ヒットする企画の秘訣は『女子力の高さ』にあり? NAKED代表・村松亮太郎インタビュー

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村松亮太郎

村松亮太郎

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今年1月、日本橋の三井ホールにて開催された都市型アートイベント『FLOWERS BY NAKED 秘密の花園』。約1か月の開催期間中にインスタグラムでの投稿が10,000件を超えるなど、若い女性を中心に大きな反響を呼ぶこととなった。その"冬のFLOWERS"から半年を待たずして、2016年7月30日(水)~8月31日(水)までの間、東京ミッドタウン・ホールにて『FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園』が開催される。“花”をテーマにした『FLOWERS BY NAKED』以外にも、過去には“水族館”や“夜景”とコラボしたプロジェクションマッピングなど、女子受け抜群のロマンチックな企画を数多く手掛けてきた、クリエイティブカンパニー『NAKED』。その代表をつとめ、各イベントの総合演出を担う村松亮太郎に、話題を呼ぶ企画制作の裏側について語ってもらった。

 

「何になりたい」でなく「何をやりたい」かを追及

――村松さんは、もともと俳優・モデルをされていたそうですね。そこから起業するというのは、かなり珍しい経歴なのではないでしょうか?

僕はもともと映画が好きだったので、「映画に携わりたい」という思いから、16歳で役者をはじめたんです。当時はデジタルの撮影技術もなく、フィルム撮影で敷居が高かったというのもありましたが、最初から映画撮影とか裏方に入るということはあまり考えられませんでした。映画の世界といえば表に出ている役者さんが目立ちますし、なんとなくそこからが一歩を踏み出しやすかったんですよね。タレントになりたいというような夢も全然なく、「とにかく映画をやりたい」という気持ちだけでした。

それでしばらく役者をやっていたんですけど、アイドルやタレントのようなものには興味がなかったこともあって、自分が将来やりたいことを考えていたら、気付いたら作る側になっていました。将来を迷っていた当時、Macとの出会いがあって、「どうやらアメリカでは、最近映像をコンピューターでいじれるらしいぞ」ということがわかったんですね。でも、日本ではほぼ情報がなかったので、海外から書籍を取り寄せて、独学でコンピューターをいじりはじめました。

 

――そして、そのままNAKEDを設立することに?

制作をはじめたはいいものの、お金がなくなったので会社を始めたんです。気づいたらえらい借金になっていて、「仕事しないとヤバい!」と。映画を撮りたいと思ってコンピューターをいじりはじめたんですけど、その後はデザインなども手掛けることになりました。たとえば、映画のタイトルバックを作るときには、当時日本ではあまり知られていなかった『モーショングラフィック』という分野のデザインをしていました。それを日本テレビのプロデューサーさんに見ていただいて、ドラマのタイトルバックのチャンスをいただいたりしました。なので、会社としては最初は、モーショングラフィックで注目されていました。

そして、僕がコンピューターで映像をやっていたことで、カメラマンやデザイナーなどもおもしろがって集まってきて、気づいたらいろんな職種の人がいる会社がスタートしたんです。その時代は、CGはCG会社、撮影だったら撮影会社、デザインはデザイン会社という風に職種によって会社がわかれていたんですよ。なので、そういう垣根がなく、メディアも職種も超えてもの作りをするということがとてもおもしろかったです。

NAKEDの設立は1997年なんですけど、その年はYahoo!JAPANが上場した年でもあるんですよ。当時、インターネットの洗礼を浴びたことで、今後は映像や文字、音楽、デザインといったメディアがどんどんボーダレスになっていくということを、理屈ではなく、おそらく感覚的に感じていました。

 

 

女子受け企画の秘訣は、村松亮太郎の『女子力の高さ』?

――プロジェクションマッピングのようなメディアアートは、どちらかというと女性よりも男性に好まれている印象があります。それを女性向けに発信したのには、どのような意図があったのでしょうか?

たしかに、プロジェクションマッピングはギークな人(コンピュータやインターネット技術の知識がある者)向けですよね。やたらと有名になってしまったこともあって、東京駅での『TOKYO HIKARI VISION』が“プロジェクションマッピングのスタンダード”だと思われがちですが、実はあれは亜流。本来のプロジェクションマッピングは、映像が動くだけであまりストーリー性のないものが多かったんです。もともとはプログラマーさんだとかVJさんだとか、メディアアートやテクノロジー系の人がやっていたものなので、海外のプロジェクションマッピングを見ても、そんなにストーリー性が強くはないんですよ。

僕は、映画業界で脚本や演出もやってきた人間なので、それとプロジェクションマッピングを合わせて、ストーリー性のあるショーを作ろうと思いました。なので、テクノロジーとして見た場合は男性の支持が多かったと思いますが、ストーリー性だったり映画的な部分が、女性にも受け入れられやすかったんじゃないでしょうか。技術としてのデジタルとアナログの境目はあまりないですね。単純に、見た人のハートに何かしらの感動が届くものを作ろうとしか考えていないかもしれません。

 

――ということは、そもそも『FLOWERS BY NAKED』は女性受けを意識してはいなかった?

