【blur映画いよいよ今週末公開!】アルバム「ザ・マジック・ウィップ」収録曲全曲解説+インタビュー特集 最終回

インタビュー
音楽
2016.6.3

ブラーの最新ドキュメンタリー映画『ブラー:ニュー・ワールド・タワーズ』はいよいよ今週6/4に日本公開!
メンバー4人によるアルバム「ザ・マジック・ウィップ」オフィシャルインタビューをご紹介するブラー特集、ついに最終回。

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前回のインタビューの通り、アルバム「ザ・マジック・ウィップ」の仕上げはグレアムとエンジニアのスティーヴンが行ったわけだが、これは今まで4人のブラーで行ってきた工程とはちょっと違うものとなった。
以前ご紹介したとおり、今週末から公開されるドキュメンタリー映画「ブラー:ニュー・ワールド・タワーズ」はこのアルバムの製作作業を中心として、ライブ映像を惜しみなく盛り込んだ内容となっている。往年のファンが楽しめるのは勿論、“バンド”というものを口実に集まった4人の男の人間ドキュメントとしても充分楽しんでいただけるだろう。
映画を観る前にこの一連のインタビューを一読されると、映画でメンバーが見せるちょっとした行動の動機が見えたり、映画をより一層楽しんでいただけることを保証する。
今後のブラーとしての活動についても尋ねているインタビュー最終回は、下記よりご堪能いただきたい。

もしキャンセルになったライブがパリ公演だったらレコーディングは実現しなかった

──いつもと違う工程でのレコーディングとなりましたが、どうでしたか?またやってみたいと思いますか?

デーモン:これは信じられないくらい思いがけない嬉しいアクシデントだった。幸運な出来事が続いたんだ。
いや、俺はバンドをやるのが好きじゃない。自分が22歳の頃と同じようにはなりたくない。そういうんじゃないんだ。人生はそういうものじゃない。
俺はこのアルバムの曲を演奏するのをすごく楽しみにしてるし、どこに連れて行ってくれるのかも楽しみだけど、先の計画なんか立てないほうがいいと思うんだよね。

アレックス:プロデューサーは同じで、俺達4人でスタジオでジャムった。スタジオでレコーディングしていれば、そこが香港だろうとバハマだろうと関係ないんだ。レコーディング・スタジオっていうのは窓のない小さな部屋で、人が集まって音楽について議論する場所なんだと思う。

──今のブラーはドアを開けた開店状態なんですか?

デイヴ:僕の見方では、ブラーの長期プロジェクトに対する僕自身の意欲は十分にあるんだ。
僕はブラーをやることに情熱を感じるし、これまでもずっとそうだった。僕たちはみんな、ほかにもたくさんいろんなことをやってきたけど、僕はブラーが最優先で、ほかのことは全部後回しだから。僕はやる気十分だよ。ブラーを続けていくこと、永遠に続けていくことに対してね。メンバー全員ほかにもいろいろやってるから、現実的な問題はあるにしても。ブラーだけをやっていたいっていう人はひとりもいないわけだし。
だからブラーを進化させるための時間をとるには、慎重に時間調整しないといけない。だから僕にとって将来の課題があるとすれば、僕達が今回みたいなことをやりたいとなったとき、まずは計画して、時間を最初に決めようってことなんだ。あのとき香港で時間がとれたのは運が良かった。もしあれがパリだったらイギリスに戻ってただろうし、アルバムはできなかったはずだと思う。
だから本当に運が良かったんだ。もちろん日本のフェスのを買ってくれてた人にとっては不運なことで、直前に破産したから僕達は香港に残ることになったわけだけど。だから、その窓が開いたのは僕達にとっては幸運だった。しかも僕達の側では何の努力もしてないわけだから。

グレアム:閉めきったドアはないと思うし、それはこれまでだって一度もなかったと思う。僕達はいつでも好きなように出入りできるんだよ。すごくいい仕事のやり方だった。
そのおかげで長い時間をかけてクリエイティヴにアルバムと関わることができて、僕達がそれに対して抱く感情やそれに関してやりたいことを深く追求していけたということだから。そういうやり方をしたことでいろんなことがわかったし、もう一度やってみたいと思うよ。
クリスマスまでにもう一枚アルバムができるかもね(笑)。ともかく、いいやり方だった。やる気が出たよ。僕はスタジオが大好きで、レコーディングするのが好きなんだ。

──今作の曲をライヴで演奏するのが楽しみですか?

