『VIVA LA ROCK 2016』オフィシャル・クイックレポート ゲスの極み乙女。
『VIVA LA ROCK 2016』2016.5.28 さいたまスーパーアリーナ
STAR STAGE ゲスの極み乙女。
2年連続のSTAR STAGE登場となるゲスの極み乙女。は、いきなりの「キラーボールで踊りませんか?」から人気曲“キラーボール”でスタート。長めのイントロが付け加えられた“私以外私じゃないの”はすっかり彼らの代名詞となり、多くの人があの印象的なサビを口ずさめるようになったわけだが、改めてじっくり聴いてもしなやかなグルーヴや上ものの絡み、ハーモニーの完成度は相当に高く、この曲を単なるポップソングとして世間に届けたバンドのすごさを思い知る。
ゲスの極み乙女。 ゲスの極み乙女。
ただ、他のロックフェスに出演した際の報道でも出ていたように、川谷絵音は喉の調子がまだ完全には戻り切っていない模様。川谷は「あんまり声が出なくて、歌えたら一緒に歌ってください」と話し、周りのメンバーが彼を支えていたが、声の調子が気にならないと言えば嘘になる。『両成敗』に収録されている楽曲、つまり“私以外私じゃないの”以降の曲というのは、川谷が改めて「ゲスの極み乙女。だからこそできること」を追求した曲たちで、フレージングもアンサンブルも音色もどれもが作り込まれ、それをスムーズに弾きこなしていくバンドの演奏は本当にかっこいい。ただ、その分楽曲を成立させるためにはヴォーカルの表現力も昔以上に求められるようになっていたことが、川谷の喉の不調であらわになっていたように思う。
ゲスの極み乙女。
ゲスの極み乙女。
逆に言えば、この日後半の盛り上がりパートで演奏された初期の曲の方が、楽曲の完成度としては新曲群に劣っていたとしても、今のバンドにはハマっていたと言える。このパートの前に川谷がウサギの着ぐるみに着替えたことに関しては、ときどき「何それ?」ということをする人なので、あまり深く追求はしない。ただ、いつも以上にギターの歪みが攻撃的だった“アソビ”や、休日課長が先導するコール&レスポンスから始まる“ドレスを脱げ”のように、ある種荒削りなギターロック寄りの曲が良く、ほな・いこかの男前な煽りを受け、川谷もとにかくギターをかき鳴らした最後の盛り上がりは抜群に素晴らしかった。緊急事態だからこそ、バンドの地力が見えたライブだったとも言えるだろう。
撮影=TEPPEI レポート・文=金子厚武
STAR STAGE ゲスの極み乙女。
2. 無垢な季節
3. 私以外私じゃないの
4. オトナチック
5. サイデンティティ
6. 両成敗でいいじゃない
7. ロマンスがありあまる
8. 餅ガール
9. アソビ
10. ドレスを脱げ