ベック、トラヴィスほか FUJI ROCK FESTIVAL '16 SPICEオリジナルフォト&レポート・2日目

レポート
2016.7.24
ベック 撮影=風間大洋

ベック 撮影=風間大洋

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FUJI ROCK FESTIVAL '16 2016.7.23

GREEN STAGE トラヴィス

トラヴィス 撮影=風間大洋

トラヴィス 撮影=風間大洋

客席ではためいているユニオンジャックを横目に、Tシャツ、デニムという飾らないいつもの姿で登場したメンバー。観客に届けられた一曲目は場内大歓喜の「Sing」。続いての「Selfish Jean」で一気に軽やかなムードへ引っ張る。

「この曲は僕の子どもが生まれるって時に書いたんだ。今、息子は10歳。時間が経つのはあっという間だよね」
フラン(Vo/G)は毎回子どものことを嬉しそうに話す。その子が生まれる前から「お父さんになるんだ!」と嬉々として話していたこともあって、「もうそんなに経ったのか。息子くん、大きくなったんだろうな」と親戚のおばちゃんのように勝手に愛しく思えてしまっている。

トラヴィス 撮影=風間大洋

トラヴィス 撮影=風間大洋

そして「My Eyes」と続き、新曲「Animals」を披露した後に「Where You Stand」へ。ここでフランは「そっちへ行っていい? 通らせておくれよ」と丁寧に話しかけた先・オーディエンスの上にダイブ。ファンに肩車されてあるフランを祝うバースデーソングを合唱されると、顔をクシャクシャにして笑顔を見せていた。

オーディエンスに優しくダイブ返しをされてステージに戻って「Moving」「3miles High」、名曲「Side」を熱唱。

トラヴィス 撮影=風間大洋

トラヴィス 撮影=風間大洋

「(スマホばっかり触るジェスチャーをして)みんなこんなことばっかりしていて、お互いの顔をちゃんと見ていないだろう? 今はどこへ行ってもそう。でも現実の世界で向き合わなきゃいけないよね、こんな風にさ!」
そう言ってから披露されたのは「Paralysed」。そして「Closer」へ。そしてここ数年多かったのはアコースティック・バージョンでの「Flowers In The Windows」だったのだが、今日はフランが一人で弾き語りをした。パワーを持つ楽曲がより一層シンプルになると、メッセージが強い届いていたように思う。

トラヴィス 撮影=風間大洋

トラヴィス 撮影=風間大洋

続く「Magnificent Time」では、「向こう3ヶ月間は4歳児になろう!」と自らも激しく子どものように踊り、その振り付けをオーディエンスに指南し、踊らせた。

「今日は僕の誕生日だから特別な日。僕ら結成も20周年、フジロックも20周年。これってなんかあるよね」

トラヴィス 撮影=風間大洋

トラヴィス 撮影=風間大洋

そして最後の曲は「Why dose it always rain on me?」。いつだったかは忘れてしまったけれど、雨が突然降り始めた時に機転を利かせてこの曲を演奏したこともあったが、今年は降らずにすんだ。

トラヴィスの音は心が軽くなる。そして普通に楽しめる。そんなハッピーな空気がGREEN STAGEエリアいっぱいに漂っていた。

 

GREEN STAGE ウィルコ

ウィルコ 撮影・風間大洋

ウィルコ 撮影・風間大洋

日中の暑さもだいぶやわらぎ、晴れの日のフジロックとしては涼しいともいえる環境の中、GREEN STAGEに登場したのは、アメリカの国民的バンド・ウィルコだ。

昨年、最初の30日間は無料でダウンロードできるという異例の形でアルバム「STAR WARS」をリリースし、その後もアンプラグドライブも無料で配信するなど斬新かつアグレッシブな活動を続ける彼らだが、やはりその姿勢によるものなのか、この日も最高の空間を提供してくれた。

ウィルコ 撮影=風間大洋

ウィルコ 撮影=風間大洋

6人がずらりと居並んだステージから、「Random Name Generator」や「Aet of Almost」など、野外映えする名曲がドロップされていく。特筆すべきは、出音自体のクオリティが半端じゃないことと、難しいことをやっていないように見えながら、非常に高いスキルでもって、この音楽は生み出されている点。

