陣内孝則×水夏希、斬新な演出で魅せる信長時代劇『Honganji』ゲネレポ&舞台写真チラ見せ!
平将門(市川九團次)に憑かれ悪魔と化す織田信長(陣内孝則)(撮影/石橋法子)
平将門の怨念×織田信長の野望×顕如の信仰心が交錯する“戦国人間ドラマ”
1月20日(水)大阪・新歌舞伎座にて幕を開け、その後名古屋・中日劇場、2月17日(水)から東京・EX THEATER ROPPONGIにて上演されるスターシアター プロデュース舞台『Honganji』。日本の過去の偉人たちの中でも、とりわけ絶大な人気を誇る織田信長(陣内孝則)を主役に据えた戦国エンターテインメントだ。本作では悪魔的な信長を軸に、平将門(市川九團次)、石山本願寺より“仏門のカリスマ”顕如(水夏希)と無鉄砲な息子・教如(ルウト)、さらに雑賀孫一(諸星和己)率いる戦国最強の鉄砲傭兵集団「雑賀衆」など魅力溢れるキャラクターを配し、それぞれの正と義を斬新な映像と共に描きだす。プロジェクションマッピングなど最新技術を駆使した斬新奇抜な演出にも期待が高まる注目作だ。ここでは、開幕当日に1幕限定で公開された最終舞台稽古の模様をビジュアル満載でお届けする。
あらすじ:天慶3年(940年)、反乱を起こした武将・平将門に怯えた時の朝廷は、神仏の力にすがって討伐しただけでは飽き足らず斬首の後、首と胴体を別々の地に埋葬する。以降、将門の怨念が各地の武将に憑りつき600年もの間殺し合いの日々が続くことに――戦国時代の幕開けである。そして、少年期に将門の怨念と契りを交わした織田信長(陣内孝則)もまた、文字通り天魔<サタン>として成長し恐れられていた。一方、石山本願寺の第11大門主・顕如(水夏希)はキリシタン教を信仰する信長から浄土真宗数百万人の門徒を守るため、和睦を受け入れようとするが、顕如の息子・教如(ルウト・2役)の暴走により、戦いの火蓋が切って落とされる。そんな折、金でしか動かないと評判の戦国最強の鉄砲傭兵軍団・雑賀衆のリーダー・雑賀孫一(諸星和己)の元には信長、顕如の双方から加勢要請が入り……。
◎プロローグ
戦国の世によみがえった平将門(市川九團次)に、うっかり出くわした茶々<顕如の幼名>(奥村佳恵)は必死に念仏を唱えるも力及ばず宙吊りに!
そこへ助けに入った三郎<織田信長の幼名>(ルウト)は「俺が天下人になる!」と将門に食って掛かり負けん気を買われるが、「ならば茶々が斬れるか?」と問われたじろぐ。
三郎が出した答えに高笑う将門。織田信長の心に悪が芽生えた瞬間だった。
◎個性豊かなキャラクターが勢揃い
本作の主役、天魔(サタン)=織田信長(陣内孝則)降臨。どーん!と文字が浮かぶ各キャラクターの登場シーンがカッコいい。
浄土真宗の開祖・親鸞の血をひき自らを阿弥陀如来の化身と名乗る顕如(水夏希)。後に信仰で民衆を動かし、信長の野望に立ちはだかる。
戦国最強の鉄砲傭兵部隊である紀州・雑賀衆のリーダー・雑賀孫一(諸星和己)と愉快な仲間たち。
孫一を信頼しつつも互いが思う正しきことや義について語り合う雑賀衆の青年トリオ。左から子雀(滝口幸広)、梟(渡辺大輔)、啄木鳥(佐野和真)。
信長陣営より左から、信長に見出され重臣になるも「本能寺の変」首謀者でもある明智光秀(ウダタカキ)、陰で暗躍するフィクサーであり本作ではコメディ要素も担う将軍・足利義昭(木下政治)とさこの方(押田瑞穂)。
流ちょうな日本語と華麗なダンスでも目を惹いた、ゲスト出演でWキャストの1人、グァンス(超新星)。演じるのは、優れた武官であり踊り手でもある若き本願寺の護り手、下間仲世。下間衆のリーダー頼龍(岸祐二)とともに信長勢に立ち向かう。
◎伏線に満ちた構成
信長の命により、腕試しの相手として出会った美少女スナイパー橋本雷(倉持明日香)と雑賀孫一(諸星和己)は、思わぬ因縁で結ばれていた。
顕如に仕える光(奥村佳恵・2役)は雑賀衆の仲間に入り「信長を仕留める!」と息巻くその息子・教如(ルウト)を心配し、「必ず生きて帰って。そして返して」と母に貰った大切な数珠を預ける。
信長に負けず劣らず非道な側近たち。左から伴長信(板倉チヒロ)、森蘭丸(姜暢雄)。
雑賀衆に強引に合流したものの、信長の残忍さを目の当たりにし一旦は腰が引ける教如(ルウト)。
混乱の最中、不穏な動きをみせる小雀(滝口幸広)。その意外性とあまりの大胆さに内心「えー!」と絶叫した1幕で一番驚かされた役。
ストーリーテラーとして場面ごとに姿を見せる平将門。向かうところ敵なしの信長に「天下は近い!」と囁くのだが……。
と、公開されたのはここまで。画面の背景が屏風型の巨大スクリーンとなり、場面ごとに迫力ある映像が展開される。鮮烈な照明や躍動感あふれる音響とも相まって、作品をドラマティックに盛り上げ効果的だ。1幕では、キャラクターや人物相関図の紹介に徹したという印象だが、2幕ではそれぞれに張り巡らされた伏線がどのように回収されていくのか。スタッフいわく「当然、盛り上がりは1幕以上で、しかも単なる勧善懲悪には終わらせない!」という。何を持って善悪とするのか。信仰は脅威か救いか。観る人によってさまざまな感想をもたらす作品となりそうだ。