Youは何しに東博へ? ~訪日外国人に「なにを観に来たのか」聞いてみた~

特集
アート
2016.5.9

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2013年、ロンドンの大英博物館で、大規模な春画の展覧会が開催され、一大センセーションを巻き起こしました。

その人気を逆輸入する形で、昨年、日本でもようやく春画展が開催されたのは、記憶に新しいところです。

ちなみに、2009年には、同じく大英博物館で、大々的な土偶の展覧会が開催されており、やはり後追いする形で、その翌年に凱旋展という形で、東京国立博物館で土偶展が開催されています。

思えば、昨今の伊藤若冲フィーバーの発端も、アメリカの日本美術コレクターによる里帰り展(2006年に東京国立博物館で開催)がきっかけでした。

 

・・・・・ということは!

日本美術に興味がありそうな外国人に聞き込みをすれば、これから先に起こる日本美術ブームが予測できるかもしれません!

 

日本美術に興味がありそうな外国人が、たくさんいそうな場所・・・


それは、やっぱり日本美術の殿堂・東京国立博物館(通称:東博、トーハク)でしょう!

 

そんなわけで始まりました新企画『Youは何しに東博へ?』

東京国立博物館に居合わせたYOUに「YOUは何しに東博へ?」とインタビュー。

気になる返答をしたYOUには展示室での密着取材も敢行しようという企画です。

まぁ、もうとっくにお気づきでしょうが、あの番組をパロってます(笑)

では、早速、東博へ!


と、勢い込んで東博を訪れたものの。。。

本降りの雨で、気持ちが沈みに沈むアートテラー・とに~

本降りの雨で、気持ちが沈みに沈むアートテラー・とに~


ロケ当日は、あいにくの花散らしの雨でした。

「こんな日に、YOUなんか、絶対に来ないわ・・・」と、テンションがだだ下がり。

困難なロケになることを、撮影クルー全員が覚悟をしました。

 

が!!

 

本館に入った瞬間、目を疑う光景がそこには広がっていたのです。

東博の本館は、YOUだらけ!

東博の本館は、YOUだらけ!


「YOUばっかりじゃん!!」

 

右を見てもYOU、左を見てもYOU、2階へと続く大階段を見上げてもYOU。

逆に日本人を探すのが難しいほどでした。

もしかしたら、成田空港よりもYOUが多いのでは?!

東博は、仕事柄よく訪れますが、平日に本館を訪れるのは久しぶりだったので、まさかの事態に驚きを隠せません。

今、東博はこんなことになっていたのですね!

 

何はともあれ、インタビューするYOUは選びたい放題(?)。

早速、気になった男性の3人組 YOUにインタビューしてみました。

 

「どこから来たんですか?」

「イタリアだよ」

インタビューに答えてくれるアンドレア氏

インタビューに答えてくれるアンドレア氏

 

「YOUは何しに東博へ?」

「日本の絵画を観に来たんだ」

「ついて行ってもいいですか?」

「時間があまり無いから・・・」

「5分だけで構いませんので」

「それならいいよ」

というわけで、日本の絵画が観られるコーナーへ向かいます。

しかし、最初に目にした仏画に関しては、なんとなくイマイチなリアクション。

 

「仏画は、日本の絵画のイメージじゃないですか?」

「(仏様が金色だったり)カラーは日本っぽいけど・・・」

「日本の絵画っていうと、どんなイメージですか?」

「そうだね。桜とか富士山とか、日本らしい風景が描かれているイメージかな」

 

なるほどなぁ。

さらに、展示室を進んでいくと・・・

「これなんか日本の絵画のイメージだよ!」

と、YOU絶賛の絵を発見!

