梅田芸術劇場10周年記念公演『SUPER GIFT!』 安寿ミラ・森奈みはるインタビュー

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日本のミュージカル界に輝かしい軌跡を残し、また宝塚歌劇団とそのOGたちによる多彩な企画でも大きな足跡を残してきた梅田芸術劇場が、10周年を迎えた。これを記念して宝塚歌劇団でそれぞれ一時代を画したトップスター達が集結。宝塚101周年と梅田芸術劇場10周年の祝祭に、観客に贈る素敵なギフトを詰め込んだショー作品『SUPER GIFT!』が開催されることとなった。(東京国際フォーラムホールCで9月12日~27日。梅田芸術劇場メインホールで10月3日~8日)

 

 

元トップスターたちの持ち歌はもちろん、バラエティに富んだ企画コーナー、更に日替わりで登場するスペシャルゲストも多彩で、日程表を見ながらどの日に観劇するかの嬉しい悲鳴が飛び交う、タイトル通りのSUPER GIFTな公演に早くも熱い視線が送られている。

 

 

そんな公演にレギュラーとして出演するのが、元花組トップスター安寿ミラと相手役の元花組トップ娘役森奈みはる。トップコンビとして3年半、芝居とショーで観客を楽しませてくれた2人。対談の話題は、『SUPER GIFT!』で披露される『哀しみのコルドバ』の名曲、コンビの退団公演でもあった「エル・アモール」からはじまった。

 

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安寿ミラ・森奈みはる

特別な想いがある梅田芸術劇場

 

 

──今、発表できる中で、一緒に歌う曲を教えてください。

 

安寿 「エル・アモール」を一緒に歌います。彩乃かなみちゃんがアンフェリータのパートで入って3人で。
森奈 ヤン(安寿)さんがエリオで私がエバで。舞台の思い出が蘇ります。
安寿 みはるが6月に、私の芸能生活35周年を記念した『FEMALE vol.12~35th Anniversary~』に出てくれた時も、一緒に歌ったけれど、ずっと蘇ってたでしょう?
森奈 蘇りまくりでした(笑)。
──特にどのような想いが?
安寿 「エル・アモール」は私達の退団公演だった『哀しみのコルドバ』の中の曲ですが、公演中に阪神淡路大震災があって、宝塚大劇場での公演ができなくなり、色々な方のお力添えで、当時「飛天」だった現在の「梅田芸術劇場」で後半の公演を行ったんです。その場所、梅田芸術劇場で「エル・アモール」をまた歌うというのは、特別な想いがあります。私達もそうですが、観てくださるお客様にも「20年前にここで歌っていた!」という想いがおありになるのではないかと。
森奈 本当にあれ以来ですね。その梅田芸術劇場でこの曲を歌わせて頂けるなんて、思いもしませんでした。
安寿 私達が退団20周年で、梅田芸術劇場が10周年。その節目としても特別な曲だと思います。
──他にはどんな場面がありそうですか?
安寿 まだシークレットなのですが、ショーの中のある場面を2人でお見せできる予定で、お客様にも懐かしんで頂けるのではないかと思います。私は梅田芸術劇場主催のOG公演は『DREAM, A DREAM』以来2回目なのですが、森奈は初めてで、こうして一緒に出られるのも初めてですから楽しみです。まだ内容は変わるかも知れないのですが、今のところは一緒の場面はそれくらい?
森奈 そうですね。
安寿 折角の機会だから、もう少し増えるといいね。
森奈 はい!
安寿 私は今のところ男役だった方と組む場面の方が多い感じですけど、みはるは娘役同士がやっぱり多いの?
森奈 私は、男役さんと組ませて頂く場面が他にもあって、『ME AND MY GIRL』を湖月わたるさんと組ませていただきます。
安寿 そうなんだ! 私はなぜか男役さんとばっかり(笑)。昔からショーでも男役と組んだり、「1人が似合う」と言われていたから(笑)。
 

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OG公演は稽古場も楽屋も女子高のノリ

──出演者の方達は皆さん馴染み深い方ばかりですね?