全然僕は意識してなかったですよ! でも、よく「女子力高い」と言われますね。

――セレクトされるテーマが、“花”や“夜景”など、女子が好きなものが多いですし、男性よりは圧倒的に女性のほうが好きですよね。なので、女子力高めな企画が多いなあ、と。

ああ、そうなんですね。別に、女性受けを狙ってやっているわけではないんですけどね。僕、花とかふつうに好きなんですよ。だって、きれいじゃないですか! 食事とかも好きですし、女性っぽいのかなあ……。

――レストラン経営もなさってますよね。

そうなんです。僕がプロデュースしている『9STORIES』という飲食店も、すごくヘルシーでおいしいですよ。ここの店は、お弁当やケータリングが人気なんですよね。お弁当って、ガテン系のものが多いじゃないですか? なので、もうちょっとヘルシーなものをやりたいなと思って。あとは、ホテルとかも好きですね。ホテルマニアです。

――女子力高いです(笑)。

でも、それって結局暮らしに接しているものじゃないですか? 食べること、ホテルで寝たり過ごしたりすること、そうしたなかで花や植物にふれること。そういうものを愛でるのは、男性でも普通のことだと思うんですけどね。

 

 

斬新なアイディアは"ボーダレス"な生活から生まれる

――村松さんは、海外への渡航経験は多いのでしょうか?

多いですね。映画祭でまわっていたというのもありますし、高校のときにアメリカに留学していたので。最近は、海外はあまり行かなくなってしまいましたけど、国内はものすごく多いです。日帰りで佐賀とか行ってます。

――やはり、新しいものを作るとなると、海外からアイディアを取り入れたりするのでしょうか。

ないですね。むしろ、最近は日本の伝統を扱うことが多くて、『FLOWERS BY NAKED』では生け花を使いました。このあいだは歌舞伎公演で空間創造で携わったり、洛中洛外図屏風を使ったマッピングをやってみたり。やっていることとしてはあまり日本的ではない部分もあるかもしれませんが、海外のものを持ってきたり、っていう感覚はないです。

 

――ユニークな作品を作り出すにあたってのインプットの秘訣はなんでしょうか。

さっきのボーダレスの話とちょっと似ているんですけど、インプットとアウトプットを同時にしています。ものをつくるときにすごく調べたりして。そうじゃないと、うまくいかないんですよ。僕はテレビはあまり見ないですし、雑誌も別に見ないし、ネットで情報を探すということもそれほどしないので、生きているなかで、なんとなくアイディアを拾っている感じです。言ってしまえば、街なかでもインプットできるじゃないですか? 花や夜景とのマッピングというのも、普段の生活のなかにあるものだから、ふとくっつけてひらめいたものだと思うんですよ。「マッピングで何をやるとおもしろいんだろう?」って、すごく考えたことはないです。

――お休みの日はありますか?

ないです。そもそも休みってなんなのか、よくわからないです。何か作品を作るとなったら、映画を見にいくことだって仕事や研究になってしまうし、レストラン経営をやっているので、食事に行くのも研究になっちゃう。旅行いってもロケハンしちゃいますし。そうすると、境目があんまりわかんないというか。「仕事は仕事、だけどプライベートも充実させなきゃね!」みたいな考え方はあんまり好きじゃなくて。仕事をストレスみたいに書かれてしまうと、なんでだろうと思います。『FLOWERS BY NAKED』を踏まえて花を見ているほうが楽しいです。

 

来場者のクリエイティビティを刺激する『FLOWERS BY NAKED』

――冬の『FLOWERS BY NAKED 秘密の花園』では、一か月でインスタグラムの投稿が10,000件を超えたそうですが、こうした拡散は意図していましたか?

いや、狙っていなかったです。今でこそ、あれだけ拡散されるなら作戦を練ろうって考えますけど、最初はびっくりしました。ただ、僕のやっていることは感覚的で、言葉では伝えにくいとよく言われます。なのでそういった面でも、Twitterよりもインスタグラムのほうが向いていたのかもしれません。

あと、『FLOWERS BY NAKED』は客層がすごく良かったとも言われます。いわゆる"カメラ女子"というか、自分のクリエイティビティを刺激する形で楽しんでくれている人が多くて、おもしろいなと思いました。みんな、インスタグラムですごくきれいに写真を加工しているじゃないですか? 僕の作品を、また何か自分の作品に変換するようにして投稿していますよね。それはとても嬉しかったですし、次のヒントにもなりました。お客さんがただ消費するためだけに見にくるのではなく、クリエイティビティを刺激してもらうこともできれば、自分にとっては本望かなと思います。

 

――7月30日(土)からはじまる『FLOWERS  BY NAKED 魅惑の楽園』の見どころを教えてください。

花は季節ものなので、1月に開催した冬のFLOWERSと夏のFLOWERSでは、違う世界が作れると思います。でも、ベースを共有している部分もあるので、冬来た人が夏に来るともっとおもしろいですよ。冬は会場が日本橋だったこともあって、しっぽりとした和的な静けさもありましたが、今回は六本木での開催なので、もっと躍動感があって楽しい雰囲気になっています。音楽も、前回はクラシックをベースにしていたんですけど、今回はボサノバなどを使って夏らしい仕上がりです。

――『FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園』以外に、NAKEDでの今後の展望などがあれば教えてください。

このままいくと僕は女子だと思われてしまうんで、来年はめっちゃ男っぽいことをやってやろうかなと。来年は『ケモノ BY NAKED』とか『マッチョ BY NAKED』とかね、絶対男っぽいものやってやりますよ。『筋肉マッピング』とかね!

――『筋肉マッピング』は、逆に女子受けしてしまいそうですね(笑)。

ええ! そうかあ、男は何がいいんだろう……。『カレー大盛りBY NAKED』とか? とにかく、来年は男っぽいイベントをやりたいですね。

 

 


インタビュー・文=まにょ

イベント情報
FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園

会期:2016年7月30日(土)~8月31日(水)
会場:東京ミッドタウン・ホール
時間:〈月~木/日/祝日〉10:00~20:00 〈金/土/祝前日〉10:00~21:00
※初日のみ17:00OPEN
※8月10日(水)は10:00~21:00
※最終日は21:00まで
※入場は閉館の30分前まで

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