東京二期会、ヴェルディ作品の中でも随一のドラマ性を誇る悲劇の傑作オペラ『運命の力』を上演
ボン歌劇場とウェールズ・ナショナル・オペラとの提携公演 東京二期会オペラ劇場 『運命の力』
2026年9月3日(木)~6日(日)新国立劇場 オペラパレスにて、東京二期会オペラ劇場『運命の力』を上演する。
東京二期会は、ボン歌劇場とウェールズ・ナショナル・オペラと提携し、ヴェルディ作曲『運命の力』を上演する。ヴェルディ作品の中でも随一のドラマ性を誇る『運命の力』。東京二期会で上演するのは、1989年以来となる。
『運命の力』2025年ボン歌劇場 舞台写真 (C)BettinaStöß
『運命の力』は、18世紀スペインとイタリアを舞台に、運命に翻弄されていく恋人たちの悲劇を描いたオペラ。愛し合いながらも、身分の違いや偏見に阻まれたレオノーラとドン・アルヴァーロ。二人は駆け落ちを決意するが、アルヴァーロの銃の偶然の暴発により、レオノーラの父を殺めてしまう。レオノーラの兄ドン・カルロはアルヴァーロへの復讐を誓うが…。偶然か宿命か、人間には抗えない力によって3人の運命は狂わされていく。血で血を洗うような過酷な悲劇の物語だがヴェルディらしい美しい旋律で有名な序曲で幕を開け、全編を通して劇的かつ迫力のある充実した音楽が堪能できる。そして最大の聴きどころは、第4幕でレオノーラが歌う「神よ、平和を与えたまえ」。レオノーラが辿ってきた過酷な運命の中で、それでも安らぎを求める魂の叫びと静かな祈り――聴く者の心を揺さぶる屈指の名アリアは必聴。
指揮者:八嶋恵利奈 (C)Todd Rosenberg
この壮大なヴェルディの音楽を紡ぐのは、世界が注目する指揮者・八嶋恵利奈。シカゴ交響楽団ではリッカルド・ムーティのアシスタントを務め、ベルリン・コーミッシェ・オーパーの第1カペルマイスター時代には、『魔笛』『ルサルカ』『コジ・ファン・トゥッテ』などを指揮。2025年11月には『魔笛』でメトロポリタン歌劇場デビューを果たし、国際舞台で急速に評価を高めている。すでに世界有数の歌劇場で活躍してきた彼女が、ついに本作にて日本オペラ・デビューを果たす。
管弦楽は日本を代表する東京フィルハーモニー交響楽団、合唱は二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部の贅沢な混成となる。
大村博美
イ・スンジェ
歌手陣にも実力派が揃った。ヒロインのレオノーラ役に大村博美とイ・スンジェが選ばれた。大村は言わずと知れた日本を代表するソプラノのひとり。「クリスタルのように透明で輝く歌声」と評される彼女は、ベルリン・ドイツ・オペラをはじめとした15か国で蝶々夫人役を演じるなど、国際的にその実力を高く評価されている。イは数々の国際コンクールで上位入賞を果たし、ザルツブルグの祝祭大劇場をはじめ、ヨーロッパ各地の劇場で活躍してきた新鋭。今年2月に『道化師』ネッダ役で二期会デビューし最高の評価を得てもいる。さらにドン・アルヴァーロ役に樋口達哉、ドン・カルロ役に今井俊輔ら、二期会が誇る充実のキャストが名を連ねる。
樋口達哉 (C)FUKAYA_aura.Y2
今井俊輔
演出は、英国を代表する演出家のひとりサー・デヴィッド・パウントニーが東京二期会オペラ劇場に初登場。イングリッシュ・ナショナル・オペラ、ウェールズ・ナショナル・オペラを長年にわたり率い、カンパニーを世界水準へと引き上げた手腕を持ち、数々の栄誉に輝き、その貢献から爵位も授与された。日本には約20年ぶりの来日となる。
演出:サー・デヴィッド・パウントニー (C)Emli Bendixen
人間ドラマが色濃く描かれた『運命の力』について、パウントニーは「古典的な戦争小説のよう」と語る。「あらすじは複雑で非現実的とも言う人もいるが、まさにそれがこの物語の本質。偶発的な出来事が登場人物を引き寄せ、また引き裂く。意地が悪い“運命”の犠牲者として人々が描かれている」。“戦争”によってもたらされる奇跡的な出会いも悲劇的な別れもそこに必然性はない。そうした“不確かさ”こそが“運命の力”であり、それに翻弄される人々の姿がこの作品のテーマなのだろう。
さらに本作について、「ヴェルディ作品の中でも、最もシェイクスピア的なオペラだ」とも評する。大筋は悲劇の連続だが、その中には卑俗性やグロテスクな要素を含み、粗野な喜劇も内包している。戦争を陽気に歌うプレツィオジッラは、その象徴だ。崇高と低俗、悲劇と笑いが混在する構造は、シェイクスピア作品によく見られる。演劇ファンにとっても、シェイクスピア作品と比較しながら楽しめる。
『運命の力』2025年ボン歌劇場 舞台写真 (C)BettinaStöß
『運命の力』2025年ボン歌劇場 舞台写真 (C)BettinaStöß
「ヴェルディの力強く劇的な音楽が響き渡るような、大胆で抽象的な空間を創造する」という言葉がいかに舞台の上で実現するか、劇場で確かめてみてはいかがだろうか。
なお本公演では学生券 3,000円や U-39(39歳以下対象)10,000円など、手頃なも用意されている。
公演情報
東京二期会オペラ劇場
『運命の力』
オペラ全 4 幕 日本語及び英語字幕付原語(イタリア語)上演
会場:新国立劇場 オペラパレス
指揮:八嶋恵利奈 演出:サー・デヴィッド・パウントニー
合唱:二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
配役: 9/3(木)・5(土)
カラトラーヴァ侯爵/グァルディアーノ神父:山下浩司
レオノーラ:大村博美
ドン・カルロ:今井俊輔
ドン・アルヴァ―ロ:樋口達哉
プレツィオジッラ/クッラ:加藤のぞみ
メリトーネ:堺 裕馬
村長:大塚博章
トラブーコ:新堂由暁
軍医 :寺西一真
レオノーラ:イ・スンジェ
ドン・カルロ:小林啓倫
ドン・アルヴァ―ロ:小原啓楼
プレツィオジッラ/クッラ:花房英里子
メリトーネ:室岡大輝
村長:鹿野由之
トラブーコ:市川浩平
軍医:植田雅朗
S 席¥25,000- A 席¥18,000- B 席¥14,000- C 席¥10,000- D 席¥6,000-
U-39 席¥10,000-(S・A 席相当)