大西風雅・岡﨑彪太郎だからこそ生み出せる親友としての絆 舞台『ナイボー!』稽古場レポートが公開

レポート
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舞台『ナイボー!』稽古場より (左から)大西風雅、岡﨑彪太郎

舞台『ナイボー!』稽古場より (左から)大西風雅、岡﨑彪太郎

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2026年9月30日(水)東京建物 ぴあ シアターを皮切りに、舞台『ナイボー!』が上演される。この度、稽古場レポートが公開された。
 

稽古場レポート

2人だからこそ生み出せる、大西と岡﨑による親友としての絆

(左から)大西風雅、岡﨑彪太郎

(左から)大西風雅、岡﨑彪太郎

家族の在り方や人間の機微を描き続けている劇作家・横山拓也と、今作で5回目のタッグとなる演出家・眞鍋卓嗣が挑む舞台『ナイボー!』。主人公・ヨウスケを演じるのは大西風雅。その親友ハルタ役にはキャラクターの設定同様、旧知の仲である岡﨑彪太郎がキャスティングされ、公演の発表と同時に大きな話題を集めた。

タイトルからも推察されるように、今作の題材となっているのは野球。それも、甲子園を目指す高校生たちと、そこに夢を託す大人たちの物語が軸となっている。ヨウスケの父親であり、リトルシニア(中学生の硬式野球)の監督でもあった尊が急死。父亡きあと、何のために野球をするのかというヨウスケの自問自答が、家族との回想シーンとともに静かに紡がれていく。

大西風雅

大西風雅

稽古場を訪れた際、大西に役の印象についてうかがったところ、「初めて演じるタイプの役ですし、まだヨウスケの本当の心がつかめていない感じがします」との答えが返ってきた。少しぶっきらぼうなところがあるヨウスケは、セリフも短いものが多い。だが、横山が描く言葉は一つひとつに奥行きがあるため、掘れば掘るほど新たな解釈が生まれる。この日、同じシーンを稽古で繰り返すたびに、少しずつ佇まいや声の張りを変えていたのも、ヨウスケの心をいろんな角度から推し量っていたからだろう。自分の出番が終わって席に戻ったあとも、一点を見つめて悩む様子を見せていた大西。その姿は、自分にとって野球をする意味と向き合い、葛藤するヨウスケと重なって見えた。

岡﨑彪太郎

岡﨑彪太郎

一方の岡﨑は、人前ではいつも陽気なハルタをテンション高めに演じている。しかし、その明るさの裏には、ヨウスケ同様、人知れず抱える悩みがある。「今回のハルタ役では新しいこたちゃん(岡﨑)に会えそう」とは大西の言葉。岡﨑も「ほんま難しい」と苦笑いしていたが、「でも、だからこそやりがいがあって、稽古がすごく楽しいです」との力強いコメントも残した。なかでも、「課題の一つ」と話すのが、母親に電話をかける場面だ。舞台上で一人芝居を展開していくのだが、実際は聞こえない電話の相手の声に反応して感情を変えていかなければいけない。しかし、本人の不安とは裏腹に共演者やスタッフから何度も笑いが起きると、ようやく安堵できたのか、場面後には笑顔を見せる。演出の眞鍋からも「すごくいいです!」と称賛の声があがった。

そんな2人の絡みは、劇中の随所で見られる。別々の高校に入り、それぞれの道を歩み始めても、中学時代にバッテリーを組んでいたヨウスケとハルタは、顔を合わせるだけで昔の関係性に戻っていく。お調子者のハルタはいつも朗らかだし、その勢いにのせられてヨウスケも思わず笑顔を見せるなど、シーンごとに2人にしか生み出せない世界観を大西と岡﨑は見せていた。

物語に深淵さを与えるベテランキャスト陣の業

タイトルの『ナイボー!』とは、キャッチボールをしているときの掛け声「ナイスボール!」の略だ。ヨウスケは父親とキャッチボールをするたびに、幾度となくこの言葉を聞いてきた。その父・尊を演じるのは山内圭哉。小気味のいいセリフ回しで、すべての言葉に説得力を持たせていく。どのシーンでもドンと構える存在感は父親としての威厳も感じさせ、それを受ける大西も安心感があるのか、回想シーンでは身を委ねるように肩の力を抜いて父親と向き合っているように見えた。

