『仮面ライダーアマゾンズ』シーズン2はどうなる? 東映・白倉伸一郎プロデューサーに聞く、これまでとこれからの「仮面ライダー」

東映・白倉伸一郎プロデューサーが“今”考える「仮面ライダー」とは

東映・白倉伸一郎プロデューサーが“今”考える「仮面ライダー」とは

「仮面ライダー」シリーズ最大の異色作とも言われる『仮面ライダーアマゾン』(1974年)をベースに、「平成ライダー」を築き上げたスタッフ陣によって完全新生された『仮面ライダーアマゾンズ』。「Amazonプライム・ビデオ」でのオリジナル版が配信されているほか、BS朝日(毎週日曜深夜1:00~)、TOKYO MX(毎週水曜22:30~)にて、再編集されたテレビ版が放送中です。

 <前編><後編>とお届けしてきた、東映・白倉伸一郎プロデューサーと脚本家・小林靖子さんの対談に続いて、本稿では『アマゾンズ』後の「仮面ライダー」シリーズの展望などについて、白倉プロデューサーにうかがいました。仮面ライダー45周年を迎えた"今"考える、白倉プロデューサーの「仮面ライダー」像とは?

 この記事は、「『仮面ライダーアマゾンズ』白倉伸一郎P×小林靖子さん対談<前編>」と「『仮面ライダーアマゾンズ』白倉伸一郎P×小林靖子さん対談<後編>」の続きとなっています。

■仮面ライダー45周年はまだまだ終わらない

――『アマゾンズ』配信中にシーズン2の制作が発表されました。構想はすでにあるのでしょうか?

白倉伸一郎プロデューサー(以下、白倉):今の段階では、まだ何も決まっていないです。靖子にゃんのやりたいことと相談しつつ、これから考えていくところで。ただ、僕としては単純な続編をやりたくない気持ちはあるんです。もちろん、『アマゾンズ』という作品と、そこに登場する悠も仁も駆除班にも愛着があって、ものすごく大好きなんですけれども。それをそのまま引き継いでしまうと、ただの第14話にしかならないと思うんですよ。やるのは1年後なので、各キャラクターがそれなりに成長していたり、全然違うものになるかもしれない。そうしたことも踏まえて相談していこうと思っています。

――タイトルの頭文字がアルファベット順なので、"A"から始まって"Z"までの26話分を制作するお考えだったのかと思いました。

白倉:あれは、そうなったら良いな、くらいの感覚だったんです(笑)。

――キャストのみなさんも、シーズン2に出られるのか気がかりな様子でした。

白倉:東映の続編の作り方って独特ですからね。『アクマイザー3』(1975~76年)の続編が『超神ビビューン』(1976~77年)だったりするわけですから(笑)。『仮面ライダーV3』(1973~74年)を見ても、『仮面ライダー』(1971~73年)に出てきた1号と2号はどこ行ったんだよと。ショッカーも出てこないですし。今だったら、田﨑監督とかに絶対に却下されますよ(笑)。

 でも逆に言うと、今はああいうことができないということでもあるんです。あの時代の作品って、作中にどんな矛盾があろうとも、お客さんの楽しめるものにはなっているんですよね。実は、あの空気を再現できないかと一度本気で考えたことがあったんです。"『仮面ライダー』の第99話が発掘された"(註:同作は第98話が最終回だった)という体で話を作れないかなと……。映像もロケ地も全部考えたんですけど、結局あのノリが作れないんですよね。

――まだリメイク/リブートされてない昭和ライダー作品もありますが、次にやるとすればどのシリーズを考えますか?

白倉:『仮面ライダーX』(1974年)のリブートは、お客さんとして純粋に見てみたいです。小さいころ、すごく『X』好きだったんですよ。子供心にも「あ、テコ入れされてるな!」ってのがわかったりするんですけどね。こういうのは何とかしないといけないと思って、僕は東映に入ったのかもしれないです(笑)。

――今年は仮面ライダー45周年ということで、『アマゾンズ』の配信前には、映画『仮面ライダー1号』も公開されました。さらなる展開もあるのでしょうか?

