神谷浩史、菜々緒が"漫画"の魅力を伝える!『ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~』が開幕 

レポート
アート
2016.7.30
(左上から)ダヴィッド・プリュドム、坂本眞一、ベルナール・イスレール、ニコラ・ド・クレシー、五十嵐大介、エリック・リベルジュ、エティエンヌ・ダヴォドー、 (左下から)クリスティアン・デュリユー、松本大洋、神谷浩史、菜々緒、本展総監修者ファブリス・ドゥアール、谷口ジロー、フィリップ・デュピュイ

(左上から)ダヴィッド・プリュドム、坂本眞一、ベルナール・イスレール、ニコラ・ド・クレシー、五十嵐大介、エリック・リベルジュ、エティエンヌ・ダヴォドー、 (左下から)クリスティアン・デュリユー、松本大洋、神谷浩史、菜々緒、本展総監修者ファブリス・ドゥアール、谷口ジロー、フィリップ・デュピュイ

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世界最高峰の美術の殿堂であるルーヴル美術館が、21世紀に新たに迎え入れた芸術――それは「漫画」だった。フランス語圏と日本の漫画家が、ルーヴル美術館のために描き下ろした漫画作品などを堪能するルーヴル美術館特別展『ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~』が、ついに漫画の国ニッポンにやってきた。開幕に先駆けておこなわれた本展の内覧会と、音声ガイドを務める神谷浩史、展覧会MUSEの菜々緒、本展の参加漫画家が登場した記者会見の様子を通じて、展覧会の全貌をレポートしよう。

撮影可能なフォトスポットのパネル

撮影可能なフォトスポットのパネル

なぜ「漫画」が9番目の芸術に?

まず、ルーヴル美術館がなぜ9番目の芸術として「漫画」を選んだかについて、簡単にご紹介したい。

日本の「漫画」、アメリカの「コミック」と同じように、フランスには独自の文化として「バンド・デシネ(以下、BD)」が発展してきた。その源泉は中世の「物語絵画」「連続絵画」にあると言われている。BDは日本の漫画とは少し異なり、カラー作品や一枚の中に複雑に描き込まれた作品などが多く、グラフィック作品としての趣が強いように感じられる。

『氷河期』ニコラ・ド・クレシー

『氷河期』ニコラ・ド・クレシー

『ルーヴルの亡霊たち』エンキ・ビラル

『ルーヴルの亡霊たち』エンキ・ビラル

古典美術はもちろん、現代美術の発信にも力を入れるルーヴル美術館が、この伝統的な文化を新しい芸術として捉えるのも自然な流れと言えるだろう。

漫画の国ニッポンから7人の漫画家が参加

本展は2003年から進められている「ルーヴルBDプロジェクト」に参加しているフランス語圏と日本の作家・計16名が描き下ろした、ルーヴル美術館を舞台とする漫画の原画を展示する。それと同時に、その制作過程も貴重な資料を用いて紹介されている。日本からは『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦、『孤独のグルメ』の谷口ジロー、『ピンポン』の松本大洋、『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ、『魔女』の五十嵐大介、『イノサン』の坂本眞一、数多のキャラクターデザインを手がける寺田克也の計7名の人気作家が参加。それぞれが捉えるルーヴル美術館は、いずれも作家の持ち味が光る見応え十分な作品に仕上がっている。

『岸田露伴 ルーヴルへ行く』荒木飛呂彦

『岸田露伴 ルーヴルへ行く』荒木飛呂彦

『千年の翼、百年の夢』谷口ジロー

『千年の翼、百年の夢』谷口ジロー

『ルーヴルの猫』松本大洋

『ルーヴルの猫』松本大洋

まるで異次元? エキサイティングな会場構成

本展ではそれぞれの作品もさることながら、展示方法そのものにも注目したい。作家それぞれの世界観をダイナミックに表現した空間演出で、来場者を異次元の場所へ迷い込ませるかのようだ。その展示風景をいくつかご覧いただこう。

「サモトラケのニケ」を題材にした象徴的な空間演出が出迎える

「サモトラケのニケ」を題材にした象徴的な空間演出が出迎える

マルク=アントワーヌ・マチューの不思議なモノクロの世界へ

マルク=アントワーヌ・マチューの不思議なモノクロの世界へ

荒木飛呂彦の世界観をダイナミックに表現

荒木飛呂彦の世界観をダイナミックに表現

MUSE・菜々緒を坂本眞一が描き下ろし

本展のMUSEとしてモデルの菜々緒が抜擢されている。彼女をモデルとして、漫画家・坂本眞一が描き下ろしイラストを制作した。記者会見で坂本は「(本人に)満足してもらえるかと、とても緊張しました。18世紀の宮廷画家のような気持ちです。」と語った。それに対し菜々緒は「こんなに美しく描いてもらって……。MUSEに選んでもらったことはもちろん、作品としても関われたことが光栄です。」と微笑んだ。会期中、このイラストの前では写真撮影が可能だ。MUSE・菜々緒とのツーショットをぜひ撮ってみては。

(左)菜々緒、(右)坂本眞一

(左)菜々緒、(右)坂本眞一

菜々緒をモデルにした坂本眞一の描き下ろし作品

菜々緒をモデルにした坂本眞一の描き下ろし作品

神谷浩史が耳元で作品世界をガイド

本展の音声ガイドを務めるのは、人気声優の神谷浩史。「作品に圧倒され、自分が音声ガイドを務めることを忘れてしまいそうになりました。この魅力をしっかり伝えられるよう一生懸命声で表現させていただきました。」と語った。音声ガイドでは、それぞれの作品世界にあわせて変化する、神谷の幅広い声の表現を堪能することができる。これは、神谷浩史ファンならずとも必聴だ。

声優・神谷浩史

声優・神谷浩史

ふだんは家で寝転んだり電車の中で見る漫画を、美術館という特別な空間で体感する本展。美術館初心者にこそ、ぜひ足を運んでもらいたい。

 

イベント情報
ルーヴル美術館特別展『ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~』

期間:2016年7月22日(金)~9月25日(日) ※会期中無休
時間:10:00~20:00(最終入場19:30)
会場:森アーツセンターギャラリー
住所:東京都港区六本木6-10-1(六本木ヒルズ森タワー52階)
料金:一般/1,800円、高・大学生/1,200円、小・中学生/600円
公式サイト:http://manga-9art.com/

【大阪】
会期:2016年12月1日(木)~2017年1月29日(日)※12月31日、1月1日は休館
開館時間:11:00~18:00(最終入場 17:30)
会場:グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボ
【福岡】
2017年4~5月開催予定
【名古屋】
会期:2017年7月15日(土)~9月3日(日)
会場:松坂屋美術館
 
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