【動画6分】三好十郎「胎内」で旗揚げ公演 藤井咲有里にインタビュー/演劇人に聴いてみる vol.002

動画
インタビュー
舞台
2016.1.23
写真左から、船岩祐太、藤井咲有里(マキーフン主宰)、土田祐太、遠山悠介

写真左から、船岩祐太、藤井咲有里(マキーフン主宰)、土田祐太、遠山悠介


エントレのインタビューシリーズ「演劇人に聴いてみる」。三好十郎の「胎内」でマキーフンというユニットを新たに立ち上げる藤井咲有里に話を聴いてみた。

 エントレのインタビュー企画「演劇人に聴いてみる」。今回はマキーフンというユニットを新たに立ち上げた女優・藤井咲有里に、ユニット立ち上げの経緯や動機、ユニット名の由来、胎内という作品を旗揚げ公演に選んだ理由などについて聴いてみた。演出家や脚本家が立ち上げるユニットではない、俳優主導のカンパニーならではの芝居作りについて迫る。【動画6分】

マキーフンについて

藤井咲有里は新国立劇場 演劇研修所の第2期修了生。舞台・テレビ・CMなどで活躍したのち、ある時、自身のユニットを立ち上げることを決意する。

藤井咲有里
「この人ともう一回やりたいなとか、これやったら面白くなるかなとか、この人が作ったらどういうふうになるのかなとかっていうのを、少なからず想像するんです。どうしようかな、やろうかなと思っているくらいならやっちゃえと思って、今回好きな仲間に声をかけて自分のちっちゃな工房を立ち上げようと思い、マキーフンを作りました。」

藤井咲有里(マキーフン主宰)

藤井咲有里(マキーフン主宰)

―――マキーフンというユニット名の由来は?

藤井咲有里
「カバがウンチをするときに、バババって ものすごい勢いでウンチをするんですね。これがホントにすごくて、しかもかわいいんです! テリトリーを広げるためにウンチをするので、カバ本人はウンチをする行為に真剣なんだけど、見ている方は面白いというのがいいなと思って。」

船岩祐太(演出)
「迷惑をまき散らすってこと?」

藤井咲有里
「違う違う!」

「胎内」について

―――旗揚げ公演に三好十郎の「胎内」を選んだ理由は?

藤井咲有里
「力強い言葉を扱いたいなと。しっかりと骨の太い作品を扱いたいなと思ったのがキッカケのひとつです。演出の船岩さんがいろいろと候補を出して下さったときに翻訳劇とかもあったんですけど、私は日本人なので、日本語の翻訳されいない言葉を扱いたかった。自分から言いたかったんですね。」

船岩祐太
「少なくとも俳優主導のチームで、俳優の魅力を見せたいというのが大きなコンセプトとしてあったので、戯曲が面白いことはもちろんなんですけど、やって面白いものは何かなっていう中で選んだのが「胎内」だったんです。
時世的にも戦後直後の戯曲なので、いろんな強いメッセージを観て頂ける方には想像させると思うんですけども、それよりも生ものとしての面白さ、たった3人の生き物が、狭い空間でぶつかり合うというと語弊があるんだけど、ぶつかり合うことの面白さみたいなものを追求できればいいかなと思い、稽古に臨んでいるところです。」

マキーフン「胎内」稽古風景

マキーフン「胎内」稽古風景

―――本作はどんなお話ですか?

船岩祐太
「男二人、女一人がある場所に閉じ込められるというのが大枠です。死と向かい合う中で色んなバリエーションの議論、対話が進んでいく。」

遠山悠介
「物語が展開していろんなところに旅をしていくっていうよりは、垂直にダーっと掘っていくようなイメージだよね。」

マキーフン「胎内」演出を務める船岩祐太

マキーフン「胎内」演出を務める船岩祐太

船岩祐太
「物語を楽しむっていうよりは、ここにいる人たちの様を観るっていうかね。ある種の人間の形相を目撃して行けというようなタイプの脚本なのかな。」

藤井咲有里
「人間の形相を目撃する・・・っていいじゃん! 人間の形相を目撃するドラマです!」

土田祐太
「お客さんも椅子の背にもたれて観るというよりは、本当に巻き込まれるというか。自分もあたかも閉じ込められたみたいな感覚になって、お芝居が終わって新宿三丁目の外に出たときに、『生きてるっていいな』って思えるとか。当たり前に呼吸していることが嬉しく思えるくらい、劇的な体験をしてほしいなと思っています。」

藤井咲有里
「場所は変わらなくても、人間の顔がガガガガって変わっていく様を見せられたらすごく衝撃的で面白いんじゃないかなと思っていますし、それができる作品だと思っています。哲学臭い重たい作品じゃなくて、スカッとドカッといい体験をお届けしますので、是非劇場までいらしてください」

写真左から、船岩祐太、藤井咲有里、土田祐太、遠山悠介

写真左から、船岩祐太、藤井咲有里、土田祐太、遠山悠介

若いキャスト3人が狭い空間でぶつかり合う。まさに骨太な言葉が飛び交う稽古場は熱気であふれていた。次世代を担うであろう若い世代の活躍に期待したい。SPACE梟門という新しくオープンする劇場も楽しみだ。

本作は1月27日(水)から上演される。

詳しくは公式サイトで。
マキーフン 公式サイト

(映像中の音楽:DIVA SYNDROME
See You Again (+Remix) 作曲:Kimy
The Sun Was Slowly Sinking 作曲:brightwaltz
(映像撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)


公演情報
舞台「胎内」
【作】三好十郎
【演出】船岩祐太
【出演】土田祐太、藤井咲有里、遠山悠介
2016年1月27日(水)~31日(日)/SPACE梟門
エントレ
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