「エリザベート」花總まり、「ラ・マンチャの男」駒田一らが受賞!「第41回菊田一夫演劇賞」授賞式
「第41回菊田一夫演劇賞」
4月18日(月)、「第41回菊田一夫演劇賞」の授賞式が都内にて催され、演劇大賞を受賞した花總まり、演劇賞を受賞した梅沢昌代、駒田一、ソニン、小川絵梨子、特別賞を受賞した竜真知子が登壇し、詰めかけた関係者から祝いの拍手を受けた。
菊田一夫演劇賞とは、日本の演劇界に偉大な足跡を残した菊田一夫の業績を永く伝えるとともに、菊田の念願だった演劇の発展のための一助として、大衆演劇の舞台で優れた業績を示した芸術家を表彰するもの。
「エリザベート」におけるエリザベートの役に対して大賞が送られた花總は、「あまりにも大きな賞なので昨日まで実感がなかった。今日この授賞式に出て賞の大きさを実感している」と驚きを口にし、「宝塚を退団してしばらく舞台から離れていたが、その頃に演じることのすばらしさ、舞台のすばらしさ、舞台を通して希望や夢、生きる喜びを伝えることができる、そんな力が舞台にあることを改めて感じた」とコメント。自身が演じたエリザベート役については「ちょうど20年前に(宝塚で)エリザベートの役をやらせていただいた。20年経った今、この役に再チャレンジする機会を与えていただいた。これから迷う事なく演じる道を頑張っていかなければいかないと」と語った。
花總まり「第41回菊田一夫演劇賞」
梅沢は「ピアフ」のトワーヌ役で受賞。「舞台というのは一人で作れるものではない。栗山民也さん、毎回いろんな球を投げてくれる大竹しのぶさん、そして9人の仲間たちやバンド、演出部…何十人の良い気をいただきながら舞台に立てたことに感謝しています」とコメント。
梅沢昌代「第41回菊田一夫演劇賞」
「ラ・マンチャの男」のサンチョ、「レ・ミゼラブル」のテナルディエ、「ダンス オブ ヴァンパイア」のクコール役で受賞した駒田は、「この賞は、演劇を志す者にとっては憧れ」と前置きした上で「こうやって授賞式で演説をすることをいつも妄想していた。だいたい飲み屋で」と話し出すと会場からクスクスと笑い声が。「大好きな役で受賞できたことが嬉しい。20年やっていたサンチョ・パンサ、十数年やっているテナルディエ、そしてセリフも歌もないクコール…なんでクコールなんだろう。『クコール劇場』も含めての受賞かも?と思っている」※「クコール劇場」をご存じない方は、YouTube東宝チャンネルにてご確認を!そして、「(『ラ・マンチャの男』主演の)松本幸四郎さんの言葉で『夢とは、思うものでもなく、語るものでもなく、その夢を叶えようとするその人の心意気だ』その言葉に心打たれ、ずっと思いながらいろいろな役を演じている」と改めてこれからの舞台生活に向けて意気込みを見せていた。
駒田一「第41回菊田一夫演劇賞」
「RENT」のモーリーン、「トロイラスとクレシダ」のクレシダ、「ダンス オブ ヴァンパイア」のマグダ役で受賞したソニンは、「演劇で賞をいただくのがこれが初めて」と語る。「このような賞に縁のない人間だと思っていた。あらゆる意味で。もともと演劇出身でもないし、未熟な頃から舞台に立たせていただいてまさかこのような日がくるとは思っていなかった。まさかこんなに早く夢が実現するとは」そしてスピーチの最後には声を震わせながら「世の中には、マイノリティの方もたくさんいらっしゃると思う。でもこうやって負けずに精進してあきらめなければ、見てくださる方もたくさんいらっしゃる。認めていただける日もあるんだな、ということを私を通じて感じていただければ」と涙をこらえてスピーチ。
ソニン「第41回菊田一夫演劇賞」
「夜想曲集」「RED」「スポケーンの左手」の演出に対して受賞した小川は、「今こうやってたくさんの前に立っているとすごく緊張するが、これが役者さんがいつも感じていることなんだなと。稽古場では役者に『緊張する』と言われても『大丈夫大丈夫』と他人事みたいに言ってたが、そうではないんだなと痛感している」というと、来場者はもちろん、受賞者席にいる花總、梅沢、駒田、ソニンら役者たちがたまらず笑い声をあげていた。
小川絵梨子「第41回菊田一夫演劇賞」
そして永年のミュージカルにおける訳詞の功績に対して特別賞を受賞した竜は「長く裏方としてやってきたので賞とは無縁だと思っていた。中学のときに映画版の『サウンド・オブ・ミュージック』に出会った。ビデオもDVDも何もない1960年代、観ているすばらしさを自分の中に残したくて、映画館の暗がりの中でノートに字幕で出る歌詞を書きとろうとしていた」と、自身とミュージカルの出会いについて語る。舞台を支えるすべての裏方を代表してお礼を述べたいと語る竜に、改めてあたたかい拍手が贈られていた。
竜真知子「第41回菊田一夫演劇賞」
なお、授賞式のあとで囲み会見に登場した花總は、「賞金の100万円を何に使うか?」という質問に対し、「熊本県と大分県で震災があり、私にできることは何だろう、と考えていた。なので、何か人のために役立つことに使っていけたら」と回答していた。
花總まり 「第41回菊田一夫演劇賞」