア
一般入場券2枚のお得なセット券です。2名様でご来場ならびに1名様で2回ご来場の場合でもご利用いただけます。
料 金:4,000円(税込)
販売期間:〜6月2日(火)23:59
 
主 催:テート美術館、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ABCテレビ、キョードーエンタテインメント、京都新聞、FM802/FM COCOLO、京都市
協 賛:バーバリー
協 力:日本航空、ヤマト運輸
後 援:ブリティッシュ・カウンシル
公式ホームページ:https://www.ybabeyond.jp/
お問い合わせ(京都会場のみ):京都市京セラ美術館 075-771-4334
X:@ybabeyond
Instagram:@ybabeyond
Facebook:@ybabeyon
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