 

安寿 そうですね。皆さん一度はOG公演でご一緒させて頂いています。

 

森奈 私は客席から観させては頂いていたのですが、OG公演に出演するのは初めてで、まったく未知の世界なので緊張しています。
安寿 そうは見えないけど(笑)。
森奈 緊張してます!(笑)どんな楽屋なんだろう、とか。
安寿 そこなの?(笑)、すごく楽しかったですよ。年功序列がものすごくハッキリしているし。
森奈 そうですよね!
安寿 必ずその部屋の下級生が動くし。本当にあれはやっぱり宝塚の素晴らしさで、100年続いている伝統のすごさです。
──やはり、宝塚OGさんが集まる公演は他の公演とは違いますか?
安寿 何か、ゆるいんです(笑)。
森奈 えっ?そうなんですか?
安寿 うん、ゆるい(笑)。
森奈 私、逆かと思ってました。
安寿 女性ばかりだから、それだけでも雰囲気がゆるいというか、女子高のノリというか(笑)。稽古場の段階からすごく楽しいです。どの学年でも一つの話題でパッと盛り上がれるし、本当に同窓会みたいで。もちろん上級生下級生の序列はハッキリしているから、上級生は立てる、下級生を引っ張るというところはきちんとありますけれど、他の舞台にはない独特の楽しさがありますね。
──OG公演の機会もずいぶん増えましたものね。
安寿 そうですね。宝塚100周年のおかげもありますね。その100周年の時に、まだ動ける身体でいられたというのもすごくラッキーでした。
森奈 ヤンさんは動け過ぎです!(笑)。いつもトレーニングされていて素晴らしいです。
安寿 それはやっぱり地道に続けるしかないので。
──100周年には宝塚大劇場にも立たれましたが、やはり特別なものでしたか?
安寿 私達は80周年の時にトップをさせて頂いていて、シメさん(紫苑ゆう)と一路(真輝)、天海(祐希)の時代で、4人でよく「100周年の時にはどうしているだろう」という話をして、「皆客席にいるよ!客席で観てるよ!」なんて言ってたんですよ。
森奈 そうだったんですね。
安寿 それが、天海は仕事で来られなかったのですが、皆一緒に同じ宝塚大劇場の舞台に立てて、すごいことだねと楽屋で言い合いました。「立てたね」と。感動でした。みはるは仕事で来られなくて残念だったね。
森奈 でも同期から連絡とかをたくさんもらって、一緒に立っている気分にはなっていました(笑)。

 

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元コンビならではの絶妙な関係

 

 

──元コンビのお二人ですが、森奈さんは安寿さんに対して、今も緊張感はありますか?

 

安寿 してないでしょ!緊張なんて(笑)。『FEMALE』の時のトークを見せたかったくらい。もう大変でしたからこの人のトーク。トーク力のなさ!(笑)。今回もMCはやらない方がいいからね。
森奈 私入っているんです、MCに(笑)。
安寿 カットしてもらおうね(笑)。
──安寿さんと会う時は、どういう気分ですか?
森奈 嬉しいです!嬉しくて懐かしい。
──今のようにいじられたり?
森奈 そんなにいじられないですよね?
安寿 ちょっと!気づいてないの? あぁびっくりした(笑)。
──現役時代からこういう感じですか?
安寿 この人はあまり変わっていないと思います。私は現役の頃は、自分のことだけでまっしぐらだったのですが、今、ちょっとゆとりが出来て相手にしだしたら、もうこの調子なので、あの時相手にしなくてよかったなと(笑)。この人の相手をしていたら、トップの仕事どころじゃなかったかもしれない(笑)。ほっといて正解だった(笑)。
森奈 (笑)でもトークとかヤンさんと一緒の時は、お任せして頼っていました。
安寿 90周年の『TCAスペシャル』OGバージョンに一緒に出たけど、あの時のトークもたいへんだった(笑)。
森奈 喋れなかったので、「ヤンさん喋ってください」ってお願いしちゃって。『FEMALE』の時は、さすがに少しは喋れました。

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──森奈さんは娘役力は高かったですよね。お互いの魅力について客観的にどう思いますか?
安寿 え?この人を褒めるんですか (笑)。
森奈 そんな!私、ヤンさんに褒められたことないです(笑)。
安寿 私が褒めたら気持ち悪いよね(笑)。
森奈 ヤンさんに関しては、私から言えることはたくさんあります。宝塚時代も素敵だったですけれど、『FEMALE』で、自分が出ていない時にも拝見して。
安寿 この人4日間通ったんです(笑)。しかも客席からちゃんとね。
森奈 ずっと観てました(笑)。舞台稽古も観ていたし稽古中も。ちょっとアブナイですよね(笑)。でも現役時代から衰えていないばかりか、もっともっと進化していて本当にすごいなと思って。歌も前以上に伝わってくるものが大きくて。すみません生意気なこと言って!
安寿 いえいえ、森奈さんにそう言っていただけるなんて(笑)。
森奈 一緒にやらせて頂いているのが恥ずかしくなってしまうほどでした。今でも素敵に輝いていらっしゃる方の、相手役をさせて頂いていたということは自分でも自慢ですし、誇りに思います。
安寿 えーと、何を言おうかな(笑)。軽かったです、昔は(爆笑)。
森奈 それ褒めてないですよー!(笑)
安寿 いや、でも風のようで、支えなくても足がピンと上がってたものね?
森奈 はい。
安寿 はいって言うかな、普通ここ(笑)。
森奈 でも身体だけは柔らかかったんです!
安寿 ねぇ。すごく反ってたものね。
森奈 柔らかいのは柔らかかったんです。技術の問題じゃなくて(笑)。
安寿 それに小柄だったので、私も大きい方ではなかったから、バランス的に合っていたかなと。
──お芝居をする上ではどうでしたか?
安寿 お芝居は、真矢ミキ(当時は真矢みき)がいたので、みはるとはあまりガッチリ組んでいないんです。3人でとか、ミキと私のシーンがかなり多くて。
森奈 真矢さんとは恋人役のこともありました。
安寿 そう、ミキとよく組んでたよね。私はわりとアウトロー的な1人でいる役が多かったから。
──現在の森奈さんはどうですか?
安寿 今は一回り、二回り大きくなりましたが(笑)、歌声は衰えていないし、経験を積んだぶんだけ深い声が出ていますね。『FEMALE』の時「私だけに」を歌ったのですが。
森奈 すみません!
安寿 すごいチャレンジャーだなと思ったんですけれど、とても良くて。オサ(春野寿美礼))も歌ってくれたんですが、オサとはまた違う「私だけに」が聞けてよかったです。