ウィルコ 撮影=風間大洋

ウィルコ 撮影=風間大洋

さらに自在に表情を変えるサウンド作りにも非常に強いこだわりも見えた。曲ごとの印象を変えるのに一役買ってい要素として、1曲づつギターをどんどん持ち替えていくことが印象的だった。アコースティックギターから、レスポール、SG、ジャズマスター、グレッチなどなど。はたまたピアノを弾いていたかと思えば、少し音圧を稼ぎたいような曲ではピアノからギターへ持ち替えたりなどもする。

ウィルコ 撮影=風間大洋

ウィルコ 撮影=風間大洋

こうして少しも飽きさせないまま、カントリーやフォークなどルーツ音楽が根底にある超良質のアメリカングッドミュージックが紡がれていき、会場中があっという間にウィルコに夢中になっていた。後半に入ってからの、「Handshake Drugs」や「Cold Slope」などは、一聴すると横乗りなポップロックで心地いいのだが、曲途中にEDMやエレクトロニカ系でいうビルドアップのようなフィル部分が組み込まれ、ビートをわざとブレイクさせたりと煽りまくる。視覚的にも、大気を震わせるほどのノイズビルド音にも、完全に取り込まれテンションを持っていかれてしまう。かと思えば、さんざんあおり倒した後に、スパンと音が止まり歌だけがパチンと入ってくる。そんな緩急自在な彼らに、GREEN STAGEに集まったオーディエンスはずっとやられっぱなしだったように思う。

ウィルコ 撮影=風間大洋

ウィルコ 撮影=風間大洋

ロックを成立させるために必要なスキルが決まっているとしたら、それを満たすには充分すぎる、あり余るほどのスキルを駆使しながら、その余剰のバッファ部分で僕たちを突き刺す飛び道具へと変えているようなそんな印象だった。

ラストは「Impossible Germany」。たくさんの余韻と、フジロックのような、スパーンと開けた空があるところで観るウィルコは何物にも代えがたいとおいう事実を感じさせてくれた。

 

GREEN STAGE ベック 2016.7.23

ベック 撮影=風間大洋

ベック 撮影=風間大洋

2日目GREEN STAGEのヘッドライナーは、2005年のフジロック振りとなる、僕らのBECKがいよいよ登場した。

この日のベックは新旧織り交ぜながらのオールタイムベストともいえる最高のセットリストだった。ある一定のファンとか世代が突き刺されるのではなく、ある意味”皆殺し”にかかったといっても過言ではない、とんでもないものを見せてくれた。正直あそこまでの演出、ベック自身のテンションの高さ、そして最後に先人達へ向けたリスペクトと言い、この20周年を迎えるフジロックのステージを盛り上げるためにBECK自身が本当にいろいろ考えて僕たちに魅せてくれたと思うと、胸が熱くなる。それくらい物凄いステージだったし、生きていてまたこんなすげえライブを観れるんだろうかと思わされるような、奇跡の夜だった。

ベック 撮影=風間大洋

ベック 撮影=風間大洋

まずいきなりの「Devils Haircut」からのスタートに、この2日間でも最も多かったであろうGREEN STAGEを埋め尽くしたオーディエンスから大歓声があがる。口々にそこら中で「やばい」「まずい」など興奮と喜びを隠せない人々の声で会場は既にかなりのヒートアップ模様だ。そこからも「Looser」や「Mixed Bizness」「The New Pollution」と、30代のリスナーには堪らないチューンがドロップされるものだから、序盤から多幸感が会場に充満する。

ベック 撮影=風間大洋

ベック 撮影=風間大洋

ちょうどビースティー・ボーイズなども流行していたあの時代。多くの音楽家が様々なジャンルを吸収・消化してクロスオーバーしていた頃に、ベックはその象徴としてこうした音を世に放ち続けていた。あの頃夢中になっていて、10年以上経ってこうしてフジロックの地で、改めてステージから耳なじみのある曲たちが流れてくることを感慨深く感じた人も多かっただろう。しかも音やステージそのものは明らかに進化しつつ、おまけにノスタルジーも内包されていた。これはもうお手上げだ。

その後も「Go It Alone」や「Blackbird Chain」、「Blue Moon」など、まるで自分で作ったプレイリストを聞いているような満足感の中、ベックのビターな歌声と大画面の映像演出は、オーディエンスをトリップ状態へと誘ってくれた。