グレアム:すごくいいものになると思うし、本当に楽しみにしてるよ。僕の仕事は複雑にやりすぎることじゃないと思うからね。
誰であれ指揮することになる人にとっては大変になると思う。僕はただ軽くかき鳴らしてるだけの曲がいくつかあって、音楽に没頭できて、それって最高なんだ。過去にはギター・パートを自分で難しくしすぎたところもあった。もちろん今回だって怯えてるリード・パートがいくつかあるけど。それは“ゴーストシップ”のリード・パートで、あのソロは本当にトリッキーなんだ。ライヴであのパートをちゃんとやろうとして苦労することになるだろうね。
でも今は、今回の新曲を20年前のブラーの曲と一緒に並べた感じが気に入ってるんだ。昔の曲には90年代という時代を映した奇妙で倒錯した物語があるけど、今はもっと広範囲のサイエンス・フィクションみたいな感じがある。反ユートピア的な要素が多いというか。


グレアム:僕にとっては、デーモンが書いた歌詞にはすごく心を打つものがあるんだ。すごく短い言葉で多くを語ってると僕は思う。僕には、ものすごいつながりがあるんだよ。圧倒されてしまうくらいで、僕達がこれを立て直して、アルバムにしたっていう、それはすごく重要なことなんだ。
僕にとってはそうってだけで、ほかの人がどう思おうとかまわないよ。僕達の間でやったことは、バンドの4人として、もしくは4人の兄弟として、僕達4人の間で交わされたコミュニケーションであって、ほかの人がどう思おうと関係ないわけだからね。あれは僕にとっていい機会だった。ここ何年も自分がちょっと怠け者だったと頭のどこかでわかっていて、その埋め合わせをするのがいいんじゃないかと思ってたんだ。
もしブラーの最後の作品になるんだったなら、1年前に起こらなかったはずだけど、現実に起こった。
これはブラーのアルバムになる価値があると思う。だって、もう1枚アルバムを作るのかっていうプレッシャーがいい方に働かないなら、何の意味があるんだ?
ファンからは、『何だよ、まったく出てこないで。新しいやつを作れよ』って言われて当然だけど、くだらないものを作ってもしょうがないわけで。作るんであれば、ちゃんとしてなきゃならない、そうじゃないと、ゴミみたいなアルバムになって、それじゃ誰にとっても何の役にも立たないから。そういう意味で、今回は素敵な一章になったんだよ。

アレックス:ブラーをちょっとやると、確かに足取りが軽くなるんだよね。戻って来るのは嬉しいことだよ、時々はね。
それに、今回もう一度音を鳴らす理由としてこのアルバムがあるのは素晴らしいことだ。あのサウンドはもう二度と聴けないんじゃないかと思ってたから。
俺はどのショウも最後だと思ってやるし、実際そうなるかもしれないわけで。いつまたこれが起きるのかどうかなんて誰にもわからないよ。

デイヴ:アルバムの曲をライヴで再現するのは、おもしろいチャレンジなんだ。ライヴっていうのは全く別物なんだよね。結構なチャレンジであって、おもしろいものでもある。
レコーディングのプロセスを考えると、今回は特におもしろいことになるだろうね。通常のドラム・キットを使ってないから、パーカッションやドラム・プログラミングを使ったところが結構たくさんあって、それをどうやって僕のドラム5個とシンバル6枚のドラム・キットで再現するのか…ちょっと助けが必要になると思うよ。

