『蜷の綿-Nina's Cotton-』公演延期と代替公演

 撮影/宮川舞子

撮影/宮川舞子


昨年12月中旬、『元禄港歌-千年の恋の森-』の稽古中に体調を崩した蜷川幸雄氏は、軽度の肺炎と診断され、入院した。その後、1月上旬から稽古に入る予定だった『蜷の綿-Nina's Cotton-』に向けて療養を続けていたが、体力の回復が十分でなく、本人、家族、主治医、関係者と話し合いを重ねた結果、公演を延期すべきとの結論にいたった。

公演の準備を進めていた蜷川幸雄氏と出演者、スタッフ一同にとっては苦渋の決断だったが、今後も質の高い演劇作品を届けることが主催側の責務であり、今は蜷川氏の体力回復が最優先であるとの結論となった。

この公演については日程を改めて公演を実現できるように鋭意準備を進めている。

公演延期(埼玉、兵庫、長野、福岡の全公演)
『蜷の綿-Nina's Cotton-』蜷川幸雄 演出版
『蜷の綿-Nina's Cotton-』藤田貴大 演出版 

【蜷川幸雄コメント】
『蜷の綿-Nina's Cotton-』は、50歳離れた藤田貴大さんが時間をかけてぼくのことを戯曲に書き上げてくれました。恥ずかしい気持ちはあるのですがとても面白いので、演出しようと決意していただけに、悔しい気持ちでいっぱいです。早く回復して劇場に戻ります。

【藤田貴大コメント】
蜷川さんが「やはり現場に来て、自分が演出したい」とおっしゃったのは、とてもポジティブなことだと、ぼくは思いました。稽古初日に彼の姿はなかったのです。彼が不在のまま、作品が進んでいこうとしていました。
作品がいちばん良い状態でつくられていくこと、すなわち彼自身が演出を施していくことを、やはり彼は選んだわけです。
『蜷の綿】は彼自身の物語です。
長い時間をかけて、ぼくが彼にインタビューをしながら書き進めてきた作品です。ここ最近の彼の姿を見つめながら、ぼくが感じたことも正直に書いています。
「自分自身の身体が、だんだん自分の作品が存在する場所に行かせてくれなくなった」
彼はそんな現実のなかで葛藤しています。身体はもうとっくに、ぼくらが想像できないくらい苦しいはずなのに、演出家としての彼はまだまだつくりたいともがいている。
だから「やはり現場に来て、自分が演出したい」とおっしゃったのを聞いて、とてもうれしかった。彼が用意してくれたこんなにも大切な時間のなかで、ぼくは彼を待っていたいとおもいました。
『蜷の綿』という作品においては、ぼくもマームとジプシーも蜷川チームに付随するものだという自覚があります。チームの方針に合わせながら、ぼくらも歩いていきたい。
彼がまた稽古場に戻ってくることができて、作品づくりの環境が整ったら、ぼくらも再始動します。その日まで、きちんと準備を進めていきながら、待っています。


【 払い戻しに関する問い合わせ】
公演延期に伴い、チケットの払い戻しが行われる。払い戻しに関してはSAFチケットセンターほか各プレイガイドから購入者への連絡が行われる。
〈問い合わせ〉彩の国さいたま芸術劇場 048-858-5507
http://www.saf.or.jp/

【代替公演について】
『蜷の綿-Nina's Cotton-』の代替公演として、以下の2作品が上演される。

●2/18~28◎彩の国さいたま芸術劇場インサイド・シアター(大ホール内)
さいたまネクスト・シアター×さいたまゴールド・シアター
『リチャード二世』

2015年4月に上演されたもので、若手演劇集団さいたまネクスト・シアターと、平均年齢77,0歳のさいたまゴールド・シアターの世代を超えた競演で、両劇団の代表作の1つ。4月には「国際シェイクスピア・フェスティル」の招聘を受け、ルーマニアのクライオーヴァでの上演が決定している。

●2/18~28◎彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
マームとジプシー
『夜、さよなら』『夜が明けないまま、朝』『Kと真夜中のほとりで』

藤田が20歳当時に率いていた荒縄ジャガーで発表した『夜、さよなら』(2006年初演)、マームとジプシー初期作品『夜が明けないまま、朝』(2009年初演)、2011年に発表した代表作の1つ『Kと真夜中のほとりで』という、いずれも夜と不在を描いた作品を再構築し、同時上演する。
 

【関連企画】
『nina's cotton zero』
藤田貴大が向き合った『蜷の綿』を“戯曲”として完成させるまでの時間を空間として展示する。
公演期間中劇場内で開催。どちらかの公演チケット提示で観ることができる。

〈問い合わせ〉彩の国さいたま芸術劇場 0570-064-939(休館日を除く10:00~19:00)
http://www.saf.or.jp/

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