家入レオ “ポップス版・家入”から“ロック版・家入”へ、新しいフェイズへと突入したZeppライヴ

レポート
音楽
2016.2.9
家入レオ

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家入レオは新しいフェイズへと突入したようだ。スキニーパンツの上にワンピースを着用するなど、ビジュアル面での変化もあったが、もっと根本的な変化だ。これまでを“ポップス版・家入”だとしたら、デビュー5年目からは“ロック版・家入”になる。それくらいの大きな変化が、通常のアルバムツアーとは異なる今回の東名阪Zeppライヴ『two colours』のステージからは感じられた。

まず、観衆を驚かさせたのは、オープニングの「サブリナ」だ。開演時間から5分遅れで場内が暗転すると、2本のアコースティックギターによるイントロが流れ始めた。新しいアレンジだ! と興奮したのも束の間、2人のギタリストに続いて、ステージの中央にピンスポットが当たる。そこにいたのは、椅子に座り、アコギをかき鳴らしながら歌う家入だった。アコースティックギター3本という新しい編成で奏でられたデビュー曲のパフォーマンスからは、過去の曲であろうと、その時その時で新しい解釈を加え、いまの気分にあった服を着せることで、いつでもライヴ映えするロックナンバーに生まれ変わらせることができるという思いが込められているような気がした。続く、「lost in the dream」でもそのままアコギを弾きながら歌い、打ち込みだったバックトラックにベース、ドラム、キーボードが加わっていき、ヴォーカルのブレイクから、一気にバンドサウンドヘと変えてみせた。アコースティックからバンドサウンドへ、ポップスからロックへ。この1曲だけでも、ツアータイトルになっている二面性……というよりは、彼女の両面をしっかりと音楽で表現していた。

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ビジュアル、サウンド面に加えて、この日はMCでも変化を感じた人が多かったのではないかと思う。エレキギターが効いたロックバラードとなった「a boy」を歌い終わった後の最初のMCコーナーで、彼女が笑顔で「みんな元気? 今年もよろしくね」と呼びかけた。これまでは、どちらかというとかしこまった丁寧な言葉で語りかけることが多かった家入だが、常に友達に話すような口調で、素直に自分の思いを吐き出すようになった。デビューから丸4年間の活動を経て、常に飾らない自分のままでステージに立つという気持ちの現れでもあるだろうし、自分を応援してくれるファンに対して心を開き、自然体でいられるようになったということでもあるだろう。

また、バラードを続けた中盤では、歌い手としての幅の広さも見せてくれた。例えば、メドレーとなっていた「miss you」〜「still」。青い光の中、下手で歌った前者は“僕”、赤い光の下手で歌った後者は“私”が主人公の、ともに失恋ソングである。楽曲の中の人称の違いを見事に歌声で表現し、ピアノ伴奏のみで歌ったカバー曲「Time After Time」を経て、アップテンポのロックナンバーをメドレーで繋げた「Bless You」〜「Lady mary」は力強くダイナミックなグルーヴが、だんだんとダークに複雑に展開。カバーを挟んだ対照的なメドレーも、切なくて泣けるバラードと、太く激しいライヴバンドの共存を目指すトライアルの一つだろう。演奏後、家入が「私、やっぱり音楽好きだわー!」と叫んでいたが、音楽的な挑戦が成功したという充実感があったのではないかと思う。

ライヴの後半では、『NHKみんなのうた』の新曲「オバケのなみだ」を初披露。「これから大きくなっていく子供たちにメッセージを残したいと思って作りました」と語った曲だが、<未来の向こうを映したキャンパス/何色の絵の具で描いてく?>という歌いだしには、彼女の現在の心境が込められているのではないかと感じた。スローバラード「Silly」からは、これまた初となるバイオリンが加わり、昨年大ヒットしたミドルバラード「君がくれた夏」から、明るいポップロック「希望の地球」、激しく重いバンドサウンドが炸裂した「純情」で会場を揺らし、最後に改めてデビュー曲「サブリナ」のバンドバージョンでタオルを回し、本編は大きな盛り上がりの中で終了した。

