味わい深い名品の世界『茶の湯の美、煎茶の美』

レポート
アート
2016.1.28
静嘉堂文庫美術館・外観

静嘉堂文庫美術館・外観

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東洋の美の至宝を受け継ぐ静嘉堂文庫美術館。そのリニューアルオープン展第2弾として『茶の湯の美、煎茶の美』が1月23日(土)~3月21日(月・振休)に開催される。今まで茶の世界には触れたことのない筆者だが、国宝や重要文化財などの名品揃いと聞きつけ、展覧会担当学芸員によるギャラリートークに参加してきた。

茶の湯の文化、煎茶の文化を両方味わう

本展で特徴的なのは、茶の湯(点てる茶の文化)と煎茶(淹れる茶の文化)の両方の名品が一堂に会するという点だ。日本では茶の湯の愛好家が多く、煎茶の世界はそれに比べるとコレクション数が少ない。国内有数の煎茶道具コレクションを誇る同館が、多数公開するのは実に15年ぶりとのことで、非常に貴重な機会だ。

『墨縁奇賞』(明治26年<1893年>刊)掲載の煎茶席取合せ(明治24年開催)

『墨縁奇賞』(明治26年<1893年>刊)掲載の煎茶席取合せ(明治24年開催)

天下人の手を渡ってきた国宝など、名品の数々

第一部は「茶の湯(点てる茶の文化)」。まず出迎えてくれるのは大名物「付藻茄子」。足利義満から伝来し、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの名だたる天下人の手を渡ってきた。一国と同じだけの価値を持ったという品だが、一時は戦いの中大きく損傷し、その破片を漆の超絶技巧により蘇らせたという逸話付きだ。

大名物 唐物茄子茶入「松本茄子」(紹鷗茄子)、「付藻茄子」(松永茄子)

大名物 唐物茄子茶入「松本茄子」(紹鷗茄子)、「付藻茄子」(松永茄子)

続いて、本展の顔でもある国宝「曜変天目」。艶やかな黒の釉薬の内面にごく稀にあらわれるという大小の斑文は、光の当たり方で虹色に輝くようにその色を変える。曜変は非常に珍しく、伝存する茶碗は世界でも3つ。そのうちのひとつを目の前でじっくりと鑑賞できるのだ。

国宝「曜変天目(「稲葉天目」)」建窯

国宝「曜変天目(「稲葉天目」)」建窯

そのほかにも、重文「油滴天目」や千利休所持で伊達家伝来の「青磁鯱耳花入」など名品が次々と現れるが、陶器や磁器だけでなく、茶室を彩る花入や棚、釜や水差しなどの工芸品も堪能できる。今年の干支である「猿」が描かれた作品もあるので、探してみては。

「猿曳棚」地袋板絵:伝 狩野元信筆

「猿曳棚」地袋板絵:伝 狩野元信筆

第二部は「煎茶(淹れる茶の文化)」。現在私たちが日常的に飲む日本茶の淹れ方は、煎茶の流れから来ている。第二部では急須や湯のみ茶碗、茶托などの親しみやすい道具が数多く登場。使う際の仕草、それで淹れるお茶の香りや味を想像したりと、リラックスした気持ちで楽しめる。舶来の敷物や仕覆(茶碗入れの袋)なども華やかだ。

梨皮泥茶銚「荊溪八仙」八口

梨皮泥茶銚「荊溪八仙」八口

中でも「大頭倶輪珠」はあまりの名品であるが故に、当時の著名な煎茶家たちが競い合ったという。その話を描いた絵巻がとてもユニークで、思わず頰がゆるむ。

朱泥倶輪珠茶銚(「大頭倶輪珠」)

朱泥倶輪珠茶銚(「大頭倶輪珠」)

担当学芸員の長谷川祥子さんが語るそれぞれの道具のもつストーリーに聞き入るうち、その奥深い世界にどっぷりと浸かってしまった。私のような初心者でも、同館で購入できる鑑賞の手引きがあれば、自分のペースでじっくりと楽しむことができるので、ぜひおすすめしたい。

本展担当学芸員・長谷川祥子さん

本展担当学芸員・長谷川祥子さん

 
イベント情報
茶の湯の美、煎茶の美

会場:静嘉堂文庫美術館(東京・世田谷
開催期間:2016年1月23日(土)〜3月21日(月・振休)
開館時間:10時00分~16時30分(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)
価格:一般1,000円、大学生・高校生700円、中学生以下無料
公式サイト:http://www.seikado.or.jp/
 
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