菅田将暉がボクサーに!故・寺山修司が遺した小説を映画化
菅田将暉が自身初のボクサーに扮する『あゝ、荒野』(2017年公開)の製作が決定した。原作は、劇作家や映画監督、俳人など数えきれない肩書きを持ち、日本のあらゆるカルチャーに絶大な影響を及ぼしながら、1983年に逝去した故・寺山修司が遺した唯一の長編小説。
本作には、寺山の描いた過激な世界観を映像化するに相応しいスタッフとキャストが集結。主人公の新次を演じるのは『ピンクとグレー』(16)『ディストラクション・ベイビーズ』(16)など話題作に多数出演し注目を集める若手俳優、菅田将暉。さらに韓国映画『息もできない』(09)で監督、脚本、主演全てを自身で務め、世界各国で称賛されたヤン・イクチュンをバリカン役に迎え、国を越えたダブル主演が実現。メガホンをとるのは映画初監督作『二重生活』(16)でも菅田将暉を起用し、人間の心理を鋭くえぐり出した岸善幸。
今回映画化にあたり、原作では60年代の新宿だった舞台を、近未来の新宿に変更。ボクシングジムで出会った少年院あがりの新宿新次(菅田)と吃音と赤面恐怖症に悩むバリカン(ヤン)を中心に、二人を取り巻く様々な過去や闇を抱えた者たちの人間模様を描く。
新次役の菅田将暉は「ボクシングに挑戦するため、人生で初めて体を鍛えています。精神的な痛みを表現するような作品は今までやってきたけれど、男ならではの闘争心や肉体的な痛みを表現する作品は初めてなので、今世紀最大に疲弊して、今しかできない脂っこい作品にしたいです」と意気込みを語った。
バリカン役のヤン・イクチュンは「『あゝ、荒野』への出演が決まったことを、本当に光栄に思います。この作品への参加を決めてから、他の作品の出演を控えるようになりました。しばらくは『あゝ、荒野』に集中したいと思ったからです。」とコメント。
さらに「本作には大きなプレッシャーを感じます。役作りをしている今、ボクシング、言語の壁、その他学ぶべきこと、やるべきことが山積みで、緊張と不安を感じているのは事実です。しかし、それらこそ、この作品に参加することでしか味わえない、素晴らしい映画的な要素の一つと感じています。菅田将暉さんとはボクシングのトレーニングでご一緒しましたが、勘がよく、なにより目がとてもいいと感じました。共演させていただくのがとても楽しみです」と日本映画に出演することへの心境も明かした。
岸監督は「学生時代から触れてきた寺山修司作品を、しかもボクシング映画を撮ることは夢でした。キャストは、『二重生活』でご一緒した菅田将暉さん、そして大好きな韓国映画『息もできない』のヤン・イクチュンさん、二人を中心に演技派の役者たちが顔を揃えてくれました。ぜひとも楽しみにしていただきたいと思います」と言う。原作登場から50年の時を経て生まれる、映画『あゝ、荒野』に期待が高まる。【Movie Walker】