激動のフランス革命が舞台の名作『アンドレア・シェニエ』間もなく開幕!
(撮影/三枝近志 提供/新国立劇場)
激動のフランス革命を舞台に断頭台の露と消えた詩人アンドレア・シェニエと、伯爵令嬢マッダレーナの激しい愛を描くオペラ『アンドレア・シェニエ』が、4月14日から新国立劇場 オペラハウスで幕を開ける。
作曲はウンベルト・ジョルダーノ、美しくダイナミックな音楽で描かれた人気オペラだ。今回の演出はフィリップ・アルローで、回転舞台、光と影、色彩を効果的に使ったプロダクションは、壮大なスケールの物語を雄弁に表現する。
(撮影/三枝近志 提供/新国立劇場)
作曲家ウンベルト・ジョルダーノはイタリア南部のフォッジャに生まれ、ナポリ音楽院で学んだ。このオペラ『アンドレア・シェニエ』は、全12曲(未発表作を含む)の第4曲目にあたり、今日まで人気を誇る代表作である。ジョルダーノはピエトロ・マスカーニやルッジェーロ・レオンカヴァッロが生み出したヴェリズモ(現実主義)の潮流に乗り、ドラマチックな音楽作りを得意とした。
このオペラの台本はルイージ・イッリカで、フランス革命期を背景とする実在の詩人の生涯に、老婆マデロンや小間使いのベルシなど、時代に翻弄される市井の人々の苦しみを散りばめて、ドラマの現実味を増すことに成功している。ジョルダーノは主役のみならず脇役たちにも感情や欲望、情欲をあおり立てるメロディを次々と与えて、音楽の訴える力を強めている。また、第一幕でシェニエが歌う〈即興詩〉の歌詞などは実在のシェニエの詩作から取っている。一方でシェニエと伯爵令嬢マッダレーナの恋や敵役のカルロ・ジェラールの存在など、イッリカの創作による部分も多い。
(撮影/三枝近志 提供/新国立劇場)
今回の上演の魅力は、なによりも贅沢なキャストたち。タイトルロールのアンドレア・シェニエには、2013年『アイーダ』ラダメスで輝かしく力強い声で魅了したカルロ・ヴェントレで、2017年『オテロ』でもタイトルロールで出演予定だ。マッダレーナ役には、2015年『トスカ』のタイトルロールでの大絶賛が記憶に新しいマリア・ホセ・シーリ。ジェラール役は、2014年『道化師』トニオで見事な熱唱を聴かせたヴィットリオ・ヴィテッリと、まさに声の饗宴と言うべき顔ぶれが並んでいる。
指揮者は天性の才能とカリスマ性で注目を集めるイタリアの若手、ヤデル・ビニャミーニが新国立劇場初登場することも大きな話題だ。
カルロ・ヴェントレ、マリア・ホセ・シーリ、ヴィットリオ・ヴィテッリ
【あらすじ】
第1幕
革命前のパリ。宴の準備が進むコワニー伯爵家では、父と共に奴隷のように仕える従僕ジェラールが貴族制度への不満を募らせていた。一方で彼は伯爵家令嬢マッダレーナを密かに愛している。宴が始まり、マッダレーナの求めに応じて客のひとり、詩人アンドレア・シェニエが愛の詩を即興で読むが、それは貴族制度を批判する内容でもあった。マッダレーナは大きく共感。ジェラールも己の使命を悟り、従僕の衣服を脱ぎ棄て、館から去る。
革命前のパリ。宴の準備が進むコワニー伯爵家では、父と共に奴隷のように仕える従僕ジェラールが貴族制度への不満を募らせていた。一方で彼は伯爵家令嬢マッダレーナを密かに愛している。宴が始まり、マッダレーナの求めに応じて客のひとり、詩人アンドレア・シェニエが愛の詩を即興で読むが、それは貴族制度を批判する内容でもあった。マッダレーナは大きく共感。ジェラールも己の使命を悟り、従僕の衣服を脱ぎ棄て、館から去る。
第2幕
