カラヴァッジョ展の見どころを本人(?)に直撃!

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作者不詳 《カラヴァッジョの肖像》 1617年頃 ローマ、サン・ルカ国立アカデミー Roma, Accademia Nazionale di San Luca

作者不詳 《カラヴァッジョの肖像》 1617年頃 ローマ、サン・ルカ国立アカデミー Roma, Accademia Nazionale di San Luca

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2016年3月1日(火)より、上野の国立西洋美術館にて「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」が絶賛開催中だ。西洋美術界のスーパースター、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571~1610)の傑作が世界中から集結し、美術ファンの注目を大いに集めている、この春マストの展覧会の見どころを、カラヴァッジョ氏本人に語ってもらった。

 

--本日はよろしくお願いいたします。

よろしくな。

-まずは、今回の展覧会に関しての率直な感想を教えてください。

日本での俺の展覧会は15年ぶりだっけ?しばらく待たせちゃって日本のファンのみんなには悪いと思ってるけどよ、その分、自信を持ってオススメできる展覧会になったぜ。

-カラヴァッジョさんは、自分の作品の魅力はどこにあると考えていますか?

全部って言いたいところだけどな。強いて挙げるなら、光と闇のコントラストじゃないだろうな。画面の中の登場人物を、スポットライトのように照らし出すことで、誰もがハッとするようなドラマチックな作品に仕上げているわけよ。今じゃ珍しくないけど、当時はかなり斬新なスタイルだったからな。俺のこのスタイルに影響を受けなかった画家はいないだろうな。レンブラントやフェルメールも、俺に影響を受けてるわけだし。

-なるほど。他にはありますか?

あとは、一瞬の表現だろうな。今回の展覧会にも出展されてるけどよ、《トカゲに噛まれる少年》は観たか?

カラヴァッジョ 《トカゲに噛まれる少年》 1596〜97年頃 フィレンツェ、ロベルト・ロンギ美術史財団 Firenze, Fondazione di Studi di Storia dell'Arte Roberto Longhi

カラヴァッジョ 《トカゲに噛まれる少年》 1596〜97年頃 フィレンツェ、ロベルト・ロンギ美術史財団 Firenze, Fondazione di Studi di Storia dell'Arte Roberto Longhi

 

-はい。まるでスマホで撮ったみたいな感じでしたね。

そうだろ。俺の生きてた頃ってよ、カメラなんて当然ないわけだ。その時代に、こんなストップモーションのような絵を描けちゃうってところが、俺の実力を物語ってるわな。

-実力と言えば、本物と見間違えるくらいに写実的な表現に感動しました。特に《バッカス》に描かれたワイングラスと果物の表現は素晴らしかったです!

カラヴァッジョ 《バッカス》 1597-98年頃 フィレンツェ ウフィツィ美術館 © Alinari, Licensed by AMF, Tokyo / DNPartcom Reproduced with the permission of Ministero per i Beni e le Attività Culturali

カラヴァッジョ 《バッカス》 1597-98年頃 フィレンツェ ウフィツィ美術館 © Alinari, Licensed by AMF, Tokyo / DNPartcom Reproduced with the permission of Ministero per i Beni e le Attività Culturali

 

ありがとよ。そこは、もちろんだけど。バッカスの手の爪にも注目してくれなきゃ困るぜ。わざと、汚して描いてあるんだよ。バッカスって酒飲んで、常に酔っぱらってるだろ。だから、手なんか汚れたまんまだろうな。そういうリアルさを演出したんだぜ。

-そんな細かいところまで!

他の絵も、細部までこだわってるぞな。今回出展されてる11点全部、細部まで見逃さないようにな。

-あのー、全部で11点しかないんですね?

あ?現存する俺の作品は、全部で60点ちょっとしか無いんだよ。しかも、移動不可能な作品も多くあるんだぞ。そのうちの11点が日本に来てるって、めちゃめちゃスゴいことかじゃねぇか!

-申し訳ありません。気分を害してしまったようで。

生きてた頃の俺だったら、手が出てたかもしれないけどな。死んで少しは丸くなったから、気にするな。

-生きてた頃は、かなり荒っぽかったみたいですね。今回の展覧会には裁判記録の数々も展示されていましたが。

まぁな。画学生をこん棒と剣で襲撃したり、画家に剣で切りかかったり、警官に石を投げつけたり。それから、俺のスタイルをパクったムカつく画家から、俺のことを誹謗中傷した卑猥な詩を作っただろって訴えられたこともあったな。あとは・・・

-まだあるんですか?!

レストランでの出来事なんだけどな。オリーブオイルで炒めたアーティチョーク4つとバターで炒めたアーティチョーク4つを頼んだのよ。

-アーティチョーク、好きすぎないですか?

で、どれがオリーブオイルで、どれがバターで炒めたヤツかわからないから、ウエイターに尋ねてみたわけだ。そしたら、あのウエイターの野郎、「ニオイを嗅げば、わかりますよ。」って言いやがってよ。もうそれ聞いた瞬間、カッチーンときて皿を投げつけたら、あいつケガしやがってよ。それで、また裁判。裁判っていったら、他にも・・・

-いや、もう裁判の話題は充分です。

ま、ともかく生きてる頃は、いろいろとあったわけよ。人も殺しちゃったしな。

-そうなんですね・・・って、えっ?今さらっと衝撃的なこと、言いましたよね?

確か、34歳の時だったか。ローマで決闘したんだわ。44で。

-・・・合コンみたいな感じで言わないでくださいよ。

で、勢い余って、ついつい。

-捕まったんですか?

捕まるかよ。逃げたよ。ローマを脱出。そんで、俺いない状態で裁判やって死刑判決が出たんだわ。

-死刑ですか!

しかも、「見つけ次第、誰でも俺を殺していい」っていう死刑判決だぞ。

-今の日本じゃ考えられない判決ですね。

だろ!しかも、自分でも驚くけど、そんな状況なのに、俺は《エマオの晩餐》とか何枚か絵を描いてるからな。

カラヴァッジョ 《エマオの晩餐》 1606年 ミラノ、ブレラ絵画館 Photo courtesy of Pinacoteca di Brera, Milan

カラヴァッジョ 《エマオの晩餐》 1606年 ミラノ、ブレラ絵画館 Photo courtesy of Pinacoteca di Brera, Milan

 

-冷静に考えて、絵を描いている場合じゃないですよね。最後に、これだけは特に観て欲しいって作品はありますか?

《法悦のマグダラのマリア》だろうな。なんたって今回が世界初公開だし。俺が死んだ時に持ってかれたって言われてる3点の作品のうちの1枚で、ずっと行方不明だったんだわ。それが2014年に、とある個人コレクションの中から見つかったわけだ。死んで以来、どこに行ったのかと気になってたから、俺自身、今回日本で観られて感動したぜ。

カラヴァッジョ《法悦のマグダラのマリア》1606年 個人蔵

カラヴァッジョ《法悦のマグダラのマリア》1606年 個人蔵

 
 
※このインタビューは史実に基づいたフィクションです。
 
イベント情報
『日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展』

日時:2016年3月1日(火)~2016年6月12日(日)
会場:国立西洋美術館
時間:午前9時30分~午後5時30分 毎週金曜日:午前9時30分~午後8時※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、3月21日、3月28日、5月2日は開館)、3月22日(火)
観覧料金:当日:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円前売/団体:一般1,400円、大学生1,000円、高校生600円
公式サイト:http://caravaggio.jp/

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