ベック 撮影=風間大洋

ベック 撮影=風間大洋

最後はプリンスの「1999」やデヴィッド・ボウイの「China Girl」をカバーし、自らの礎を作ったであろう偉大な先人たちへのリスペクトまで置いて行ってくれたベック。まさにエンタテインメントとはこういうステージをいうのだろう。自身ももちろん楽しくプレイしながら、やはり我々オーディエンスの側になって考えてくれていることも感じられ、感謝と幸せな気持ちで満たされていった。

ベック 撮影=風間大洋

ベック 撮影=風間大洋

そしてアンコール。ラストは「Where It's At」で締め。このフジロック20周年が起こした奇跡のようなステージに、心からの感謝をベックに、そしてフジロックに送りたい。

 

GREEN STAGE FRF 20th SPECIAL G&G Miller Orchestra 
JUMP WITH JOEY/FRONT PAGE ORCHESTRA/加藤登紀子/曽我部恵一(サニーデイサービス)/中納良恵(EGO-WRAPPIN')

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希

フジロックの20周年を祝うべく、総勢18名からなるスペシャルジャズオーケストラバンド・FRF 20th SPECIAL G&G Miller Orchestraが結成され、2日目の23日(土)、GREEN STAGEのラストを飾った。

メンバーは、1999年以来活動休止状態だったがこのステージのために再結成を果たしたジャンプ・ウィズ・ジョーイ(JUMP WITH JOEY)を筆頭に、日本屈指のジャズミュージシャン・三木俊雄率いるFRONTPAGE ORCHESTRAのホーンセクションを加えた全15名の楽器陣、そして加藤登紀子、曽我部恵一(サニーデイサービス)、中納良恵(EGO-WRAPPIN')という3名のボーカリストからなるスペシャルバンドだ。

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希

バンド名にある“G&G”とは、GREEN STAGEと、スイングジャズ界の巨匠・故グレン・ミラーそれぞれの頭文字で、この日のライブでは「ペンシルバニア 6-5000」「茶色の小びん」などグレン・ミラーが世に送り出した名曲たちが演奏された。

そして、ボーカリストの先陣を切って登場したのは曽我部恵一。ビッグバンドジャズにアレンジされたビートルズの「ツイスト・アンド・シャウト」を、実に楽しそうな表情で、軽やかかつファンキーに歌い上げる。白シャツにデニムというラフな出で立ちの曽我部と、蝶ネクタイにタキシード姿のバンドとのギャップも、このステージならではの好対照だった。

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希

中納良恵は、笠置シヅ子の「買物ブギ」を愛嬌たっぷりにカバー。指揮者のもとに近付いていき、その目を見て“♪おっさんおっさん”と繰り返しながらダンス。おそらくアドリブではないだろうけれども、彼女が歌う関西弁とジャズの相性は抜群なのだなと、こうしたシーンひとつを見ても改めて感じた。

加藤登紀子は深紅のドレスに身を包み、忌野清志郎の「田舎へ行こう! 〜Going Up The Country〜」を初パフォーマンス。拳を突き上げながら、メッセージを丁寧に伝えるように力強く歌唱した後、ジョン・レノンの「POWER TO THE PEOPLE」を加藤、曽我部、中納の順にマイクをつないで披露した。

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希

そして「フジロックのスピリットといえば、やっぱり愛でしょう!」(加藤)と、忌野清志郎の「雨あがりの夜空に」を中納メインボーカルによりカバー。分厚いホーンのアンサンブルに、幅広い世代のオーディエンスたちが一斉に沸き立ち、拳を突き上げて合唱する。グレン・ミラーが残した名曲たちもしかり、清志郎が残した楽曲たちも、多くの世代が共有できる普遍の財産なのだなと、改めて感心した。

ボーカリストたちがステージを降りると、ラストナンバーとしてグレン・ミラーの名曲「ムーンライト・セレナーデ」が演奏された。やわらかく甘美なメロディはこの上なく心地よく、オーディエンスを癒し、20周年のフジロックを祝福するとともに、感謝の気持ちを抱かせるものだった。ここでしか実現しないだろう顔合わせによる名演は、20周年のフジロックの最高の思い出の一つになった。

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希

G&G Miller Orchestra 撮影=大橋祐希


撮影=風間大洋(トラヴィス、ウィルコ、ベック)、大橋祐希(G&G Miller Orchestra) レポート・文=早乙女‘dorami’ゆうこ(トラヴィス)、秤谷建一郎(ウィルコ、ベック)、望木綾子(G&G Miller Orchestra)

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