(左から)山内圭哉、宇野祥平

(左から)山内圭哉、宇野祥平

また、尊の親友である三枝役には宇野祥平。高校野球の強豪・伊澄高校で監督を務めるこの役を、宇野は穏やかな口調ながら風格のある芝居で魅せ、野球部員との会話にも心地よい緊迫感を与えていく。そうかと思えば、尊とともに将来有望なヨウスケに期待を寄せる場面では、永遠の野球少年のように静かな興奮をのぞかせる。微細に変化をつけ、場面に血を通わせていく演技。その技の高さに思わず唸ってしまう。

水野美紀

水野美紀

一方、登場するたびに稽古場に笑いをもたらしたのが、ハルタが通う志野原高校・赤木監督役の水野美紀だ。フランクなキャラクターゆえ、芝居に毎回少しずつ変化を加えていくと、呼応するかのように岡﨑ら野球部員たちの動きにも新しさが増え、どんどんとシーンが立体的になっていく。また、演出の眞鍋から「今のアイデアはすごくおもしろかったです」と感想が送られると、まわりのキャストたちとハイタッチで喜ぶ姿も。主人公の父の急逝という重みのある物語が根底に流れている作品だけに、志野原高校の場面はほっとひと息つける、癒しの時間のようにも感じられた。

安達祐実

安達祐実

そして、ヨウスケを優しく見守る母・郁美を演じる安達祐実もまた、わずかな心の動きを場面ごとに魅せていく。人は、状況や環境に合わせていくつもの表情を使い分けているものだ。安達の演技からはそれらが仔細に伝わってくる。ヨウスケの心根が知りたくて頑張る母としての姿、夫・尊との思い出をいつまでも大切に持ち続ける妻としての顔、ハルタや三枝の前だけで見せる少し弱い自分……。また、こうした演じ分けだけでなく、演出からの「今のお芝居にもう少し余韻をもたせたい」という高度な要求にも即座に応えていく。この日の稽古ではまだ見られなかったが、終盤でヨウスケと郁美が本音で語り合う場面では、2人がどのような芝居を見せてくれるのか。ますます本番が楽しみになった。

もう一つ、横山作品の特徴として挙げられるのが、登場人物の一人ひとりに人生観が感じられるところだ。物語を進めるうえでの説明的なキャラクターは一人も存在せず、それぞれが重要な役割を担っている。そのことを眞鍋も熟知しているため、非常に細かい部分にも演出の意識が注がれる。それが垣間見えたのが、ハルタとチームメイト同士との試合後の場面だ。一年生ながらレギュラーとして活躍するハルタに対し、仲間は軽口を叩いて茶化す。最初の立ち稽古では非常にスムーズな掛け合いに思えたが、眞鍋は「役者同士で自然な流れを作ろうとしているのが見えてしまうのがもったいない」と指摘。「他愛もない会話の中にも、どこかハルタに嫉妬しているのが見え隠れする感情が欲しい」とリクエストを出す。こうした細かな積み重ねが、作品全体に漂う重厚感や人間ドラマを生み出しているのだろう。

(左から)富田黎、池之上頼嗣、宮瀬隼、松尾敢太郎、岡﨑彪太郎、小島佳大、徳留洸稀、井上拓哉

(左から)富田黎、池之上頼嗣、宮瀬隼、松尾敢太郎、岡﨑彪太郎、小島佳大、徳留洸稀、井上拓哉

この物語の登場人物たちは、それぞれに悩み、もがき、苦しみ、それでも一歩ずつ前に進んでいく。彼らが求めるもの、目指す先は何なのか。今後の残りの稽古でさらに役者たちの芝居が深化していくことを楽しみにしつつ、その答えを劇場で確かめたい。

稽古場レポート:倉田モトキ    撮影:加藤春日
 

なお、本公演は10月18日(日)まで東京建物 ぴあ シアターにて上演。その後、10月22日(木)〜25日(日)大阪・ 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて行われる。

公演情報

舞台『ナイボー!』
【脚本】 横山拓也 【演出】 眞鍋卓嗣

【出演】
大西風雅 岡﨑彪太郎
安達祐実 水野美紀 宇野祥平 山内圭哉
満腹満 池之上頼嗣 井上拓哉 松尾敢太郎 宮瀬隼 徳留洸稀 富田黎 小島佳大
 
【製作】 TBS

【公式サイト】 https://niceball-stage.com/
【公式X】 https://x.com/niceball_stage
【ハッシュタグ】 #ナイボー
 
東京公演
【日程】2026年9月30日(水)〜10月18日(日)
【会場】 東京建物 ぴあ シアター
【主催】 TBS/ぴあ
 
大阪公演
【日程】 2026年10月22日(木)〜25日(日) 
【会場】 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【主催】 梅田芸術劇場
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