革命から5年後。ロベスピエールの恐怖政治が敷かれるパリ。「革命の敵」と疑われ密偵に監視されるシェニエは、友人に国外脱出を勧められるも、何度も受け取る匿名の手紙の主が気になって仕方がない。その人は実はマッダレーナで、出会った2人は愛を誓う。革命派幹部になったジェラールも彼女を忘れられず、居場所を探し出して彼女を捕らえようとしたとき、傍らの男と決闘。重傷を負うが、その男がシェニエだとわかり2人を逃がす。
革命から5年後。ロベスピエールの恐怖政治が敷かれるパリ。「革命の敵」と疑われ密偵に監視されるシェニエは、友人に国外脱出を勧められるも、何度も受け取る匿名の手紙の主が気になって仕方がない。その人は実はマッダレーナで、出会った2人は愛を誓う。革命派幹部になったジェラールも彼女を忘れられず、居場所を探し出して彼女を捕らえようとしたとき、傍らの男と決闘。重傷を負うが、その男がシェニエだとわかり2人を逃がす。
第3幕
革命裁判所の大広間。シェニエ逮捕の一報が入り、これでマッダレーナが自分のものになると満足したジェラールは起訴状を書き始めるが、ふと我に返り、かつて貴族の奴隷だった自分は今や情熱の奴隷になってしまったと愕然とする。ジェラールの前に連れてこられたマッダレーナは、自分を差し出す代わりにシェニエを救ってほしいとお願いする。シェニエが入廷し、自分は愛国者であり決して裏切り者ではないと主張。マッダレーナの願いを受けたジェラールも、彼への罪状は間違いだったと訴えるが、シェニエに死刑判決が下される。
革命裁判所の大広間。シェニエ逮捕の一報が入り、これでマッダレーナが自分のものになると満足したジェラールは起訴状を書き始めるが、ふと我に返り、かつて貴族の奴隷だった自分は今や情熱の奴隷になってしまったと愕然とする。ジェラールの前に連れてこられたマッダレーナは、自分を差し出す代わりにシェニエを救ってほしいとお願いする。シェニエが入廷し、自分は愛国者であり決して裏切り者ではないと主張。マッダレーナの願いを受けたジェラールも、彼への罪状は間違いだったと訴えるが、シェニエに死刑判決が下される。
第4幕
ン・ラザール監獄の中庭。辞世の詩を読むシェニエ。そこに、彼と死ぬために女囚と入れ替わったマッダレーナが来る。ジェラールは2人を救うためロベスピエールのもとへ走るが、2人は愛を誓い断頭台へ向かう。
ン・ラザール監獄の中庭。辞世の詩を読むシェニエ。そこに、彼と死ぬために女囚と入れ替わったマッダレーナが来る。ジェラールは2人を救うためロベスピエールのもとへ走るが、2人は愛を誓い断頭台へ向かう。
写真はすべて過去の上演舞台より (撮影/三枝近志 提供/新国立劇場)
〈公演情報〉
新国立劇場2015/2016シーズン
ウンベルト・ジョルダーノ
『アンドレア・シェニエ』全4幕〈イタリア語上演/字幕付〉
指揮◇ヤデル・ビニャミーニ
指揮◇ヤデル・ビニャミーニ
演出・美術・照明◇フィリップ・アルロー
出演◇カルロ・ヴェントレ、マリア・ホセ・シーリ、ヴィットリオ・ヴィテッリ、上江隼人、松浦健 ほか
合唱◇新国立劇場合唱団
児童合唱◇TOKYO FM 少年合唱団
演奏◇東京フィルハーモニー交響楽団
●4/14、4/6、4/17、4/20、4/23◎新国立劇場 オペラパレス
〈料金〉S席¥23,760 A席¥19,440 B席¥12,960 C席¥7,560 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(平日10:00-18:00)
【文/榊原和子 撮影/三枝近志 提供/新国立劇場】