【アルバム全曲解説】12.ミラーボール

アレックス:“ミラーボール”、これはデモの段階で全部揃っていて、何ていうか、すぐにできた曲だった。ただもう、『わあ、いいね、レコーディングしようよ』って感じで。

グレアム:僕が思ってたのは、『うわ、僕達カントリー・ミュージックのトゥワングに突入するのか、こんなの馬鹿げてる』ってことで、いや、こう思ったんだ、『なんてこった、スティーヴン、これってトレブリーが足りない? あれはビッグでディープになるはずだったのが、トゥワングっぽくなってる』って、あのとき何を考えてたのかわからないよ。僕にとってあれはもっとこう、とにかくコードがすごくきれいで、スペースがたくさん必要で、そしてもちろん僕には自分の、新しく組み立てたストラトキャスターがあって、だから僕にはディレイを少しとリバーブを大量に入れて、巨大で温かいコードを作るのはすごく納得のいくことだった。そこがこの曲のいいところなんだ。温かいお風呂みたいなサウンドだよね。
だから僕にとってはそういう曲で、そして言うまでもなく、これもやっぱりチョーキングが効いていて、香港にいた頃にデーモンが使っていた歌詞があって、『僕を抱きしめて』みたいなフレーズで、『ああ、何度か言ってるな』って思って、そんなわけで僕達は曲に描かれてる感情がよくわかっていたんだ。
それだけだよ、つまり、ビッグで整然としてるっていう。温かさとストリングスの中に言葉がぶら下がってる感じで。そう、後でストリングスを入れたんだ。ストリングスは最後に加えた。まあ、一度ストリングスを入れると、もっとこまごまと加えていって、そのままずっと続けていきたくなるものだよね。それからデーモンがピアノで付けたリード・ラインがあって、それが本当に最高で。それだけだよ!必要なのはそれだけだったんだ。

 

作品情報

ブラー:ニュー・ワールド・タワーズ
劇場ご来場者全員に非売品限定ステッカープレゼント決定!

 
出演:デーモン・アルバーン/グレアム・コクソン/アレックス・ジェームス/デイヴ・ロウントゥリー
監督:サム・レンチ 撮影:ブレット・ターンブル、バド・ガリモア 編集:ハミッシュ・リヨン/ベン・ウェイン
ライト-ピアース/レグ・レンチ 製作:ニーヴ・バーン/レジーヌ・モイレット/ビル・ロード
2015年/イギリス/カラー/93分/原題:BLUR: NEW WORLD TOWERS
配給:松竹メディア事業部 宣伝:ビーズインターナショナル
協力:S-O-C-K-S INC./フレッドペリー/British Music in Japan/ワーナーミュージック・ジャパン
(c)Blink TV 2015 
blur-movie.jp

 

作品情報
Blur / ブラー
The Magic Whip / ザ・マジック・ウィップ


発売日:2015年04月29日
価格:¥2,457(本体)+税 / 規格番号:WPCR-16444
収録曲:
1. Lonesome Street / ロンサム・ストリート
2. New World Towers / ニュー・ワールド・タワーズ
3. Go Out / ゴー・アウト
4. Ice Cream Man / アイスクリーム・マン
5. Thought I Was A Spaceman / ソート・アイ・ワズ・ア・スペースマン
6. I Broadcast / アイ・ブロードキャスト
7. My Terracotta Heart / マイ・テラコッタ・ハート
8. There are Too Many of Us / ゼア・アー・トゥー・メニー・オブ・アス
9. Ghost Ship / ゴースト・シップ
10. Phyongyang / ピョンヤン
11. Ong Ong / オン・オン
12. Mirror Ball / ミラー・ボール
13. Y'All Doomed / ヤオール・ドゥームド (*日本盤ボーナス・トラック)
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