 

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お客様へのスーパー・ギフトになるように

 

 

──今回は名曲がたくさん出てきますが、特に思い出に残る宝塚時代の楽曲はありますか?

 

安寿 やっぱり『スパルタカス』の「いつも夢みてた」ですとか『ブラック・ジャック』の「かわらぬ思い」も好きですね。トップ時代は好きだった役柄も多いので、それぞれ曲も印象が深いです。他には自分が歌ったものではないのですが、『花幻抄』の主題歌も好きですし、真央さん(大地真央)とショーコ(黒木瞳)の『情熱のバルセロナ』の「この時この愛を」も好きです。真央さんが歌っていらっしゃる曲は好きなものが多いですね。『哀しみのコルドバ』もそうですが、寺田瀧雄先生の作曲された曲は、どれも素晴らしかったです。
森奈 私は、一番好きな作品が『心の旅路』なので。
安寿 吉田優子先生ね。あの主題歌は難しかったね。
森奈 今まで歌ったことがないようなメロディーで、音も飛ぶんですよね。
安寿 飛ぶし、入りにくいしね。
森奈 でも繊細で美しくて、大好きでした。他にも色々好きなものはありますけれど、やはり一番は『心の旅路』です。
──では、改めて今回の『SUPER GIFT!』に出演される意気込みを。
森奈 梅田芸術劇場という劇場は、自分にとって退団公演という大きな舞台で震災になった時に、宝塚大劇場の代わりにそこを使わせて頂いたという、本当に大きな場所です。その舞台に退団して20年目に、安寿さんとご一緒させて頂いてまた立てるということは本当に幸せだと思いますので、この幸せを噛みしめながら、舞台をつとめさせて頂きたいと思います。
安寿 20年前に「飛天」に立たせて頂いた時には、まさか20年後にこうしてまた、みはると一緒に立つとは想像もしていませんでした。それどころか、震災のこともあり、どこで何をしているかさえ見えないような状況でした。あれからちょうど20年。運命というのは不思議だなと思いますし、頑張っていたらこういうこともあるんだなと。
──では、お二人にとってもギフトの公演ですね?
安寿 いえ、やはりギフトは、お客様にお返ししなければならないので。汗水流して頑張ります。
森奈 はい、私も頑張ります!


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あんじゅみら○長崎県出身。1980年に宝塚歌劇団で初舞台を踏み、92年花組トップスターに。前任の大浦みずきから続く「ダンスの花組」を継承し、ダンサートップとして名を馳せた。95年『哀しみのコルドバ』『メガヴィジョン』で退団。女優として舞台や映像で幅広く活躍中。「ANJU」の名で自身のダンスアクト『FEAMALE』の構成・演出をはじめ、宝塚歌劇団など舞台の振付を数多く手がけている。

 

 

 

もりなみはる○埼玉県出身。1986年宝塚歌劇団で初舞台を踏み、92年安寿ミラの相手役として花組トップ娘役に。可憐な容姿と歌唱力で活躍。95年の退団後は女優に転身。ミュージカル、ストレートプレイ、劇団☆新感線の舞台などジャンルを問わず舞台を中心に活躍。テレビドラマや映画など、映像ジャンルにおいても活動中。活動最新情報はhttp://stomp.cm

 

 

〈公演情報〉

 

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梅田芸術劇場10周年記念
『SUPER GIFT!』~from Takarazuka Stars~
構成・演出◇三木章雄
音楽監督◇
演劇キック - 宝塚ジャーナル
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