白倉:実はあるんですよ。今の段階ではまだ言えないですけれども。

■石ノ森章太郎先生と昭和ライダーのスタッフから"受け継ぐ"

――映画『仮面ライダー1号』では、1号(演:藤岡弘、)が今の子どもたちにも受け入れられるようなヒーローとして描かれているのが印象的でした。

白倉:改めて考えるとすごいことですよね。「仮面ライダー」ってバッタ怪人なのに、それが正統なヒーローに見えてしまうという。「仮面ライダー」って本来は"異形の者"のはずなんですよ。でも振り返ると、『V3』『X』とシリーズを重ねていくうちに、異形だったはずの1号がスタンダードになってしまっているんです。

――平成ライダーは毎年、"異形さ"を備えている気がします。『仮面ライダー電王』(2007~08年:プロデュースを白倉さん、メインライターを小林さんが担当)も当時話題になりました。

白倉:桃太郎ってなんだよって、いまだに反省してますけどね(笑)。モモを顔に貼り付けるって、いったい……(笑)。

 100人が100人かっこいいと感じるデザインがあったなら、それってただ平凡なだけだと思うんですよ。そうじゃなくて、変なんだけど妙にかっこいい、というほうが記憶に残りますよね。過去のライダーを振り返って見てみると、どれもかっこよかったなと思えますけど、それは結果論なんです。たぶん、本当はかっこよくないんですよ。そんなにかっこよくないものが、かっこよく見える瞬間にヒロイズムがあるんじゃないかと思うんですよね。理屈で言うとそんな気がします。

――仮面ライダーファンの新シリーズに対する受け入れ方も、秋前の発表でちょっと戸惑って、放送がスタートすると受け入れられる――という流れかもしれません。

白倉:僕としては、なぜ放送が始まると簡単に受け入れられているのかがわからないです(笑)。わかりやすいっていうのは、あんまりよろしくないと思ってるんですよ。『仮面ライダードライブ』『仮面ライダーゴースト』と続きましたけど、まんますぎるじゃないですか。だから2016年秋からの新シリーズは、名前からは絶対にビジュアルが想像できないようになっています。この先のシリーズでも、「なにそれ!?」というライダーが出てきて、だんだんそれがかっこよく見えるような瞬間が続けばいいですね。

 本当は『サザエさん』(1969年~)みたいに変わらずやっていくのが一番いいんですけどね。毎年ちがう「仮面ライダー」を作っていますけど、普通のお客さんは、「仮面ライダーシリーズの中で、この作品はこうだ!」なんていう視点で見ませんから。大切なのは、その作品がおもしろいかどうかですよね。視聴者の中に漠然とした「仮面ライダー」イメージはあると思うんですけれど、もっとしっかりブランド化できないかなと思っています。なんでしょうねぇ……仮面ライダーブランドって。

――何度か"原点回帰"と銘打って、新しい「仮面ライダー」を作っていますよね。白倉さんが初めて参加した『真・仮面ライダー序章』(1992年)もそのひとつだったと思いますが。

白倉:『シン』に関して言うと、Vシネマだから"テレビでやれないことをやる"という意識はありました。でもそれと、"放送コード的にテレビではできないようなことをやる"というのは違ったなという反省があるんです。ヒロインの胸を見せる、とかではないと(笑)。"大人向けの仮面ライダー"という命題が独り歩きしちゃったんですよね。

 企画段階では、僕もとにかく大人向けにハードにやりたいと思っていた側で、石ノ森先生と話し合いをしたら……なんか勝っちゃったんですよね。新入社員だった僕はもう有頂天ですよ。石ノ森先生に勝った! 俺が説得した! とか思っちゃって(笑)。でもそうではなくて、石ノ森先生はもっと周りが見えていたんですよね。

 20周年の仮面ライダーをやるという『シン』のテーマの正しい答えは、"大人向けの仮面ライダー"ではなくて、"20年経った子供向けの仮面ライダー"だったんです。後になってからわかりましたけど、石ノ森先生はその視点に立っていたんです。やっぱりすごい方ですよ。「仮面ライダー」シリーズはいまだに石ノ森先生の手の平から抜け出せていないと思います。

