宮本亜門の「魔笛」、凱旋公演大成功

SPICER
「魔笛」公演チラシより

「魔笛」公演チラシより

モーツァルトの「本場」を唸らせた演出が登場

7月20日、大好評のうちに東京二期会公演、モーツァルトのオペラ「魔笛」が終演した。宮本亜門が演出を担当したプロダクションの東京初登場ということで注目された公演は四公演で八千人を超える聴衆を集める盛況だった。

モーツァルト最後のオペラ「魔笛」は初演された当時から今に至るまで、時代を超えて大人気の作品なのだが、そのお話にはどうにも座りの悪いところがある。それはそうだ、物語の発端「”捕らえられた娘を助けてほしい”という女王からの依頼」が、話が進む中で「悪い女王から娘を開放したのだ、君も試練を受けて成長したまえ」と当初悪玉とされた者にさとされて逆方向に向かうのだから、お話をそのままに示したら聴衆としてはどうもすっきりしないところが残る。いや、そのままに示したのだろう初演当時から、それでも大人気なのだけれど。現代の上演では、そのねじれたお話をどう見せるか、演出の仕事が試されるところだ。

今回上演された舞台は、東京二期会とリンツ州立歌劇場の共同制作によるもの。リンツの音楽監督を務めるデニス・ラッセル・デイヴィスから宮本亜門にオファーし、2013年に同地で初演されたプロダクションの東京初お目見えだったのだ。「お話のねじれ」に対して宮本亜門が出した答は、「主人公はゲームの世界に入り込み、いろいろな経験をする」というもの。そのアイディアをさらに魅力的なものにしたのは、バルテック・マシアス率いるポーランドの映像チームによるプロジェクション・マッピングを駆使した幻想的な舞台だった。モーツァルトの交響曲の愛称ともなった街リンツでこの演出は成功を収め、そして今回日本でも舞台は喝采をもって受け容れられた。もちろん新国立劇場など各所で活躍する二期会自慢のキャスト陣、そしてデニス・ラッセル・デイヴィスの指揮のもと見事な演奏を聴かせた読売日本交響楽団のいい仕事も賞賛に値するものだった。

また、今回の演出の特徴である「ゲーム」を、作品の世界観を活かしたアクション・パズル・ゲームとして実際に制作したのも注目されるポイントだ。現在、iOS対応機器向けアプリとして無料配信されているのでプレイしてみては如何だろう。

残念ながら東京での公演は終了してしまった東京二期会「魔笛」だが、29日(水)には鳥取県倉吉市の倉吉未来中心 大ホールでの公演が行われる。また、8月30日(日)深夜にはNHK BS「プレミアムシアター」での放送も決定しているので、モーツァルトの本場でも賞賛された舞台をぜひお楽しみいただきたい。

 


リンツ州立歌劇場のトレーラー
シェア / 保存先を選択