総裁の立場を忘れてのめり込んでしまう、 それがウィーン国立歌劇場の《ニーベルングの指環》です
ドミニク・マイヤー総裁 (Photo:M.Terashi/Tokyo MDE)
〜ウィーン国立歌劇場日本公演記者会見より(2)
現代最高のワーグナー指揮者、ワーグナー歌手、
そして何より素晴らしいオーケストラの響きによる《ワルキューレ》
「私は総裁として6年目を迎えます。ウィーン国立歌劇場では毎年必ず《ニーベルングの指環》のチクルス上演が行われますが、私はいつも、総裁という立場を忘れて、のめり込んでしまいます。何よりも素晴らしいのはオーケストラの響きです!」
マイヤー総裁は、《ワルキューレ》についての話を、このように始めました。
ウィーン国立歌劇場はこれまでに9回の日本公演を行って来ましたが、《ニーベルングの指環》がプログラムされるのは今回が初めてのこととなります。ウィーン国立歌劇場の《指環》が、いかに魅力的なものであるか、マイヤー総裁はまず、自分の生の感覚によって示してくれたということになるでしょう。
そして演奏者たちについては、短いとはいえ、一人ひとりの特徴を的確に紹介しました。
「指揮のアダム・フィッシャーはハンガリー人ですが、現代のワーグナー指揮者として認められています。バイロイト音楽祭をはじめ、ウィーンでも多くの作品を指揮しています」
その表情から、全幅の信頼を寄せていることがうかがわれました。
「ジークリンデ役のペトラ・ラングは、長いキャリアをもつベテランで、はじめはメゾ・ソプラノでしたが、現在はソプラノとして活躍しています。フリッカ役のミヒャエラ・シュースターは、7年前にこの《ワルキューレ》が初演されたときのメンバーで、とても優れた人。
ブリュンヒルデ役のニーナ・シュテンメは現代最高のワーグナー歌いの一人といえます。いつの時代も、これほどの人が居るとは限らない、それほどの歌い手です。
ジークムントを歌うクリストファー・ヴェントリスは、パルシファルでも絶賛されている実力派です。フンディング役のアイン・アンガーはフィンランド人で、長くウィーン国立歌劇場のメンバーでしたが、最近はフリーとして、各地のオペラハウスで活躍しています。彼もまた、初演メンバーでした。
ヴォータン役のトマス・コニエチュニーは、ポーランド人で、ウィーン国立歌劇場メンバーとして、近年特に重要な役を演じています。アルベリヒがはじめでしたが、現在はヴォータンを歌うようになりました。悪役が似合いますが、本人はとても良い人です(笑)」
(取材・文:吉羽尋子 Photo:M.Terashi/Tokyo MDE)
Photo: Wiener Staatsoper/Michael Poehn
ウィーン国立歌劇場 2016年 日本公演
リヒャルト・シュトラウス作曲
《ナクソス島のアリアドネ》(プロローグ付1幕)
演出:スヴェン=エリック・ベヒトルフ
指揮:マレク・ヤノフスキ
10月25日(火)19:00
10月28日(金)15:00
10月30日(日)15:00
《ワルキューレ》全3幕
演出:スヴェン=エリック・ベヒトルフ
指揮:アダム・フィッシャー
11月6日(日)15:00
11月9日(水)15:00
11月12日(土)15:00
東京文化会館
《フィガロの結婚》全4幕
演出:ジャン=ピエール・ポネル
指揮:リッカルド・ムーティ
11月10日(木)17:00
11月13日(日)15:00
11月15日(火)15:00
神奈川県民ホール
ウィーン国立歌劇場2016年日本公演公式HP
http://www.wien2016.jp/
一斉発売開始
6月4日(土) 10:00より