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アンコールで白のツアーTシャツ姿で再登壇した彼女は、「もっとみんなに楽しんでもらうにはどうしたらいいだろう。未来を見据えて変わらなくちゃいけないという思いで、みんなともっとライヴで一つになりたいという思いだけで作っていった曲です。2016年、駆け抜けていくんだという私の決意とともに歌います」と語り、ニューシングル「Hello To The World」を初披露した。これまでタッグを組んできたプロデューサーから離れ、新たに元Superflyの多保孝一を迎えて共作した、開放的で痛快なロックチューン。歌い出しのヴォーカルの突き抜け感といったらない。彼女はこの曲でも<新たな色で虹を描きたい>と歌っている。彼女が未来に求める色は2色どころではないだろう。リスクを恐れずに変化していくことを決意した彼女は、今、生き生きと音楽を楽しみながら、新たな地図を広げている。目指す方向は明確だ。ロックを歌うライヴアーティストとしての道は、歌詞にもある通り、<ここからはじまる>のだ。そんな新たなスタート地点に立ち会えたことを幸運に思う。

なお、バンドメンバーとの演奏を終えた家入は、「ここでもう一つ大事なおしらせがあります。秋に全国ツアーが決定しました! 自己最多となる20公演を行います。もっともっとライブヴで1つになっていきたいと思っていますので、これからもどうぞ宜しくお願いします!」と発表し、会場から大歓声が上がった。

文=永堀アツオ

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リリース情報
シングル「Hello To The World」
2016年2月17日発売
【初回限定盤A】(CD+DVD)
VIZL-931 ¥1,700+税    
<収録曲>
01. Hello To The World/02. オバケのなみだ/03. 君がくれた夏 (Piano Version)/04. Hello To The World /05. オバケのなみだ /06. 君がくれた夏 (Piano Version)
<DVD>「Hello To The World」Music Video+メイキング

【初回限定盤B】(2CD)
VIZL-932 ¥1,700+税
<収録曲>
01. Hello To The World/02. オバケのなみだ/03. 君がくれた夏 (Piano Version)/04. Hello To The World /05. オバケのなみだ /06. 君がくれた夏 (Piano Version)     
<DISC2>
01. Just Missed The Train (Trine Rain カバー)/02. Time After Time (Cyndi Lauper カバー

【通常盤】(1CD)
VICL-37141 ¥1,200+税
<収録曲>
01. Hello To The World/02. オバケのなみだ/03. 君がくれた夏 (Piano Version)/04. オバケのなみだ (TV Version)/05. Hello To The World /06. オバケのなみだ /07. 君がくれた夏 (Piano Version)

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ライヴ情報
5th ワンマン Tour 2016
9月17日(土)【埼玉公演】三郷市文化会館大ホール
9月21日(水)【新潟公演】りゅーとぴあ劇場
9月24日(土)【兵庫公演】たつの市総合文化会館 赤とんぼ文化ホール
9月25日(日)【広島公演】広島JMSアステールプラザ大ホール
9月30日(金)【北海道公演】幕別町百年記念ホール
10月01日(土)【北海道公演】札幌市教育文化会館大ホール
10月08日(土)【宮城公演】イズミティ21大ホール
10月10日(祝)【神奈川公演】秦野市文化会館大ホール
10月16日(日)【千葉公演】君津市民文化ホール
10月18日(火)【長野公演】駒ヶ根市文化会館
10月22日(土)【島根公演】出雲市民会館
10月29日(土)【愛知公演】日本特殊陶業市民会館フォレストホール
10月30日(日)【静岡公演】焼津文化会館大ホール
11月03日(祝)【和歌山公演】紀南文化会館
11月04日(金)【滋賀公演】守山市民ホール
11月06日(日)【大阪公演】大阪国際会議場メインホール
11月12日(土)【岡山公演】倉敷市芸文館
11月13日(日)【山口公演】周南市文化会館
11月19日(土)【福岡公演】福岡サンパレスホテル&ホール
12月10日(土)【東京公演】東京国際フォーラム ホールA

全席指定 5,900円(税込) 
※3歳以下入場不可/4歳以上必要 
※一般発売日未定


 

 

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