「どこまでも自由なジャズが好き」デビュー10周年を迎えるサックス奏者ユッコ・ミラー、その素顔に迫る~古野光昭プロデュース『フルノーツ・プロジェクト』に初出演
ユッコ・ミラー
今年2026年にメジャーデビュー10周年を迎えるサックス奏者、ユッコ・ミラー。トレードマークのピンクヘアーのみならず、卓越したテクニックと歌心あふれるプレイでジャズ・シーンを中心にひときわ鮮やかな存在感を放っている。
6月13日(土)には、岩手県盛岡市のキャラホールにて開催される『古野光昭プロデュース フルノーツ・プロジェクト Special Jazz Concert』にゲスト出演。「誰でも楽しめるジャズ」をコンセプトに当代一流のメンバーが揃うこのコンサートへの意気込み、そしてユッコ・ミラー自身の音楽について、じっくり話を聞いた。
古野光昭は同郷の憧れの存在
古野光昭プロデュース 「フルノーツ・プロジェクト」with ユッコ・ミラー SPECIAL JAZZ CONCERT
――まずは『古野光昭プロデュース フルノーツ・プロジェクト Special Jazz Concert』についてお伺いします。ベーシストの古野光昭さん率いるバンドによるコンサートとのことですが、古野さんとは以前からお知り合いだったのですか?
古野さんも私も三重県伊勢市出身なんです。私にとって古野さんは、同じ地元出身の世界的なジャズ・ミュージシャンとして、高校生のときから憧れの存在でした。メジャーデビューしてからは、古野さんを私のコンサートにお呼びして一緒に演奏していただいり、別のバンドでご一緒したりと、何度も共演しています。
いつも優しくしてくださって、演奏も本当に素晴らしくて。今回はじめて古野さんのリーダーバンドに声をかけていただいて、とても嬉しいです。
――ピアノの魚返明未さん、ギターの井上銘さん、ドラムスの大坂昌彦さんと、バンドメンバーも豪華です。
ほんとうに。どの方とも正式に共演したことはありませんが、どこかでお会いしたことがあると思います。というのも、ジャズ・フェスティバルでは最後に出演者全員がステージに出てきて、バンドの枠を超えてセッションすることがありますし、お客さんのつもりで聴きに行ったコンサートで、急遽飛び入り参加することもありますから。ジャズ・ミュージシャン同士はいつでも「あ、どうも。どこかでお会いしましたよね。今度またどこかでご一緒するでしょうね」という感じです(笑)。
――なんだか素敵です。今回のコンサートのプログラムとしては、「いつか王子様が」「マイ・フェイヴァリット・シングス」「チュニジアの夜」といったジャズのスタンダード・ナンバーが予定されています。
まだ最終的なプログラムは決まっていないのですが、私のオリジナル曲も演奏するかもしれません。とはいえ、最近の私自身のコンサートではオリジナルの割合が高いので、スタンダード中心のコンサートは珍しいですね。
私は高校生のときにジャズに出会って、そのカッコよさにすっかり魅了されてしまいました。ジャズはどこまでも自由で、同じ曲でも演奏するメンバーや場の空気によって、1回1回がまったく違う音楽になります。すべてが素直に音に反映されるところが、とにかく面白くて。
スタンダードをやるときは、私はあまりリハーサルをせず、本番のステージ上で音楽が生まれていくのを楽しみたい派です。次になにがくるかわからない不安、でも絶対に楽しいことになるというワクワク感の方が勝ちますね。
「もう止められない」出会った瞬間決まった将来
――ここからは、ユッコさんご自身についてお伺いします。サックスをはじめたきっかけは、高校で吹奏楽部に入ったことだったそうですね。
高校1年生で吹奏楽部に入って、はじめてサックスを吹いたとき、もう「出会ってしまった!」と思いました。必ずやこの道を極めて、将来はミュージシャンになると決めて、勉強もせずにひたすら練習した3年間。もう誰も止められないという勢いでやっていました。
とはいえ、吹奏楽部は顧問の先生が「音楽は競い合うものではなく楽しむものだから、コンクールには出ない」という方針だったこともあり、まわりは全然練習しない子ばかりでした。そのなかで、私はひとり黙々と練習していた感じです。
――ジャズに出会ったのも、その頃ですか?
サックスをはじめたときは、ジャズについて全然知らなかったんです。その1年後ぐらいに、家にあったお父さんのジャズのCDをたまたま聴いて、「ああ、ジャズ・サックスってこんなにカッコいいんだ!」と思ったのが最初でした。それからは、ジャズのスタンダードを覚えて、耳コピして吹けるようになるまで練習して。
でも、伊勢ではジャズのコンサートもほとんどなかったので、ジャズクラブで演奏するような機会ももちろんなくて。レッスンで大阪に出るようになってからですかね、セッションできるようになったのは。
――ちなみに……ユッコ・ミラーさんというお名前の由来は?
私は本名が大西由希子なので、もともと「ユッコ」と呼ばれていました。「ミラー」の由来ですが、じつは私、ミラクル星出身なんですよ。それにちなんで「ミラー」としました。
――ミラクル星出身?! そんな設定があったんですか!
地球では三重県伊勢市出身というのはもう公開しているんですけれど、ミラクル星出身なんです。
「人生に譜面はない」10周年に思うこれから
ユッコ・ミラー7thアルバム 『Bloomin’』
――ユッコさんのサックスは、パワフルなブロウと、本当に歌っているかのような豊かな歌心が魅力です。プレイするときにいつも心がけていることはありますか?
そう言っていただけるとうれしいです。YouTubeなどでJ-POPのカヴァーをするときは、まずどういう風にサックスで歌うかを考えます。実際に声で歌ってみたりして、イメージを膨らませる。どんなときも「サックスで歌う」ことをいちばん大切にしています。
私が演奏する目的は、聴いてくれる人の心に音楽を届けること。どうやったら届けられるかを考えると、やっぱり歌だと思うんです。単純なメロディでも、サックスで心の底から歌えば、必ず聴いてくれる人の心にも届くと思います。
――今年2月にリリースした10周年記念アルバム『Bloomin’』についても聞かせてください。初の全曲オリジナルとのことですが、作曲は活動の初期からされていたとか。
はい、高校生のときから作曲はしていました。私の場合、悩むことなくどんどん曲が浮かんでくるんです。メロディが降ってくることもありますし、コードやアレンジまで含めて完成形が頭の中に流れてくることもあります。
――それはすごいですね!
『Bloomin’』に関しては、去年買ったソプラノサックスを吹いていたら、めちゃくちゃ楽しくなって、そこからいろいろな曲が生まれました。ソプラノサックスはちょっとクラシカルで、美しいメロディが合うような気がして。今回ソプラノサックスで作った曲は、アルトサックスだったらこの感じは出ないだろうなという曲ばかりです。
――10周年という区切りを迎え、これからチャレンジしてみたいことはありますか?
それが私、いつも予定は立てない主義なんです。そのときにやりたいことしかやっていないので、ジャズのアドリブと一緒で、即興で生きています。人生に譜面はない、ということで(笑)。
――ジャズ・ミュージシャンらしくてカッコいいです! 6月の『古野光昭プロデュース フルノーツ・プロジェクト Special Jazz Concert』は、今しか聴けないユッコさんの演奏を楽しみにしています。
取材・文=原典子
公演情報
会場 キャラホール(盛岡市都南文化会館)
ゲスト ユッコ・ミラー(as)
いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)
マイ・フェイヴァリット・シングス
チュニジアの夜 ほか
一般6,000円 / U-25
※当日各500円増