原サチコ、ドイツ語圏の劇場における難民問題の取り組みを語る

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原サチコ

原サチコ

海外の舞台芸術のプロフェッショナルは何を考え、何に期待し、1日をどのように過ごしているのだろうか。海外の劇場、劇団、ダンスカンパニーはどのように運営されているのか。演出家、役者、振付家、ダンサーとして、実際に海外の劇団や劇場でプロフェッショナルとして活躍する日本人たちから生の声を聞いてみたい。そんな趣旨でおこなわれているのが、国際演劇協会(ITI)日本センターによる「海外で活躍するプロフェッショナル」シリーズである。そのシリーズ第6弾が、2016年7月26日(火)19時より、東京芸術劇場シンフォニースペース5階にて開催される。

今回登場するのは、原サチコ。1964年神奈川県生まれ、上智大学外国語学部ドイツ語学科卒の彼女は、演劇舎蟷螂やロマンチカで活躍した後、2001年渡独し、鬼才と呼ばれる演出家たちに見いだされ、東洋人どころか外国人もほぼ皆無のドイツ公立劇場で12年に渡り唯一の日本人俳優として居場所を確保し続けている。

実は彼女、このイベントへの出演は4度目となる。回を重ねるたびに「もっと聞きたい!」との聴衆のリクエストが増え、いまや名物シリーズとなったのが「原サチコのぶっちゃけドイツ演劇シリーズ」。

「ぶっちゃけ」シリーズ第1回では、偶然ではなく行動と努力で自らつかんだ激動のドイツ俳優人生を、出演作品の映像と共に語った。第2回では、日本では馴染みのない「専属俳優システム」や「レパートリー制」というドイツの公立劇場のシステムについて、原の現在所属するハンブルク・ドイツ劇場を例に、劇場各部署の人々のインタビュー映像と共に説明。第3回は、辣腕インテンダント(芸術監督)、カリン・バイヤー体制2年目で売り切れ公演続出と絶好調のハンブルク・ドイツ劇場について、イプセンからルネ・ポレシュまでの多彩なレパートリーをトレイラーと共に紹介。このとき、移民、難民問題に関するドイツ劇場の取り組みの話も登場した。さらに、原独自の取り組み「ヒロシマ・サロン」5年目の成果であるハノーファー、ワルシャワでの公演について報告がなされた。

今回は、前回のトークのなかでもとりわけ反響のあった、ドイツ語圏の劇場における難民問題の取り組みについて、更に詳しい現状が語られる。欧州への難民の大量移動に揺れるドイツ。2015/16シーズンはドイツ中の劇場のレパートリー作品に難民問題は色濃く反映されたという。そして多くの劇場が直接、町の難民へ手を差し伸べる行動に出た。

原の所属するハンブルク・ドイツ劇場では難民一時宿泊所を設け、毎晩難民にロビーを開放する大胆な策を講じ、これに原も参加した。原が自ら撮りおろした写真など見ながら、難民問題を投影したレパートリー作品の製作や、難民へのアクションの現場の話を聞くす。ドイツ語圏の劇場をリアルに感じる良い機会となるだろう。

聞き手は、前回に引き続き、毎年ハンブルク・ドイツ劇場他ドイツ演劇を取材している演劇ジャーナリスト伊達なつめ。また終演後には、会場内で、原を交えた懇親会も行われる。

さらに原は、2016年7月30、31日にドイツ文化会館ホールで開催されるドイツ同時代演劇リィーディングシリーズ『ロッコ・ダーソー』(作:ルネ・ポレシュ  翻訳・朗読演出:原サチコ)に、木内みどり、古舘寛治、安藤玉恵と共に出演する(詳細は後日SPICEにて紹介)。