――『アマゾン』も当時、"原点回帰"を掲げていたそうですね。

白倉:『アマゾン』の企画書にも"原点回帰"と書いてあったんですけれど、一見するとどのあたりが原点回帰なのか、よくわからないですよね

●「仮面ライダーアマゾン Blu-ray BOX」 10月5日発売 
●価格:29,000円+税 
●発売元:東映ビデオ 
●販売元:東映

白倉:おそらく当時のスタッフは、『仮面ライダーV3』の30%を超える高視聴率や、ライダーカードブームで調子に乗ってしまっていたから、『仮面ライダーX』でギャフンとなったと思うんですよ。後から見れば、30%台だった視聴率が20%台になっただけなんですけどね。そこから反省して、ちゃんと「仮面ライダー」を考え直して作ったのがアレ(アマゾン)ですよ(笑)。結果的には昭和ライダーとしては低めの20%という視聴率になりましたけど、それでも20%ですから。今ではありえない数字です。30%超えが当たり前だったから霞んでますけれど、『仮面ライダーアマゾン』というのは大ヒット作なんですよ。

 前作を反省した結果、『アマゾン』はあれだけ異形性を突き詰めたデザインで、あれだけ鮮血飛び交うようなことをやってしまった。当時のスタッフたちの覚悟って、いまだにすごいなと思います。

――『仮面ライダーアマゾンズ』にも、そうした覚悟のようなものが見られる気がします。

白倉:原点回帰をした『仮面ライダーアマゾン』を受け継ぐということは、「仮面ライダー」そのものを受け継ぐことなんだと思います。春の『仮面ライダー1号』以上に、『アマゾンズ』は受け継ぐつもりでやりましたね。

(了)

[取材&文・小林真之輔]


■作品情報『仮面ライダーアマゾンズ』

仮面ライダー45周年記念プロジェクト
『仮面ライダーアマゾンズ』

Amazon プライム・ビデオにて全13話 配信中
BS朝日 毎週日曜深夜1:00~ 放送中
TOKYO MX 毎週水曜22:30~ 放送中

<イントロダクション>
仮面ライダー45周年記念プロジェクト、最大級の衝撃。
『仮面ライダーアマゾン』(1974)。仮面ライダー第4作にして、シリーズ最大の異色作が、平成ライダーを築きあげたレジェンドスタッフ × 最強アクションチームによって完全新生!
悠(はるか)と仁、養殖と野生。対照的な2人の"アマゾンライダー"を中心に、様々な登場人物の思惑が交差し、謎が謎を呼ぶストーリー。
Amazon プライム・ビデオの日本製作オリジナル作品第1弾として、映画を越える次世代の映像への挑戦。
いま、仮面ライダーと映像の歴史が変わる。

<アマゾンとは>
野座間製薬の研究で生まれたウイルスサイズの人工生命《アマゾン細胞》をヒト型にまで成長させた集合体の総称。
ヒトのタンパク質を好む習性があり、多くのアマゾンは人肉食を行う。2年前、研究所で起きた事故で、約4,000体の実験体が街に解き放たれた。
クモやモグラ等、様々な種類のアマゾンが存在する。

<スタッフ>
原作:石ノ森章太郎
脚本:小林靖子
監督:石田秀範/田﨑竜太/金田 治(ジャパンアクションエンタープライズ)
アクション監督:田渕景也(Gocoo)
音楽:蓜島邦明
撮影:上赤寿一/朝倉義人/岩﨑智之
キャラクターデザイン:田嶋秀樹(石森プロ)
キャラクター&クリーチャーデザイン:小林大祐(PLEX)
プロデュース:白倉伸一郎/武部直美(東映)
佐々木 基/梶 淳(テレビ朝日)
古谷大輔(ADK)

<キャスト>
水澤 悠/仮面ライダーアマゾンオメガ:藤田 富
鷹山 仁/仮面ライダーアマゾンアルファ:谷口賢志
水澤美月:武田玲奈
泉 七羽:東 亜優
志藤真:俊藤光利
マモル/モグラアマゾン:小林亮太
大滝竜介:馬場良馬
高井 望:宮原華音
三崎一也:勝也
福田耕太:田邊和也
前原 淳:朝日奈 寛
水澤令華:加藤貴子
加納省吾:小松利昌
橘 雄悟:神尾 佑
天条隆顕:藤木 孝 ほか

<主題歌>
「Armour Zone」
歌:小林太郎
作詩:マイクスギヤマ
作曲:山田信夫
編曲:高橋哲也
Original Soundtrack
NIPPON COLUMBIA.,LTD.
Taro Kobayashi by the courtesy of KING RECORD Co.,Ltd.

>>『仮面ライダーアマゾンズ』公式サイト
>>『仮面ライダーアマゾンズ』公式Twitter

 

(C)2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 (C)石森プロ・東映
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