それは、室町時代に描かれたとされる重要文化財の《日月山水図屏風》でした。

トリオで「ビューティフル!」を連発。

僕らには、煤けた薄ぼんやりした風景画にしか見えなかったのですが。

わざわざ桜の開花の季節に合わせて、

日本に旅行しに来たYOUたちにとっては、まさにイメージにピッタリの日本の絵画だったようです。

この後の予定があるようなので、ここでYOUたちとはお別れ。

 

続いては、イギリスから来日中のカップルYOUに例の質問を。

 

「YOUは何しに東博へ?」

「日本の歴史を知りたくて、ここに来たんだ」

 

日本刀に興味があるとのことなので、密着させてもらうことに。

「(反っている)フォルムが美しいね!」

 

と、目を輝かせて感激するカップルYOU。

日本の工芸品に感激してもらえて、日本人としてなんか誇らしくなります。

せっかくなので、マイ単眼鏡を貸してあげました。

まるでジュエリーを鑑賞するかのごとし。

刃紋の美しさに魅せられたようです。

 

すると、彼氏のほうから、こんな質問が。

「(こんなに美しいなんて)これは、祭壇か何かに飾るための日本刀なのかい?」

「いえ、この日本刀は、実戦で使われたものですよ」

「わぉ・・・」

 

ちょっとリアクションに困ったカップルYOUでした。


続いて、気になるTシャツを着たYOUに遭遇。

 

「すいません。いきなり失礼なんですが、日本のアニメは好きなんですか?」

「もちろん!」

ジジのTシャツを着こなすバスさんと、そのパートナーのマイレーンさん

ジジのTシャツを着こなすバスさんと、そのパートナーのマイレーンさん

「どこから来たんですか?」

「オランダからだよ」

「YOUは何しに東博へ?」

「日本の歴史を知れる場所と聞いたから」

「何か気になるものはありましたか?」

 

その質問に答えてくれたのは、彼女のYOU。

「やっぱり着物ね」

「たくさんの着物が展示されていますが、どれが一番気に入りましたか?」

「これね。桜がモチーフで、とても日本らしいわ」

「着てみたいですか?」

「着てみたいけど、美術館に飾ってあるのを着たら怒られちゃうから」

 

・・・ですよね(笑)

 

「ちなみに、日本の画家で知っている人っていますか?」

「ごめんなさい。」

「じゃあ、逆に、オランダを代表する画家って言ったら、誰ですか?」

「レンブラントよ」

「日本ではフェルメールが人気ありますが、もちろんオランダでも人気がありますか?」

「・・・・・まぁまぁね(苦笑)」

フェルメールって、意外と本国では人気が無いんですね。

 

最後に密着したのは、イギリスから旅行で来日中のカップルYOU。


「YOUは何しに東博へ?」

「日本刀を観に来たんだよ。」

日本に来て日本刀を観るのは、今回が初めてではないそうで。
以前に京都を旅行した際も、お寺はそっちのけで日本刀を見て回ったのだそうです。
そんな日本刀LOVEなYOUは、刀装具にも興味津々!


ちなみに、この前日に、どこを観光していたのか伺うと・・・

「昨日は、ついに(日本刀の)鐔を買ったんだ!」

と、嬉しそうに教えてくれました。

「じゃあ、いつかは日本刀を手に入れたいですね!」

と、水を向けると、彼女の方がすかさず一言。

「それは言っちゃダメよ。昨日、なんとか鐔だけで我慢させたんだから (笑)」

 

紙面の関係上、全員は紹介しきれませんでしたが、取材に協力してくれたYOUの皆様、ありがとうございました。
全員が全員、日本美術を前に目を輝かしていたのが、とても印象的でした。
日本人も、ちゃんと日本美術を観なければなりませんね。

会場情報
東京国立博物館

開館時間:9:30~17:00
休館日月曜日(休日の場合は翌日)、年末年始
料金・費用一般:620(520)円、大学生:410(310)円 ※( )内は20名以上の団体料金


※本企画が参考とさせていただいておりますテレビ番組「Youは何しに日本へ?」は、テレビ東京系列にて毎週月曜日、よる6時55分より放送中!こちらもあわせて是非ご覧ください。

公式サイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/youhananishini/

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