原サチコ プロフィール
 
現在、ハンブルク・ドイツ劇場専属俳優。
1964年神奈川県生まれ。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒。1984年より演劇舎蟷螂で演劇をはじめる。後に劇団「ロマンチカ」で活動。1999年渡辺和子演出の「羅生門」(新国立劇場公演)出演がきっかけで、ベルリンでの渡辺和子演出の「NARAYAMA」に出演することになる。その時に憧れていたクリストフ・シュリンゲンジーフと出会い、シュリンゲンジーフのドイツ巡回公演に出演するチャンスを手に入れる。
2001年ベルリンへ移住。シュリンゲンジーフのベルリン・フォルクスビューネ劇場作品に出演。
その後、ニコラス・シュテーマン演出の「三文オペラ」ポリー役をきっかけに、さまざまな演出家の作品に出演。 2004年、東洋人として初めて名門ウィーン・国立ブルク劇場の専属俳優となり、シュリンゲンジーフ、シュテーマン、ルネ・ポレシュ、セバスチャン・ハートマンなどの全16作品に出演し、5年間を過ごす。
2009年、ドイツ・ハノーファー州立劇場に移籍。ハノーファー州立劇場では、ハノーファーが欧州で唯一の広島友好都市であることを知り、広島への原爆投下をテーマとした、井上ひさし作「少年口伝隊1945(LITTLE BOY, BIG TYFOON)上演を自ら企画。翻訳も行った。現在の広島のことも知って欲しいとはじめた「ヒロシマ・サロン」は、「少年口伝隊1945」朗読と共に現在も続けており、ハノーファー以外にもベルリン、ハンブルク、そしてポーランド・ワルシャワへと招かれている。
2011年福島第一原発事故をテーマにしたノーベル賞作家エルフリーデ・イェリネク作「KEIN LICHT」(邦題:「光のない。」)世界初演(ケルン公立劇場)に出演し、それをきっかけにケルン市立劇場に移籍、2013年8月から、ドイツ演劇の名門であるハンブルク・ドイツ劇場の専属となった。
最近の出演作に、
「ロッコ・ダーソウ」 作・演出 ルネ・ポレシュ 上演中
「夷狄を待ちながら」 演出 マヤ・クレチュカヤ 上演中
「時代遅れの人間」 作 ギュンター・アンダース 演出 ズーゼ・ヴェヒター 上演中
「物理学者たち」 作 デュレンマット 演出 セバスチャン・クレイヤー 上演中
「ビビー・チャレンジ号」 作・演出 アドナン・ソフテク (ミュンヘン・ウエルカムシアター祭参加作品)
「島」 作 ビヨン・ビッカー 演出 マルテ・イェルデン (ニュー・ハンブルク祭参加作品)
「白痴」 作ドストエフスキー 演出:カリン・ヘンケル 上演中
俳優活動の他に、ドイツでの出演作品の日本語訳とその紹介を毎年夏に日本で行っている。昨年はクリストフ・シュリンゲンジーフ作演出「メア・クルパ」、今年はルネ・ポレシュ作演出「ロッコ・ダーソウ」。
また、日独間の絆を姉妹都市関係から探る企画、ハノーファーでの「ヒロシマ・サロン」に次いで、ハンブルク・ドイツ劇場で「オオサカ・サロン」をスタートさせた。
私生活では15才になる息子を育てるワーキング・シングルマザー。
 
イベント情報
国際演劇協会日本センター「海外で活躍するプロフェッショナル」 シリーズ Vol.6
『原サチコのぶっちゃけドイツ演劇話4~ハンブルク・ドイツ劇場の今シーズン・難民との取り組みを中心に~』
聞き手:伊達なつめ
■日時:2016年7月26日(火)
トーク=19時~21時 懇親会=21時~〜21時30分
■会場:東京芸術劇場シンフォニースペース5階
■料金:1,000円(全席自由席、受付にて当日精算)
■予約・問合せ:国際演劇協会日本センター
電話:03-3478-2189(受付時間:平日11時〜17時)
メール: iti.lecture@gmail.com
*メール予約の場合、件名を「原サチコトーク申し込み」とし、本文に氏名、人数、日中に連絡がとれる電話番号と、iti.lecture@gmail.comから受信可能なメールアドレスを入れて送信のこと。
(関連リンク)
本人のFBページ
https://www.facebook.com/sachiko.hara.schauspielerin
ハンブルク・ドイツ劇場のHP内プロフィール
http://schauspielhaus.de/de_DE/ensemble/sachiko_hara.80795
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